2024年2月3日土曜日

オーディオ趣味におけるガッカリへの対応というか予防

 趣味にのめり込むときは、気分転換したい、ストレスが溜まっているというときのココロの叫び、反射、逃避行動のようなものが潜在的な動機であったりします 汗。


地方の名士や都会のハイエンドな方々がなぜオーディオに途方もない投資をするのか、ストレス発散の一つの形であると考えれば理解できます。長岡先生も仰っていましたが割とお医者さん(開業)はオーディオ熱が高いようです 患者さんを抱えていらっしゃるのでなかなか旅行に行けなかったり、家で待機して書類を書いたりするときに音楽を聴いていてムラムラっとエスカレートするパターンはあるのかもしれません・・・


ところで趣味はストレス発散のためにやっているわけですから、逆にそれがストレスになるのは避けたい訳でして(汗)これをローコストでやろうとすると大変です(正直)

オーディオの恐ろしいところは、家に持ち帰って組み込んで調整して初めてその結果がわかるとか、繋いでからすぐに結果が出なくて しばらく使っていくうちに馴染んでいい感じの音になったりするとか(エージング⇢バーンイン) それまで あるいは つないだ直後はガッカリすることが多い さらに それを引きずって なじむまで待っても 結局いい音にならないときのガッカリは相当辛い

さらに相性問題に苦しんであれこれ機器の入れ替えを始めると最悪の事態になる(疑い出すとキリがない)泥沼にはまることもあります カーっとなるといけません・・・・

カメラや旅行の趣味であればそんなことはなくて結果はすぐ確認できますし、快感が得られますけれども、オーディオはそれがない・・・で悩むことが多かったような気がします。

ようやく安定した というか 多少のガッカリでも対応できるようになったのは、ある程度の経験を積んだから あるいは失敗を糧にガッカリしない選択ができるようになったからのような気がします。

高い買い物をして結果が期待外れは超ガッカリです(海外製や国内の異常に高額な機器は注意した方が良かったり)(輸入代理店やそれと密接につながった販売店や批評家の先生の意見は鵜呑みにせず、政治家パーティーではありませんが、利益関係の持ちつ持たれつ分を差し引きしながら良心的なコメントのみを謙虚に拝聴した方が良い・・・)なのでめんどくさいので最初から選外にしています(というかない袖は振れない)。いわんや高額なアクセサリー類はガッカリ率が非常に高いので手を出さないです。どうしても使ってみたい、試してみたい、というときは発売直後ではなくて、評価の落ち着いてきた数年後など、多少熱が冷めてから、できればオークションや中古に落ちてきたものを予算の範囲内で試すことでガッカリのショックを多少なりとも軽減することもできたりします。(おこづかいが足りないともいう)

ガッカリしない その1はスピーカーの自分の好みがわかる、自分の好きな音楽の鳴り方のイメージが固まる それに合わせたスピーカーがどういったものなのかが分かることでしょうか。定番と言われるものや批評家の先生方のおすすめが上記と合致しないことが多いです。今でしたらアマゾンのレビューや価格ドットコムやオーディオ系の板などもそうですが

自分の好みが分かり、それに嵌るスピーカーとの出会いがあればガッカリの確率は減ります。

ワタクシの場合はボーカル帯域がシームレスで音が前に出て小音量から中音量までスカッと鳴るのがとても重要で、あとは必要な高域と低域が帯域は欲張らないけれども全体に抜けが良いのが好きだということが分かりまして

そうなると、今の主流の小口径ユニットアレー、高剛性で鳴かない箱、低能率、ガッチリ抑え込んだネットワークでフラット再生のスピーカーはことごとくガッカリ なので最初からそちらは選外にしています(それしか置いていないお店も多いですね)B&Wがモニターの主流になって英国やヨーロッパ系のきっちりしたSPがなんとなくコンシューマー向けの王道になってからそういう商品ばかりになりました。とにかく奇麗で無難ななり方がして、音像はやや控えめで音場は奥に並んで箱庭のような美麗な世界になります。こちら系のSPを自分の好みに鳴らす(ダイナミックに前にも後ろにも飛ぶ)のは昨今の技術を駆使すれば容易なことですが(アンプに金をかけ、ライン入力を強靭にする)(デジタルアンプのお高いのでグリグリドライブすれば反応の鈍いスピーカーでもどうにでもなりますけれども・・・)無理やりねじ伏せるのもどうかな・・・とか、コストをかけた割に反応が鈍い(朗々と鳴らない)=ガッカリはガッカリなのでやらない方向です。

