2007年11月25日日曜日

nonNFB駆動のための、WE300B ロフチンホワイト


音質改善に効果のある方法は数限りなくあるけれど、費用対効果を考えると手段は限られてくる。
小から中音量で質の高い、満足度の高い音を狙うとすると、高域用のアンプでは一部のFETアンプと一部の真空管アンプが候補となる。
高効率電源を備えた最新の増幅デバイスもあるが、音楽的にも魅力的な製品となると、非常に高価だ。
そこで、三極管シングル 真空管整流 DC点火 ロフチンホワイト 高価すぎない、大げさでない none NFB という条件で真空管アンプを探していたところ、300Bを使った自作品でそれらの条件を満たす候補が見つかった。
値段も比較的手頃であったので、とりあえず入手し、テストしてみることにした。
最初に驚いたのはnonNFB駆動だ。実に伸びやかに音が鳴る。NFBの場合、スピーカーからの逆起電力がFeedback roopに飛び込み、歪みの原因となっているらしい。逆起電力の生じないコンデンサー型スピーカーなどはその点スムーズに鳴り、ダイナミック型との差に驚かされることもあるが、none NFBアンプでドライブするダイナミック型スピーカーも、それに近い伸びやかな音が得られるらしい。
さらに、300Bに代表される三極管の素性の良い音にも驚いた。実にピュアな音を出してくる。
設計さえ良ければnonNF駆動に伴う歪みも聴感上は極小に押さえられる。良質のトランスであれば低域が膨らむこともない。
 時にやや芳醇すぎる余韻、あるいは僅かな歪みが感じられる場合もあるが、メリットの方が明らかに大きいと感じる。特にロフチンホワイトは直結故に非常に鮮烈。トランス、真空管の素性がストレートに出るが、それほど高価でないトランス+中国管でも相当なレベルの再生が実現し、驚かされる。
とても真空管とは思えない、ハイスピードで説得力のある音が聴ける。

FOSTEX  ミッドバス リボンスピーカーユニット FS41RP



                                                  
                          
   Fostex は興味深いユニットを開発する通好みのメーカーである。一般的には長岡式BKの200Σ系が有名だが、全く違うサウンド、透明感のある、癖のない素晴らしいユニット群を開発している。
(長岡式BK、サウンドマニアに好まれたと思うが、あの剃刀の様な音は好き嫌いがハッキリする、私はダメだった・・・・。 いかにも紙臭く、ソフトを選びすぎる。箱も大きく、視覚的に違和感が強い。最近のユニットは紙臭さが消えたと聞いたがもはや・・・・狭い部屋の中に入れることは難しいのである。)




FostexがPrinted Ribon式のオールリボン式ユニットを長年手がけていたことを知る人は最近ではかなり減ってしまったようだ。

FS41 RP


時効だから書くが、このユニットはかのInfinity IRSシリーズの上位機種に採用されていたミッドバスそのものである。IRS開発者のヌデール氏を魅了したというこのユニット群、素晴らしい特性を備えている。ダイナミック型の力感を持ちながら、しかもコンデンサー型にも匹敵するトランジェント、透明感、超分解能を持つ。固有音が少なく、癖のないユニットで、ナマ音に近い音が出る。振動板面積は30cmユニットに匹敵。インピーダンスは8オームでフラット。音圧90デシベル以上で三極管シングルでも充分にドライブできる。マニアにも殆ど知られていない、埋もれつつある銘品である。




現在は殆ど入手不能。やるとしたら、勿体ないが、IRSβかδあたりから取り外すしかない。




Printed Ribon式のユニットは、現在ツイーターのみが供給されている。

Amcron MT600


中央がノイズ源のファン。
ドライヤーのような音がする。
SR使用ではないのでファンは不要。
だがファンレスでは夏場かなり熱くなるので、千石電子の模型パーツを売っているお店で1/2サイズのポリ製のファンを買って換装した。 (穴明けに苦労したが)
MT600 裏面。
フォーンのバランス入力。あまり馴染みがなかったが、通常のピンに変換するアダプターがある。
入力アッテネーターが付いていて便利だが裏側にあるので使いにくい。スピーカー端子も小さく、太いケーブルは使いにくい。バナナ使用が前提か?
民生品のようにケーブルや設置でコロコロ音が変わらないのはありがたい。常にパフォーマンスが安定している。
電源ケーブルは直出し。電源ケーブル沼の誘惑に駆られないからありがたい。
音はパワー感が最高 但し高域は渋い。 バイポーラーの好きな人用 三極管やFETのような高域を期待してはダメだ。

