2008年4月29日火曜日

AMCRON MacroTech 600


AMCRONのMicro Techシリーズの後継機、MacroTechシリーズ、MA600を入手。
といっても、予算不足で、片チャンネル不良のジャンク品であったが (苦笑)。

この個体は恐ろしく痛んでいて、粗大ゴミを買い込んでしまった・・・・・と、かなり後悔した・・・・・

頑張って内外装を徹底的にクリーニング。ディスコかライブハウスにでも設置されていたのか、煙草のヤニと埃で真っ黒。もの凄い臭いで閉口した。さらに冷却ファンがヤニと埃で完全に固着し、ローターが回転していなかった。

片チャンネルは出力が低く、高域が大きく歪んでおり、これはダメかと思ったが、半田のやり直し、クリーニング、接点復活、冷却ファンの再稼働、などをコツコツ進めたら、なんと復活してしまった。

肝心の音であるが、一つ前のMicrotech600との比較で、高域の解像度、透明感が明らかに向上している。また低域も従来の厚みを残しつつ、抜けと躍動感が向上していて満足のゆくものであった。内部の構造、回路構成などは基本的に変更がないようなのだが 、細かいチューニングに違いがあるのか、あるいは個体差なのかは不明。

いずれにせよ、50年代ジャズをゴリゴリ聴くなら古い方のMicrotech600が、クラッシックやフュージョン、ロックを幅広く聴くならMacrotech600が良くマッチすると思う。クラッシックの高弦の分解能やホールトーンの再生力も高まっており、CDの録音さえ良ければ楽しめる。

以前のMicrotech600では、このあたりに不足があり、やや単調な演奏となりやすく、それで低音専用アンプという話になっていたと思う。その辺がやや改善していて、これは使える!隠れた名機ではないかと思う。

現在、サブシステムのクオードのESL63pro(これもまたジャンク再生品なのだが・・・笑)の駆動用に活用している。

ESL63proとの組み合わせでは、素晴らしい駆動力を発揮し、コンデンサー型とは思えないしっかりとした音像を出現させる。低音も含め、迫力充分である。しなやかさや音楽性、雰囲気などの脚色で聴かせるタイプのアンプではないが、いろいろな傾向の音を出すことのできる、かなりのポテンシャルを秘めた機材だと思う。

どちらかといえば音像型、パワーを持った機器だが、使い方次第では繊細な再生にも対応できそうだ。

厳しく言えば、バイポーラトランジスターの限界があり、高域や雰囲気感に関しては良質のMOSFETや3極管のアンプには及ばないので、下手に使うと平面的で単調な音になる可能性もあるのだが、この積極的で明るい個性は捨てがたい魅力である。

駆動力に関しては抜群である。JBLの重いウーファーが軽々と鳴る。そして余計な音が出ない。 またスピーカーからの音離れがよい。音が良く飛ぶ。通常大人しいプレナー型が意外に熱く、積極的に鳴るのは実に有り難い。


最近リース落ちの機材が相当数中古市場に出てきているので、程度にさえこだわらなければ、比較的手軽な値段で入手できるだろう。これはカナリのお勧めである!チョット重いのが難点か?(17-18kgぐらいか)

ティアック、エソのCD直結でバリバリの立体音像を狙うとか、あるいは性格がまるっきり正反対のテクニクスのプリやフィリップス、マランツのCDなどの組み合わせは、しなやかさや透明感が出て、案外ハマルようだ。逆にオールドマッキンやアムクロンのプリとの組み合わせでは、好みにもよるがやや線が太くなりすぎる場合もあるかもしれない。とにかく出来るだけ良質のプリやCDプレーヤーと組み合わせたい。


冷却ファンの音は、例によってヘアドライヤー並の大騒音だ。 そのままでは夜間のBGM用にはちょっと使えない水準の音である。

そこで今回は、冷却ファンをローターごと撤去し、筐体を横倒しの縦置きに設置してみた。ヒートシンクで加熱された空気はそのまま上部(側面ポート)から抜けてゆく。ハッキリ言って禁じ手だが、これでも家庭内での小音量、短時間試聴ではヒートシンクや筐体の加熱もなく、問題はなさそうである。