それよりは、ばっちり自分のツボに嵌る能率の高いスピーカーと格闘した方がガッカリしにくいです。とにかくフルレンジユニットをいかに伸びやかに鳴らすか それだけを考えれば良くて、多少粗削りではありますが最初から元気のよい音が飛び出してきますし、多少の荒は調整で抑え込めますから、バーンインと合わせて音がどんどん良くなっていく過程は楽しいものです。往年の高能率ユニットのダイナミックレンジはすさまじく、鳴りだしたら快感は止まらない・・・ストレス発散になります。

朗々と鳴るスピーカーはアンプ選びも楽しいものです。低出力だが微小出力が美麗な3極管シングルで十分にドライブしきれるので、この爽快感はヤバいです。夏場の管球アンプは暑苦しいので最大1ワットぐらいのデジタルアンプキットに入れ替えてスカッとさわやかな季節に合わせた楽しみ方も楽ちんです。(微小出力でも情報量の多いアンプであればどんなアンプを繋いでもガッカリしないで済むのはありがたいことです。)


2024年1月21日日曜日

I Believe In Little Things Diana Panton

 疲れたときに聴くと良い  くつろぎのボーカル

 Diana Pantonの歌声に加え、録音も独特の世界観があり

Dレンジが広いのかステレオシステムに問題(ぼろ)があるとビリ付き音が出たりしますが

直すと良く鳴ります(汗)



2024年1月20日土曜日

今から思うと 熱かったオーディオという趣味 昭和から平成の頃

 アナログレコードの再ブームだそうで、プレスされた新品のレコードが買えるのは、サブスク時代の反動なのでしょうか、効率やコストを考えたら理解できないことも趣味の世界ならでは。

今日、ふらっとレコード屋さんに立ち寄って中古レコードだけでなく新品のレコードを探すことができるのは幸せです。

昭和の時代、アナログレコードを買う、借りる(レンタルレコード屋の時代)それを家に持ち帰ってレコードプレーヤーの針を下してワクワクしながら再生していた頃が懐かしい。

昭和は据え置き型のオーディオの装置(フルコンポ)を揃えるのは立派な趣味でした。そのブームはCDへの移行とともに徐々に減衰して、ポータブル型のウオークマン、iPOD に主軸が移行、据え置きスピーカーではなく、主にヘッドホンやPC用・Bluetoothのミニスピーカーで聞くようになって 一気に縮小しました・・・・ 

昭和の時代日本の電器メーカーは力を入れて数多くの製品開発しました。その名残の大きな機器がハードオフやリサイクルショップで発見されたりします(時々掘り出し物あり)。

あの頃(昭和の後半ですが)オーディオマニアが異常にケーブルや電源に熱中していて、雑誌もそれを特集して比較視聴記事などを書いていました。あれは日本発らしく海外にも波及したそうです。(文献的には江川先生が最初との噂もあります)

その後、エスカレートして超高級ケーブル(海外製)が登場したり、一方、国内電気メーカーがオーディオ部門を撤退したり、縮小して超高級品へシフトしたりしました。海外の輸入に頼るようになり、オーディオマニアはだんだんとニッチで怪しい世界に移行していったような気がします。 リッチな階層の皆様は高級品を揃えることができますが、一般人の趣味とはずいぶんとかけ離れてしまいました。


ところで、ケーブルや電源の調整をすると確かに音は変わるのでナカナカ面白く、機器の調整の最後に行うと良い感じに仕上がったりして得した気分になりますが、バランスの良い機器、部屋との相性に問題がなければ、ケーブル電源による変化は極わずかで、取るに足らない程度のものであったりすると思うのですが・・・・当時は(商売もあったのでしょう)過度に誇張した記事も多くて、多くの読者を魔境に導いたのではないかと思われます。

ケーブルに投資するより、良いスピーカー(決して高級ではない)に乗り換える方がよっぽど良い結果が得られました。特に音楽のジャンルに合わせていい感じのスピーカーを見つけてそれを軸に相性の良いアンプを繋げばその組み合わせの試行錯誤だけで悦楽の趣味になりました。それに気づくのにずいぶん遠回りしてしまいましたが。

