2008年7月30日水曜日

Super Trio ライブ録音の再生の難しさ



演奏は最高・・・・・・・ 録音は今ひとつ・・・・・涙。


写真をあらためて見て驚く。2人とも、ずいぶんと年取った感じである。

チックの腹・・・・結構すごいことになっている・・・・(笑) そういえばチックはメキシコ系アメリカ人であったような。いかにもヒスパニック系の中年男性らしい感じの立派なお腹なのである。

スティーブガッドも写真では凄く老けて見える ・・・・・もの凄く格好良かったから、ショックである。

しかし、演奏は凄い!のひとこと。

おじさんパワー炸裂である。

スティーブガッドのドラムスは圧倒的なドライブ力があり、官能的である。衰えは一切感じられない。

チックのピアノも熱く、そして走る・・・こんなに情熱的だったのかな?意外な感じですらある。

マクブライドも頑張っている。押さえが効いて、非常によい感じ。

とにかく、全曲、テンションが凄い。密度の高い演奏である。

ワタクシ的には文句なしのアルバムである。

何度も何度も繰り返し聞いているが、何度聞いても凄い。


ところが、非常に残念なことに、ディスクの音質は今ひとつである。

高域の伸びがなく、抜けが悪い。

混濁気味の音場である。これは何とかしたい。

こういうディスクでは、Altec 299のホーンのレベルを思い切って上げ、クロス付近の重なりを減らす、

「抜き」のクロスオーバー設定で調整している。

さらにイコライザーを積極的に使って微調整する必要もあり。

このアルバムの難しいところは、ディスクの前半と後半では高域のレンジが違っているように聞き取れることだ。前半はやや禁欲的な高域・・・・・・・で、後半に高域がのびてくる、それで設定をどちらかというと後半に合わせ、前半は我慢して聴いている。

(前半はイコライジングしても、いかんともしがたい感じだ。)

いずれにせよ、チックのピアノのタッチ、スティーブガッドのドラムスのドライブ感、マクブライドのベースの伸びやかさ・・・を、如何にダイナミックに表現できるかが、大きなポイントとなるようだ。

2008年7月28日月曜日

DCX2496



ベーリンガーのDCX2496 デジタル入力なら 結構使える。

使いこなしのコツは、DCX2496のコネクターは安物なので、接点が浮きやすく、接触不良となりやすい。ケーブルプラグとの相性が大きいのである。

安物でも良いから、接触がしっかりして、グランドアースがきちっと取れるバランスケーブルを選択することが必須である。

そうでないと、盛大なハム、デジタルノイズの嵐となる。最悪の場合、ハム、ノイズでドライバーのダイアフラムを飛ばす可能性もある。これはハッキリ言って悪夢である。

それから、電源は別系統のコンセントから取った方が安心である。比較的スイッチング電源や基盤から発生するノイズが多いようである。PCと同様に、 デジタルノイズが電源に入り、他の機器の音に悪影響する可能性がある。




なんとなく、ただ積んであるだけ、手抜きもいいところである。

もっときちんとセッティングすれば音も変わるのだろうが、こういうプロ機はラックマウントで使用する設計だから、筐体底面はふらふらの状態で動作するのが基本。足も付いていない。

インシュレーター云々で変わるかと言われれば 多分・・・・笑

民生機のVRDS-25Xなどは置き方で音がコロコロ変わる。恐ろしいくらいに・・・・。

今はなんとなく、あまりその辺を云々したくない気分なのである。 そのうちやろうかな程度。

予算不足故、デジタル入力源は、なんとトーシバ産のDVDプレーヤー ・・・・超軽い 安物だ。 なんともやる気のなさが伺えるでありましょう。

しかし、案外問題なく、結構イケてしまいマス。 なんなんでしょうねこれは。

デジタル入力部からDACは、そんなに欲張らなければ(対策に限りがあるし、音にも限りがあるので)ある意味、結構簡単な世界ではないかと思うのだが。 スピーカー、アンプの世界と比較して。



ところで、置き台になっているビクターのP-3030 は、期待はずれで、涙・・・・であった。 フォノイコ目的で買ってみたものなのだが・・・・・・ゴー○ドムントが参考にしたという噂の筐体は、確かにスリムで非常に格好良く、現代に通用する高級感があるのだが・・・   今は単なる飾りである。

P-3030 、これってホントニ名機なのだろうか?