2008年4月28日月曜日

オーディオの沼と飛躍

オーディオのキャリアを持つ人は、ある種の「洗礼」、あるいは「痛い沼」を経験しておられるのではないかと思う。




「洗礼」とは、ガツンとノックアウトされること。想像を超える音世界に衝撃を受ける。

分厚いキャリアのある、マニア宅などを訪れると、そういった経験ができる場合がある。それが良いか悪いかは別として・・・・。

「痛い沼」とは、努力や投資の割には、さほど報われない、無駄な努力を積み重ね、彷徨い続けること。

どちらも経験、ということになる。

一方、予想外の 「飛躍」 という有り難い経験もある 「痛い沼」を彷徨って 何らかの「洗礼」を受けて突然ブレークスルーが起こると、音世界が豹変したようにめざましく向上する場合がある。

いずれにしても「飛躍」を遂げるには、センスもさることながら、「継続」と「キャリア」がモノをいうことは確かだ。

一口にキャリアと言っても、ただメーカー製の機器を購入して、それを繋いで、ほどほどの処で他の機種に乗り換える・・・・を何度も繰り返しているだけでは、(機器の値段のランクを極端に上げていかない限り・・・ 笑) めざましい飛躍は起こにりくいような気がする。

一方、実になる経験、キャリア というモノもあり、例えば音の出口であるスピーカーに関して、自作を含め、徹底した、幅広い経験をすると、それが後々大いに生きてくることが多い。

16cmから20cmクラスのフルレンジ一発、メーカー指定箱を作ることが、どんなに素晴らしい経験になるかは、やってみた人でなければわからない。

学生時代、あり合わせの材料でダイヤトーンの610DBの指定箱を作り、FM放送を始めて聴いたときはアナウンサーの声に驚いたものである。その後は金子英男式に順次改造し、ユニットフレームの徹底強化、ランバーコア材、ブチルの複合2重箱、レジンコンクリートとコルク材を使ったフロントバッフルの無共振化、2ウエー化などで徐々に進化し、一本35キロのシステムとなった。フルレンジのバスレフ動作を徹底的に追求するだけで、めざましくナチュラルかつハイファイな音になることを経験したのは有り難かったと思う。

(ただし、最近は自作に適当なユニットそのものが無く、こうした経験を積むチャンスがほとんど無くなってしまったのは悲しい。人の声帯域を一つのユニットでシームレスに再生することの大切さ、ネットワークなどの夾雑物の入らない音の良さは、最近のハイエンドシステムに再導入され、見直されつつある、基本中の基本のコンセプトなのだが・・・・・)

箱の板材、箱の強化、2ウエイ化、ネットワークを通った音、チャンデバを通した場合の音の変化・・・・

さらには、プレナー型システム、コンプレッションホーンのシステム、ビンテージユニットなどなど、それぞれに得失がある。それぞれに得難い魅惑的な世界がある。

やや極端な(?)道もある・・・。バックロードホーンやフルレンジの平面バッフル、超小型点音源システムや超大型システム、超高能率システム、極端なマルチウエイシステムなどなど・・・。

これらの世界は実際かなり魅力的である。が、自分の力量を超えたシステム(沼)にトラップされると、なかなか抜け出せない・・・・。時として本当の楽しさを失い、自分の好きな音、音楽そのものを見失う危険性すらはらんだ、カナリ危険な世界でもある。


206AXA アメリカ人の前所有者が、リコーンの際にビニール製の不可思議なエッジに交換していた。なぜこんなことをしたのか大いに謎である。 音は案外問題ないのも不思議