良いスピーカー(誰でも買える、作れる)の原点を辿ると、国産では三菱の16㎝(P610)をバスレフ指定箱に入れる辺りでしょうか。1発でも小音量再生ならとても良い音がしました。さらに箱鳴りを抑えるとかなり良い音になりました。

海外ではAltecの405(13㎝) JBLのK110(25㎝)のようなフルレンジを指定サイズのバスレフ箱に入れて、そのままでも十分楽しめますが(特にジャズやボーカル)、高域の指向性が狭いので音楽によって高域が不足したら適当な能率のツイーター(コーン型で良い)を足して また低音が不足したらセッティングを変えて、それでも不足ならイコライザーかトーンコントロールで少し膨らませれば、結果そんなにケーブルやら電源やらで悩まずとも、安心して音楽が聴けました。

より趣味性を高め、音量を上げたいなら15インチのAltec604E(切れ切れ)または605(万能)TrueSonicの206AX(万能)いずれも同軸ユニット あたりを オリジナルと同じ容積のバスレフ箱に入れて箱鳴りを調節(米松などの箱を適度に鳴らすと極上)すれば 空間を支配する音世界になりました。いずれもフルレンジのユニットで、ボーカルを聴くとはっきりと違いがわかるのですが、音声帯域の再生がきちんとしていて切れ目なくスムースに変換されるので、何を聴いても破綻しないのです。


そういう地味だが重要な話は割と平成や令和になってから自作者向けの雑誌や真空管アンプの雑誌にはっきり書かれるようになりましたが、昭和のころはあまり書かれていなかったような気がします。ごく一部のマニアの間でしか共有されていなかったのはまことに残念な感じはします。(今から思うと・・・偉い先生と熱いマニアが熱狂していたので実体としては訳のわからないような状況だったのかもしれません。)


自作スピーカーも今は小口径(10cmぐらい?)主流の時代らしく、15インチを使っている人は激減していると思いますが(涙目)15インチのいいところは小音量再生でも痩せないのと、チェロ、コントラバスの等身大再生が可能な点から、今後もアナログレコードのように完全に駆逐されることはないと思われます。(SR用として15インチユニットは今も活躍していますし)(大口径は鈍いと思われている節がありますが、銘器は強力な磁気回路とそれに比較すると軽量な振動版なので決して鈍い訳ではなく、どちらかというと駆動アンプの小出力時の特性に敏感なところがもろに出て悪印象に繋がっているようです。)




2023年12月3日日曜日

カメラとオーディオの趣味 それもクラッシックな

 久しぶりにカメラネタ等

カメラ趣味に関して最近の動向はフィルムの高騰があります ネガもポジも35㎜も120も

もちろん4x5もフィルムは猛烈な値段になり、インフレと円安の影響もあって

恐ろしいことになっている ポジフィルム35㎜1本4ー5千円では高すぎて写真は撮れません。(涙目)


とはいえ昭和のころの家族旅行のマイカメラのフィルム消費は20枚撮りを年間1本で

正月記念写真 お盆に里帰り 家族旅行(紅葉狩り) その他記念日 で紙焼きを

アルバムに貼って という感じで 節約してましたからあの頃の値段の感覚に近くなった

戻った感じなのかもしれません(涙目) そのぐらい貴重な フィルム写真になってしまいました。

一応ストックしているフィルムはあるのですが、経年劣化が進んでいると思いますし結局撮るのはデジタルばかりになっています。大判カメラはいつ活躍するのか??

若い人のフィルム人気はどうなるのか心配です。アナログレコードのようにフィルム写真も復活すると良いですね。 ネガフィルム36枚撮り一本がビックマックセットと同じ値段ぐらいなら若い人も含めて趣味として残るのでは・・・・ 

現状としてはチェキ一択しかない状況です フィルム生産の再整備 供給安定化で値段も常識的な価格に戻ることを祈るしかありません。 真剣にCMOSセンサをクラシックカメラのフィルムプレートに張り付けて取る例のスタートアップの製品に期待してしまうぐらいフィルムカメラの行き場がなくなっています。