ワタクシには全然ダメであった。アナログ入力で音場が狭すぎ・・・・・・ ひょっとしてこの個体だけがダメダメなのか? あるいはワタクシが駄耳なのか? (どっちもか?笑)

 とにかく、薄い、情報量の無い音である。(淡泊な綺麗さ、というほめ方もあるかもしれないが・・・・・これは発泡酒の話ではない。)

デジタルと比較し、アナログレコードの入力部は想像以上にシビアな世界だ、手抜きはモロに音に響く。

2008年7月27日日曜日

Amcron MT600





MT600のトランス 筐体ギリギリの大きなトランスが入っている。







とにかく駆動力がある。そして躍動感と音楽性・・・・・適度に厚みのある音

鳴らないウーファーをひっぱたいて鳴らし込む目的には、ナカナカの実力者である。

中高域の分解能と音色は程々・・・・であるが、それほど不満はない。

2U 薄くかさばらないのも利点である。

マルチの低域駆動専用なら、もちろん文句無しである。

市場価格も高くない。   冷却ファンを小型のものに交換すれば家庭使用もOKだ

こういった、良い個性と優れた音楽対応力を持ちながら

底力もあるという、信頼の置ける装置は案外少ないのだ。

ついつい手元に置きたくなる。

このアンプで鳴らないウーファーは諦めがつく・・・・・そんな感じなのである。

2008年7月26日土曜日

15インチダブルウーファーと 部屋のサイズ



ここのところ東北地方の地殻変動は凄い

地震が起きる度にベイシーは大丈夫だろうかとなんとなく心配になる。 (かなりキテルかな 笑)

非常に丈夫な蔵を改造した建物なので大丈夫なのだそうである。

ベイシーの低域は15インチのJBL2220Bダブルの巨大密閉箱

猛烈なバスドラ連打と衝撃波のような低域にインパクトのある音

マニアの夢もやはり15インチダブル である。

ショップも勧めるし、マニア宅は通常15インチダブル だからやっぱり欲しくなる。

私は・・・・諸事情により出来ないと決めている  ・・・・今のところ。

理由もイロイロあって、狭い部屋では15インチダブルはエネルギーがあまりにも強すぎる。

6-10畳程度の部屋ではすぐに飽和してしまう。

6-10畳なら本来12インチで我慢(?)すべきなのであるから(笑)。

ベイシーに行って判ったのだが、例のシステムが置いてあるところは、吹き抜けになっていてカナリノ空間がある。また隣の貴賓席とかのあるスペースもまた広い。あのぐらいの広さがあれば、簡単には飽和しないのである。

天井の高さは、低域再生限界とも直結しているらしい。ベイシーでバスドラの音が抜けて浸透する感じがするのはその辺と関連があるのかもしれない。


無理をしてでも、自宅の狭い部屋に入れたいという気持ちも良く判る。15インチダブルは確かに音が締まる。

しかしそれと引き替えに、箱やバスレフの設計が若干難しくなるようにも感じるのだが如何だろうか?

特に中小音量での15インチユニットのバスレフチューンは、シングルウーファーでもナカナカ難しい。特に長いパイプ状のダクトを使った物では音質のコントロールが難しく、ダランとした感じの低域になり、ジャズなどでは歯切れが悪く具合が悪いのだ。

いっそのこと巨大密閉か、背圧抜き目的の細いダクトにしてしまおうかと消極的な気分になることも。

で、ワタクシの好みからすると、オールド15インチユニットは、板厚のみの開口部を正面に大きめに設けること、その開口部の面積と床面からの距離で、微妙にチューンすること・・・・・・この辺で上手く妥協点を見つけている。 形もカナリ重要で、スリットがワタシ好みである。


より本格的な対処法としては、オンケン式のマルチスリット方式がある。これはカナリ良い方法で、上手くすれば音楽鑑賞向きの良質かつバランスの良い(適度にダンピングの効いた、抜けもまた良い)低域が得られる。


最近設計の15インチユニットは低域再生限界を広げる方に熱心で、一部の例外を除いてやや足取りが重めの低音である。バスレフダクトも長いチューブ状となり、歯切れも悪くなる。中域の質感もそれほど高くない。それでミッドバスが必要になり、ミッドバスのキャビネット容積が結構必要になり、そうするとクロスオーバーは・・・・・という泥沼にもなりかねない。