まあ、あまり肩肘張らずに、基本に忠実なところから、一つ一つ積み重ねてゆくのならば、オーディオはなかなか飽きることがない、まことに有り難い趣味である。

ただ真っ直ぐに基本に沿うだけでなく、時として定道を外れる冒険をも厭わなければ、本当に自分好みの音世界に出会えるのではないかと思う、今日この頃である。

2008年4月27日日曜日

オーディオという趣味



上が206AXA、下が206AX フレームのデザインはまるでプレス部品の様だが、実際はアルミダイキャストで非常に分厚く、強靱。
アルニコマグネットのサイズ、重量は最近出たフォステクスの製品(W400A HR これは良いです!)と肩を並べるもの。
重要な点は、巨大マグネット、軽量コーンでありながら、オーバーダンピングではない ところです。
(良質な低域が無理なく出て、しかも中域の質感が非常に高いのです。これが如何に大切かは、経験の在る方ならすぐにお判りかと・・・・ちなみに最近の製品ではW400A HR は本当にお勧め)



オーディオの趣味は、なかなか幅広く、また微妙な世界でもある。

音楽好き、機械好き、レコード蒐集家、マニア、電気工作系、PA(SR)系、PCオーディオ系・・・
ビンテージ系、ヘッドフォン系、携帯オーディオ系・・・・・・

予算も幅広く、携帯電話のおまけのヘッドフォンから、ハイエンドと呼ばれる、ウン千万以上の天井世界(これは価格設定が茫洋とした一種異様な世界)まで ・・・・

結論としては、音楽(もしくは音)が楽しく聴ければ良し とするのが吉である。

携帯の音でも、感動することは多い。

ただし、オーディオ自体、なかなか奥深く、本物のコンサートよりも感動することも珍しくない・・・というまか不思議な世界であり、趣味とするにはもってこいである。

音そのものを聞くのか、音楽を聴くのか

収録された場の雰囲気を含めて聴くのか、演奏の方に関心があるのか

機械そのものの持つ音を聴くか、制御して狙い通りの音を引き出そうとするのか

工作や手入れによる変化を楽しむのか、オリジナルに忠実な音の再現を目指すのか

半田ごてを握るか、買い換えを決断するか

人それぞれ、かなり目指すベクトル、行動が異なるので、それぞれの向かう音世界が、どういったものなのかを想像してゆくと、まことに興味深い。

また、予算の大小はいかんともしがたい(笑)が、個人的にはご家族とどのように折り合いを付けているのか聴きたいところである。(最近は設置場所や専有面積が、予算以上に重大問題だ)

私自身は音楽が好きだし、それをノリ良く、楽しく聴きたい。また、出来る限りリラックスして楽しみたい。

さらに、演奏会、収録現場の雰囲気も含め、あたかも目前で演奏していただいているかのような、ホログラフィックな音場、目前に等身大の音像を浮かび上がらせるのが大好きで、いろいろとまあ楽しくやってます。
レコードの収録状況に合わせて、原音を生かしつつ微妙に味付けを追加したりすることも積極的に試みている。特に演奏は良いが、録音の良くないディスクを楽しく長時間楽しむためには、必須事項ではなかろうか・・・・。
このブログのコンテンツはオーディオの機械のことばかりだが、そのココロは、
この機械であのディスクを再生したら、きっと素敵な音世界になるだろうなあ・・・というタクラミでやっております。
チラッと一聴して機械の筋を読み、組み合わせた最終的な音を想像する、で、実際に試してみる。これが最高に楽しいわけです。

もちろん思い通りになったら、後は存分に音楽に浸ります。日頃のつまらないことを忘れて・・・・、実際かなり癒されますね・・・。

2008年4月22日火曜日

Sansui SR-929

アナログから遠ざかってはや25年。久しぶりに引っ張り出してきたレコードの表面はカビだらけだった。

今から思い出しても、昔聴いていたアナログレコードの音が良かったという印象は特にない。

当時使っていたプレーヤーとカートリッジがあまり上等ではなかったことが原因であろう。当時は普及機に付属のMM型のカートリッジをそのまま使うのが主流であった。 それをテクニカの中級カートに交換して随分音が違う物だと驚いた記憶がある。

大概はレンタルレコードをカセットにダビングして、そのカセットがすり切れるまで聴いた。たまにエイヤと買った貴重なレコードは、レコード針でトレースすると、みるみる溝がすり減って音が劣化しそうなイメージがあったので、あまり聴かずに大切に保存していたと思う。 今から思えば勿体ない話で、良いコンディションの針やプレーヤーであれば、針はさほどレコードを傷つけないものだということを最近知った(笑)。