ブ厚い音が欲しい アムクロンのマイクロテック600













最近のハイエンド製品のような、ツルツル、ピカピカ、キラキラ、のゴージャスなサウンドも良いが、私はもっとゴリゴリ、ダイナミックで、ブ厚くてパワーのある音が好きだ。


ただ分厚くパワーのある音と言っても、最近のPA (今はSRと言うらしい)の、味気ないデジタル系の音も余り好きはなれない。(超高級品は別だが・・・)。
日本製のPAアンプも期待して試聴したが、やや無味乾燥的サウンドで面白くない。
いろいろ探して聞いて回っていたところ、あるお店で勧められたAmcron microtech 600に一発でノックアウトされ、(仕事のストレスがピークに達していた事もあり)珍しく速攻でゲットした。

アムクロンは噂通りに凄い。
特に低域のドライブ力は!ダンピングファクター1000以上は伊達ではない。しかも適度に熱く、厚みも、パワーも、弾むベース、叩きつけるバスドラ、しかも音楽性もある。クラッシックも案外聴ける。
しかし、MT600・・・・・ファンの音がやたらうるさい・・・・ おまえはヘアドライヤーか?
アメリカの70ー80年代、SRの世界では、このシリーズが席巻していたそうだから、ビッグネームのミュージシャンの全米ツアーも、おそらくこれで AltecかJBL またはEVのSRスピーカー群ををドライブしていたハズだ。

音は分厚くても、本体は薄型で設置場所を取らないのも素晴らしい。 店で買ったのでやや高い買い物となったが(と言っても常識的な範囲の値段。業務機だから、民生品のようにブランド名でぼられることもない)、ヒビノのメンテ済みで、筐体中は大変綺麗であった。
ウエブ上ではReferenceIやD300, D45辺りが「ウエスタン越え」とかで人気?らしいが、MT600もまた隠れた名機である。
MT600は低域が厚い、躍動感のある音。駆動力は抜群。中身はメタルキャンタイプのバイポーラ。ギリギリケース内に収まったトランス。基本デザイン、回路設計はReferenceシリーズと酷似している。余程完成された設計なのだろう。
ネックはファンの音だけだ。これは対策できる。内蔵ファンを小型の物に換装して、ばっちりだ。




2007年11月24日土曜日

15インチ+1.5インチドライバー 2ウエイのプロジェクト

今、往年の15インチウーハーとホーンシステムが破格で売られている。なぜか?おそらく大きすぎて家の中に収まらないから、手放す人が多いのではないかと思う。

ウサギ小屋にパラゴン、ワンルームに4343、6畳下宿にA7 、これが日本のマニアの伝統である。素敵な現実である。(私は大好きだ・・・やったことないケド)

もしも立派なリスニングルームや、書斎、リビングの広いスペースを手に入れる事が出来たとしたら、それは高価なオーディオセットを入手する以上に幸運な事だと思う。しかし転勤や都心回帰とやらで、仕事や家庭のために狭い我が家、限られた数の部屋に移らなければならないのもまた厳しい現実である。(地方の方は幸せである・・・)

往年の銘器のオーナさん達も、さすがに飽きがきたり、家族の反対や、新型のオーディオセットへの魅力もあって、手放すのを決めたという人が大多数であろう。録音も音像主体のものから、音場主体、あるいはホームシアターサウンドへと様変わりしている。実際、改めて見る15インチのフルサイズのオーディオセットは巨大すぎる。一本100キロ近い。部屋の模様替えで移動を考えただけでもぞっとする。オクで売るにしても、腰を痛める恐れがあるから、通常は家財運送かピアノ運送だ。買う側も売る側も大仕事である。

しかし最近主流のスピーカーときたら、小型ブックシェルフか鉛筆のようなトールボーイばかりである。

小口径ウーハーは低能率だ、どうしても空気を掴む能力が限られ、空間を描くには限界が生じる。猛烈なコストを掛けた高級アンプを繋がないと、朗々と鳴ってくれない。これではオーディオの醍醐味が失われてしまう。音場優先のセッティングでは、スピーカー回りに広い設置スペースが必要となる。さてどうしたものか?