真空管アンプはギターアンプ等のニーズがあるので生産がなくなることはないようでビンテージ管の高騰を除けば趣味として残りそうな感じなのは良いことです。需給もバランスしている感じです。

オーディオに関してはあまりにも簡単に聴けるサブスクの反動でCDやアナログレコードが見直されているのは良いことですね。テープもエモいらしく、オープンリールも高値で取引されているようです。一時期は粗大ごみ扱いでしたが。

我が家の真空管アンプも徐々に再整備を進めています。聞き直すとやはり良い音がします。

三極管シングル トランスやらパーツにそれなりのコストをかけたものは抜群に良い音がすることを再認識しました。

もちろん最新のデジタルアンプもスカッと抜けるようなハイスピードで良いですが(特に夏場などはありがたい)真空管の良いアンプはノスタルジーだけでなく、ノリというか何か来る感じがします。躍動感が違います。

スピーカーとの相性がはっきりしているのも面白いところです。ユニットの個性との相性もそうですが、箱の設計、バックロードホーンと音響迷路とバスレフと密閉と の相性もかなり効いてくるのがトランジスタアンプやデジタルアンプとは違います。

今はまっているのは、小口径フルレンジの箱の違いによる音像、音場の変化です。

VT52シングルのアンプでドライブするAltec205(204?)の音を比較するとバスレフ(スリット式)が密閉より圧倒的に良く、さらにバックロードホーンはバスレフを上回る素晴らしい鳴り方をします 抜けが良い スカッとした鳴り方 しかも ホーンロードがコーンを空気でダンプするのでなかなか制動の聞いたタイトな音がして 音像も 音場もいい感じになります。

この辺の良さが一世を風靡した長岡式バックロードの強みだったのですね(当時のFEシグマのユニットは正直紙臭く、低音のボリュームもかなり不足していて長時間聞いていられませんでしたが・・・ その後ユニットの改良が進んだと聞いてますが。この歳になるととにかく音楽の再生が最優先事項なので、情報量を増やすためハイ上がり気味の過敏なユニットを選択するのではなく、ボーカル抜群な中域重視のおっとりした性格で、密閉箱でも低音がそれなりに出せるが低域は基本だら下がりな、アルティックの小口径ユニット405や205を使うことで音楽再生へのバランスを重視しています)

バックロードホーンは箱がでかくなるのと見た目が異様なので家族からは冷たい目を向けられます。箱を小さく纏められないかずっと思案しています。スワンのような音響迷路という手もあるのですが直角に曲げた音道が長く続くと、癖が強くなり全体につまらない音になるので、バックロードホーンの長い音道をどのように効率よくコンパクトに纏められるのか試行錯誤してきました 最近ようやく方向性が見えて来ました 15年ぐらいかかりました(爆)



2023年8月15日火曜日

シグマのSAマウント 密かな愉しみ

 シグマのSAマウント 密かな愉しみがあります。 すでにディスコンとなってしまった一眼レフ機のマウントで、しかもメジャーなものではなく、シグマ社のみで使われたマウント規格。

噂によれば、AFのプロトコルはキャノンEFに似ており、マウントの機械的な仕様はペンタックスKマウントと同じだが フランジバックは微妙に異なるなど 謎の独自仕様であるが・・・

なにしろ2023年の現時点でもフォビオンのフラッグシップ(??)である、シグマクワトロHの採用しているマウントでありますから、それに接続できるレンズは当然シグマのレンズが良いわけでして、今ならまだ程度の良い個体がSAマウントで入手できたりします。

またシグマ社の愛情により、SAマウントレンズはLマウントやSonyEFマウントに接続できる純正アダプターが用意されておりますので、メイン機がSonyであっても、あるいはLマウント機であっても、活用できるというありがたいご配慮であります。

正直に申しますと、今頃はフルサイズかつ純正3層垂直分離型のメリル方式のフォビオン機がLマウントか何かでフラッグシップ機となり、フォビオン物件の撮影に大活躍しているような夢を見ておりました・・・しかし販売が遅れるのではと、恐る恐るですが、ある種の保険として導入したクワトロHでありました(過去ブログ参照)・・・はたして、その不安が的中している状況がいまだに続いております。(涙目)