当時、MCカートリッジが使える人は限られていた。MCは針交換が出来ず、別途トランスやヘッドアンプが必要であるから、学生の身分ではまったく縁の遠い世界であった。

最近になり、ジャズ喫茶でレコードとCDを聴き比べているうちに、アナログの伸びやかな音に惹かれるようになってきた。

あくまでサブシステムとしての位置づけだが、そこそこ楽しめる、アナログレコードの試聴システムが欲しくなってきた。

アナログプレーヤーシステムの選択は悩ましいが、なかなか楽しい。 あまりにマニアックな機種では楽しめない。しかし中途半端な機種では粗大ゴミを抱え込むだけだ。銘器は恐ろしく高価で手が出ないし、大がかりとなる。手軽に扱えるスマートな機種は無いものだろうか?

で、いろいろ検討した結果、トーンアームが素晴らしく、音もジャズに相性が良いとの噂で、なおかつキャビネットの仕上げの良さから、Sansui SR 929に興味を持った。しかし、程度の良い物は殆ど流通していないし、どうせサブシステムでしかないアナログに大枚をはたく気はないので、ジャンク品を試しに入手してみることにした。

オークションの超格安品であったため期待していなかったが、案の定、ターンテーブルの駆動部が故障していた。ターンテーブルがみるみる加速し、超高速回転をするのには驚いた。

時間がかかったが、電解コンデンサー類を全て新品に交換。各部の調整で、なんとか動くようになった。

完全には直っていないようで、クオーツロック部が暴走する時もあるし、時々駆動開始時にテーブルを手回ししないと起動しなかったりもする。

まあ、気にはしないが・・・・・手回し始動の気分は、まるでノッティンガムアナログスタジオである。(爆)。








カートリッジは、これまたジャンク再生品の、シュアー V15 Type4である。

これもジャンクを復活させたきわどい品なので、本来の音なのかはまったく不明であるが、なかなか分厚い、ノリの良い音を出してくれる。 ジャズマニアの多くは有名なType3を使っているらしいが、相場が不当に高いような気もするし、クラッシックも、ジャズも、ロックも聴く場合には、繊細な音もそれなりに出て、それなりにノリも良いType4もなかなかイケル。

ややくたびれた、ジャズレコードにも、かなりマッチするカートリッジだ。しかもトレース能力が高く、簡単にはビリ付かない。

改めて懐かしのレコード達を聞き返し、感動している。とにかく伸びやかに鳴る。意外に感動的なのが80年代ぐらいから90年代ぐらいまでのロック、フュージョンなどである。再販CDよりも明らかに良い音がする物が多いのには驚く。なにしろ音の伸び、ノリが良いのである。こんなに音が良かったのならもっと早く試みるべきであった。 SR-929、実はあまり期待していなかったのだが、さすがは名機と言われるだけのことはある。アームがよいのだろうか?カートが良いのか?昔聴いたレコードの音とは雲泥の差である。この程度の入り口でこの音なら、突き詰めていったら凄いことになるだろう。マニアがCDを捨て、アナログ回帰する気持ちも判るような気がする。

一方、クラッシックのレコードは、なかなか気難しく、特に録音レベルの低いものは、ピアニッシモがスクラッチノイズの海に埋もれてしまうなど、あまり芳しくない。CD以上にフラットでダイナミックな音を出すには、録音、カッティングの良質なレコードと、かなり上等なカートリッジを選ぶ必要がありそうだ。今日の直接のライバルとなる、SACDとの比較では、ちょっと辛い感じである。