(JBLの4343とか4345とか、あの辺のモデルがマニアから厳しい評価を受けるのはそこら辺に原因があるのか・・・・・MK2以降はカナリ改善されたらしいのだが。JBLの4343とか434Xとかは、ワタクシ個人的には、強烈なアンプでひっぱたきさえすれば、割と鳴る・・・モデルではあると思ってマス。アメリカのマニアはアムクロン等でゴリゴリ鳴らしているそうです。JBLもアンプ次第ダナと思ったのは、四谷のイーグルのMK2。ワタクシ的には頑張っていると思ったのデス。ジャズの中庸を押さえた大人のチューニングかと。レビンソンのパワーがカナリ効いてる感じで、艶もあり、パワーもあり、ナカナカです。)

ところで、604や206AX 150C 130Aなどのオールドユニットの方が最低域を潔く諦めて(笑)いる分、抜けが良く、中域も割と伸びのある音を出す。従って多少の荒さに目をつぶれば、そこそこ音楽性も高いように思えるのだ。 (とくにジャズ)

15インチシングルでも、バスレフ動作を上手くコントロールできれば、締まりのある低音が得られるし、音量も、もともとマルチ駆動で調整はつまみ一つであるため、ダブルの必要性はあまり感じられない。

音の横方向の拡散については、シングルは確かにダブルと比べると狭い。また、コーンの深いオールドユニットは指向性がより強いので、ホーンの方をそれに合わせている。すなわち、やや狭い拡散角のホーンを選択することで、上と下の拡散角が合うように考慮している。

拡散角の狭いホーンは音の前方への直進性、音の飛ぶ感じが、いかにもホーンらしいので、面白い。
設計が良くホーン臭くないモデルであれば、60度ぐらいの拡散角の狭目のホーンはホーンらしく、しかも15インチシングルの拡散角にあわせやすいと思う。

シングルのことばかり書いたが、面で押してくるような圧倒的なパワー感だけは、やはり15インチダブルの圧勝であろう・・・。

但し、我が家で15インチダブルをやったら、確実に家から叩き出されることだろう・・・・・笑

2008年7月24日木曜日

GE 211 China 211 VT-4C



211 VT-4C

現在比較的入手性の良い211は、中国球だ。それと、数が減ったとはいえ、まだGEの211も流通している。

中国球の211で充分に満足なのだが、評判の良いGEの211も気になる存在だ。

結論から言えば、中国球でも充分に音楽再生が楽しめる。むしろエッジとスパイスが効いてジャズには中国球の方が良いカモ・・・・と思える。

じっくり聞き込めば、やはりGEには厚みや安定感、ナチュラルな質感などに、強みがあり、特に弦やボーカルはさすがに中国球よりも良い感じである。

価格差ほどの差があるかと言われると、微妙である。過去の中国製211の音はカナリ悪かったのだそうであるが、最近製造の中国球のコストパフォーマンスはナカナカ良いのではなかろうか。値段も常識的というか、300B復刻と比較して割安にすら思えるのだ。

ところで、最近軍用球が急激に不足してきて

じりじりと値段も上昇している。

GE211はWEの300Bと比べれば遙かに常識的な値段で取引されているとは言え

お父さん的にはカナリ高いのである・・・・・・・(涙)

真空管は所詮消耗品ダヨ・・・。

フィラメントはいつ切れるかもわからないし・・・・。

値段上昇の理由は、米軍のストックがほぼ放出され尽くしてきていることらしい。

さらに北米アジアを中心とした管球アンプブームも影響している。

供給が細り、需要は拡大。当然値段は上がる。

世界的な需要の拡大の理由は、やはり管球式の音の良さが再認識されてきたということらしい。

ハイエンド層も含め、一部のユーザーが、ソリッドステートから管球式へとシフトしているらしいのだ。

世界のマーケットで、中国製管球アンプが流通量の多くを占めていることは、その価格から容易に想像できる。しかし、日本製品も健闘しており、高評価を得ているらしい。

日本には、ずっと以前から聴感上の音質の優位性により、根強い管球アンプのファンが居て、日々研究を重ねておられる。

実際に日本は、今でも世界的に見てかなりハイレベルな管球式アンプの設計のノウハウやトランスの製造技術を持っている。それが今ジワジワと評価されてきているらしい。

例えば、我々も馴染みのある、秋葉原の川向こうのサ○オーディオさんの定番、2A3シングルアンプは、オーディオファイルの間で(世界的な?)高評価を獲得しつつあるという。 (ステレオ○ァイルのランキングにも入っている!ちなみに北米価格は日本価格の約2倍近いらしい・・・)