私は次々と放出される往年のスピーカーユニット群を見て、これはチャンスではないかと考えた。ひょっとすると、ジャズ向きの素晴らしいシステム(クラッシックも・・・・)が10万前後で組めるのではないかと。

問題は巨大な箱をどうするか?である。お父さん達には、フロントロードやらバックロードやら低域ホーンの素晴らしい夢のシステムの知識とあこがれはあるけれども・・・・、まともに取り組んだら家から叩き出されるのは必至である。そういった誘惑を全て断ち切って、狭いスペースにも入る、現実的でしかも納得な音の出るシステムが組めるか?を今検討している。

コンプレッションドライバー


アルティックの業務用機器部門はつい最近、廃業してしまった。歴史のある会社だけに誠に残念だ・・・・。一方、アルティック製造の1.5インチドライバーの評判はなかなか良い。
ライバルのJBLは長年2インチを手がけてきたが、最近ラインナップを1.5インチに戻した。これは高域特性と中域の厚みの両立を考えると、ギリギリの妥協点がこの辺になるからだと聞いた。
1インチほど音が細くなく、しかも高域が伸びてギリギリ2ウエイで重要な帯域が狙える落としどころが1.5インチということなのだろうか?
いずれにせよこれはアルティックの最終世代の製品ということになる。ベリリウム、チタンが主流の現代ではいまさらの感もあるアルミダイアフラムだが、詳しい人に聞くと、癖がなく、扱いやすいとの評判も。


 これは299用のフラムなのでアルミ合金のジュラルミンが採用されている。さらに表面処理も施された(?)パスカライトだ。アルミのものよりも高域が若干伸びているという話である。但しパスカライトの評判はウエブ上でもあまり見掛けない。どんなものか実際に聞いてみないと判らない。

オーディオ


オーディオと写真をゆったりマイペースで楽しんでおりマス。

お父さんのフトコロは・・・・予算は常にタイト。
しかし、せっかくの趣味なんだから、(仕事のストレス溜まってるし・・・・)音は飛びきり良くしたい、音楽で癒されたいナアとも思う。
いろいろと工夫して、少ない元手でも、投資効率を高めて楽しみを増やそうという作戦だ・・・。
従って、ジャンク品やら、訳有り品、無名な製品、人が試していない珍品狙いになってしまう。 ま、スリルがあって、それはそれで楽しい。
 最近の輸入ハイエンド製品に張り込もうとは思わない。最初から買えない値段だし・・・もしも買ったら、ローン残あり、子供の教育費が鰻登りの我が家では、三行半間違い無しだ。
(輸入オーディオショウ・・・・・ あの値段ではさすがに一般家庭のお父さん達には厳しいと思うが・・・。オーディオ不人気の最大の原因だ。第一、若い人達が楽しめない。望み通りの音が得られるとも限らないし・・・・だいたい、雑誌記事も、良心的に書かれているとは思いますが そのまんま自分のシステムの参考になるとは限らないから。立場的にも微妙さは理解できる。読者が気に入っている製品かもしれないし、広告主の商品に全く公平な批評記事を書くのはチト難しいことは容易に想像できる。日本のオーディオ紙はどこか、ファッション誌とにているような気もする。美しいグラビア写真を楽しみ、賞賛で埋め尽くされた記事を読み・・・・・・夢を売るのは 今のオーディオ誌にとって大切な役目だ。

だけど最近は個人で情報発信する場合もあるので、その点、ありがたいというか、歯に衣着せぬ オーディオファイル諸氏のブログやウエブ情報は 正直・・・・凄いと思う。なるほど、と思うことしきりで、大変参考になります。

 
Altec 299-8AT 野外用の1.5インチコンプレッションドライバー 雨で腐食してボロボロなのを超格安で入手。 こんなぼろ、入札も殆どなかった。音が出るかも怪しい雰囲気。とてつもなくでかく、重いので敬遠されたのかも。

奇跡的にダイアフラムは無事であった。

マエストロの絵が泣かせます。
299は288と比較し、フェライトマグネットで人気も今ひとつだが、ダイアフラムが新型で聴感上高域が伸びているらしい(ホントか?)ATはトランスを入れるために巨大なバックチャンバーが付く。バックチャンバーが大きいので、音が伸びやかになるかな?という密かな期待もアリ・・・