いずれにせよ最新の(最後の)シグマSAマウントレンズはSDやLDレンズを多用した贅沢三昧な構成となっており、よほど特殊な写真(清?)癖でなければ文句のつけようのない素晴らしい映像を捉えることが可能です。(ちょっと重いけど)

SAマウントの最後に登場しているレンズはどれも外れがありませんが、特におすすめは18~35㎜ F1.8通しのズームです。APS(C 小さい方)用なので、APS(L ?大きい方)のクワトロHではわずかに四隅が暗くなったり、欠けることもありますが、わずかなトリミングで使えますし、中央付近の解像度やボケ感や抜けの良さは格別で、シネマ用高級レンズ(スーパー35規格)をレンズ構成はそのままにAF一眼用として供給しているという、知る人ぞ知る銘レンズなのであります。(このレンズはそんなに重くないので持ち出すのも苦になりません)

2020年3月28日土曜日

Sigma SD quattro H 写真趣味の曲がり角を楽しむ傑作機 4  理由はシャープネス

Sigma SD quattro Hは、写真機趣味の曲がり角の今、スマホでは決して味わえない世界を楽しめる傑作機である

その身勝手な理由はズバリ シャープネス番長 だから・・・

SDQHを使って本当に驚くのは、絵の立体感 ぴりっとエッジの立った仕上がりだ。

クワトロの登場時、先代のメリルと比較して当初評判は芳しくなかったが、その後の画像処理の進化により本来の特性がストレートに出力されるようになった。

昔からフォビオンは、ライバルであるローパスフィルタ付きのベイヤー機と比較し、エッジの立ったシャープな絵が特徴であった。昨今ベイヤー機はローパスレスとなり、シャープネスは著しく向上している。それでも未だにフォビオンは立体感 シャープさにおいて、ベイヤー機とひと味違う明らかな優位性を保っている。

フォビオンの絵を大きく拡大すると、エッジにシャープネスがしっかりかけられていることがわかる。このシャープネスが強い割には見た目が自然であるところがフォビオンの大きな特徴である。

ベイヤー機の場合、フォビオンと同程度の強いシャープネスをかけると、どことなく不自然な汚い感じの絵になってしまうことが良くある。その場合、拡大して見ると、エッジ部分の明暗の縁取りが、幅広くなり、不規則に広がっていることに気がつく。

一方、フォビオンはシャープネスが幅狭くエッジ部に限定してかかっており、まるで髪の毛のような均一の縁取りなので、立体感の高さと自然さが両立している。

この違いは僅かな差で、圧縮された絵や、ぼんやりした映像では差はわかりにくいのであるが、それなりの大きさに絵を拡大表示する場合には、はっきりとした差が出て、作品全体への大きな印象の差となる。

ずいぶん昔、フォビオンに近い絵を撮影していたことを思い出した。デジタルカメラ黎明期に、モノクロ専用デジタルカメラで撮影した映像である。昔はCCDの画素数が限られていたため、解像度の要求されるカラー撮影は苦労した。ベイヤー方式のカラーCCDで撮影した映像は画素数が減ってしまうため、満足な結果が得られず、カラー撮影の際にあえて白黒(グレースケール)のCCDを用い、RGB各色のフィルタをレンズに取り付けて3枚の画像を撮影し、それを一枚のカラー映像に合成する、スリーショットをしていた。
 この頃の、全画素RGBの映像にコントラスト強調をかけた画像がフォビオンの絵と良く似ているのである。

 一方、同ー画素数のベイヤー方式のカラーCCDで撮影した映像の場合、強いシャープネスをかけると、偽色が増え、エッジが不自然となって絵が崩れ、往生することがあった。 ベイヤー方式と組み合わせるローパスフィルタは、モアレ除去のためだけではなく、光線を適度な範囲に拡散させることによって、偽色やエッジの不自然さを出にくくする手段でもある。

 ベイヤー方式はモザイク状に欠けた各色の情報を画像補完のアルゴリズムで埋める作業を行っている(もともと情報の存在しないピクセルを周囲の画像からの演算で無理矢理埋める=人工的に作っている)であるため、そこさらにシャープネスという別の空間フィルタをかけた際に 補完によるエラーが強調されてしまい、予期せぬ結果が出やすいのではないか。