とにかく、アナログレコードは期待以上に良く、気分転換にも最高である。最近のお気に入りである。

2008年4月21日月曜日

ALTEC 299


パスカライト アルミ系ダイアフラムだ。
マニア向けにはアルニコの288の方が有名だが、
ジャズだけでなく、クラッシックも聴くのなら299だ。

聴感上、エネルギーバランスがフラットで、高域がより伸びているように感じる。
ツイーター無しで充分いける。

アルミは案外癖が少ない。繊細な音も、厚みのある音も出せる。
個人的にはチタンより好ましいように感じる。

また、アルミは、ベリリウムと比較し、総合的なバランスで案外上回るかもしれない。理由はごく単純で、中域での固有音、付帯音が少ないのだ。

ベリリウムは高域の伸び、分解能など、確かに良いのだが、中域に関しては、付帯音が気になることがある。

結論として、299を使っている。今のところ大きな不満はない。使いこなしで大きく音が変わってくるのが面白い。アンプを上手く合わせると、かなりのパワー感が引き出せる、サックスやシンバル音にハッとさせられる。しかもオーケストラのバイオリンパートも充分にこなせる解像度がある。神経質すぎない分解能がむしろ音楽的で好ましい。確かに最高域は伸びていないが、シンシン、シャンシャン、雰囲気+αの部分なのであまり気にはならない。

299、我ながら渋いチョイスだと思うが、パフォーマンスの割には知られていないので人気が無く、またSR落ちの中古品が豊富に流通しているため、時として異常に低価格で手に入れることができる。

フトコロが痛まないのが実は最大の長所ではないか。

2008年4月20日日曜日

Tru-sonic 206AX レストア2




破損したエッジをセルロース系ボンドで補修し、リコーンキットの手順同様に、何とか組み付けることが出来た。



最終的にインピーダンスは約34Ωとなった



音出し。ボイスコイルの擦れもなく、カラッとした、スムーズな音が出た。感激である







AXとAXAではコーン紙が異なる。AXはフィックスドエッジ、AXAでは初期がフィックスドエッジ、後期はフィックスドエッジ上にビスコロイド?塗布と大きな違いがある。

その他ビスコロイドを塗布したクロスエッジらしいAXAを見たことがあるのだが、これは補修の際にエッジ交換したのだろうか、あるいは最後期のオリジナルなのかは不明。

またコーン紙がAXAの後期ではやや強靱なものに変更されているようだ。

さらに外観上の大きな違いとして、AXAはホーンに合わせて切り欠けを付けたセンタードームが追加されている。

音の印象も若干異なる。低音の深み、解像度はAXA後期、パルシブな音の立ち上がり、ボーカルの繊細さはAXにやや分があるようだ。

また、黒い箱に入ったネットワークもAXAではアッテネーターが付き、内部も大幅に変更されているようである。(ネットワークボックスの蓋を開けると、中はタールで封印されているため、回路の中までは確認できていない。)

Tru-sonic 206AX レストア

重い腰を上げて、ようやくTru-sonic 206AXのレストアに着手。

本機は特殊なハイインピーダンス(500Ω)仕様である。この高インピーダンスを、通常のアンプでもドライブ可能な実用域まで下げたい。

当初は、ボイスコイルの交換を検討したが、音がまるっきり変わってしまうからやめた方がよいとの意見が多数。また交換用の2インチボイスコイルは入手困難。

そこで、ボイスコイルの途中にタップを立て、短縮することでインピーダンスを低下させることを考えた。当然大電流となるため、ボイスコイル断線の可能性も出るわけだが、強力な磁気回路を持ち、100db前後という高い能率があるため、実用域での電流量は上がらないと判断。


最初16Ωを考えたが、2センチほどのロングボイスコイルの幅1/3程度にしか達しないため、32Ω 2/3幅とした。


206AXの磁気回路は、ロングボイスコイル、ショートヨークのデザインなのだが、ヨーク幅は約1cmもあった。


劣化したコーン紙のエッジを破壊しないように慎重に剥がし、コーンを分離した。この作業はかなり難航した。剥がすとボロボロと片縁が崩れてしまう。

フィックスドエッジの初期型AXのコーン紙。ホーレー製と言われるが、現在は極めて入手が難しい。



シリアル番号が見える 頂角がかなり深いコーンだ。





フレーム内部。ボイスコイル径は2インチである。4インチ径が標準のJBLのユニットと比し、ボイスコイルはかなり小さい。