これに対し、フォビオンは垂直分離方式なので、欠損画素を補完する演算が不要であり、3ショット方式と同様に各画素に各RGBの正確な情報を得ることができる。この正しい画像情報に対してコントラスト強調のフィルタ処理を行うため、自然でありながらピリッとシャープな絵をストレートに出力可能と考えられる。

すなわちフォビオンは往年のモノクロカメラRGB3枚合成(スリーショット)と同様の画像をワンショットで撮影できる、唯一無二のカメラと言えるかもしれない。

フォビオンは垂直分離方式という、カラー画像素子の本質的な課題に対する、もっともシンプルかつストレートな解決策によって、自然でシャープな絵の出力が可能という特徴を発揮する。
 こうしたフォビオンの持つ魅力を、ナチュラルな色合いと十分な解像度で楽しめるのがSDQHの特徴であり、フルサイズフォビオンの販売延期となった今、今後暫くの間、大変貴重なツールと言えるのではないだろうか。







2020年3月13日金曜日

Sigma SD quattro H は 写真趣味(カメラ)の曲がり角を楽しむ傑作機 3 その身勝手な理由

Sigma SD quattro H SDQHはミラーレスでありながらSAマウントの長いフランジバッグを有しております。
シグマレンズしか使えないとか、高感度ではボロボロになるなど 写真(機)趣味用機材として若干不遇な?立ち位置ではありますが、工夫と納得で美味しく楽しめる、隠れた名機です。

 他のミラーレス機のように、ライカ等のオールドレンズ遊びができない点に関しては残念ではありますが、フルサイズミラーレス機のα7シリーズが容易に手に入り、2台持ち当たり前の時代ですからさほど問題なさそうです。
 そもそもフォビオンはテレセントリックなレンズでないと強烈な色被り(緑色や紫のフィルタ 偽色が画面の周辺に強烈に出る)を起こす特性があるため、ショートフランジバックのオールドレンズとの相性は良くありません。その結果フランジバックの長い一眼用のオールドレンズで遊ぶことになります。

 SAマウント用のプラクチカ スクリューマウント用の中華製レンズアダプタが1~2千円で入手できるので、結果としてSAマウントボディーでもオールドレンズ遊びはそこそこ楽しめるという話になります。


 また、SAマウントは機械的にペンタックスのKマウントと互換(?)の設計なので選択肢は豊富です。Kマウントレンズを使う場合は基本的に(簡単な)改造が必要です。 細かい話になりますが ペンタックスのKマウントレンズの絞り連動ピンを曲げるかカットして 連動ピンのガードを外す改造が必要です (慣れれば3分程度の作業です)
それだけでシグマのボディーに取り付きます。
 フランジバックはSAマウントの方が少し短いので距離の指標・無限遠の位置は合いませんが、大抵のレンズはピントが来ます。

ペンタックスのレンズ群は昔からコーティングが良いので、抜けが良く、フォビオンとの相性は割と良いです。

 最近若干立ち位置が微妙になってきた ペンタックスのレンズを 純正以外のボディーで楽しむ候補として SDQHは結構アリ な選択肢です。

 オールドレンズの絞りを開けてふわり と撮るには味わい深い タクマーを
 やや大柄なSDQHを散歩カメラとして使うには 小型軽量で抜けの良いSMCコートのmレンズを使い分けできます。シグマSAマウントの良いレンズは描写は抜群でも大きく重いですから徐々に稼働率が下がりますのでその対策にはもってこいです。
 どちらのオールドレンズもフルサイズのミラーレスで使うと周辺部は流れ不満もありますがSDQHはAPS-Hサイズなので良い感じに周辺はトリミングされますので、中央部の美味しいところだけ使う形になります。F5.6以上に絞ったときの先鋭度は画面全域で高く、仕上がりに不満を感じることはほとんどありません。

(シグマSAマウントレンズはペンタックスのボディーには取り付きません。微妙にレンズ側マウントのガイド径を変えていて(少し大きくなっている)入らない構造にしているようです。涙目)


 SAマウントのフランジバックはキャノンEFマウントと同じで、しかも電子制御プロトコルも類似なため、海外ユーザーの強者はキャノンEFレンズマウントに改造したSDQHでレンズのラインナップを増やし、フォビオンを楽しんでいるようです。気合を入れて改造すれば 絞り・AFは連動するらしいです(手振れ防止はNGらしいですが)。