幸か不幸か、世界中のマニアが管球式アンプに目覚めつつある今、需要の高い真空管の復刻が行われるとともに、希少な真空管が急速に枯渇し、高騰するという、まことにありがたくもあり、また非常に困った状況にもなりつつある。

2008年7月23日水曜日

211 VT-4C



211 VT-4C


猛烈に暑い日が続いている。

夏場はいくら音が良くても

大型管球式アンプを

長時間使う気には、とてもなれない。

しかし改めてMOS FETと大型3極管アンプの音を比較すると

やはりかなり世界が違う。物性的にはあきらかにMOSFETだろうが・・・暑くもないし、省エネでもあるし、音場も確かに広い。分解能も凄い。

しかし3極管アンプと大型コンプレッションドライバーの組み合わせによって得られるもの、FETでは得難い音色・・・非常に魅惑的な世界があって・・・

確かに人によって求めているものが違うわけだから、こういった評価は随分人によって違うのだろうが、

個人的には、大型3極管アンプの音に引き寄せられ、ついつい火を入れて・・・・しまわざるおえない。

大型3極管アンプと大型コンプレッションドライバーの魔物のような組み合わせ・・・・・・ 

石アンプのクールさ、スタティックさと比較し、管球式アンプには、音に 伸びやかさ、躍動感、動めき・・・があるように感じられるのだ。 その特徴が露骨に(笑)出てくるのが大型コンプレッションドライバーである。

管球式アンプの音の良さと感じられる部分は、実は歪みや真空管内のプレート等の微細な共振によるごく僅かなひずみによるものだとする意見は多い。確かに、もっともな意見ではある。ただ、特性を調べると、リニアで歪みを少なくするほど音は良くなるように感じられるということもあるから、こうした球アンプの音の性質は、単に歪みが多い少ないと言った問題でもなさそうである。

歪みの多い少ないを云々するなら、スピーカーから空気振動へ変換する部分で発生する歪みこそ強烈である。アンプの特性は回路設計と物量投入でいくらでも理想的なものに改善可能だが、スピーカーだけは簡単に解決できる代物ではない。最近の一部の高級スピーカーは大局的に見ると、進化していると言うよりは、むしろ技術的に後退しているのではないかとすら思えるのだ。

理屈はともかく、大型3極管アンプと大型コンプレッションドライバー・・・これは堪能した方が勝ちというべきか・・・・音楽鑑賞そのものが、随分と楽しくなる。

2008年7月22日火曜日

michael brecker two blocks from the edge 



michael brecker

火を噴くような怒濤のサックス。

このサックスの咆哮、ブロウの吹き抜ける感じ・・・・を如何に出すかで、大いに感動が変わってくる。



このtwo blocks from the edge の El Nino

後半に向かって徐々にテンションが高まってくる、このグルーブの中で

ブレッカーの怒濤のアドリブソロ 火の出るような熱い演奏、しかしどこかクールで洗練されている。

そして Delta City Bluesのパーカッション、ドラムスの切れ、サックスのブロー



こういったサウンドは、小型スピーカーではどうしても迫力があと一歩出ないのである。

やはりパワフルなシステムが必要である。

299-206AXAの組み合わせは、サックスが吹き上げ、突き抜ける感じが素晴らしい。

但し、得意な分野なのだから、上手く再生できて当たり前である(笑)。

一方、こういったサウンドに全く不向きと思われる、プレナー型での再生にチャレンジしているところだ。



まずはコンデンサー型スピーカーである。

さすがにQuad63proでは力感が不足するのだが、そこを強烈なAMCRON MacroTec 600でドライブ。耐入力一杯で再生、これをスピーカー至近距離でニアフィールドリスニングすると、これはナカナカ・・・・・トランジェントの良さ、中低域の独特の厚みで、迫力そのものは今一歩とは言え、かなり好感度の高いサウンドとなる。



もっと凄いことになるのが、リボン式のフォステクスのRPのフルシステムである。

これはインフィニティーのIRS betaに使われたユニット群を使った自作品。フォステクスの回路図を参考に例えばネットワークはインフィニティーの18db/oct から 12db/octへ変更、低音部は1:2分割のスリット式のダブルバスレフエンクロージャーで、超低域まで伸させている。全体のチューニングはオンマイクのジャズ向きに設計したワタクシのオリジナルスピーカーセットなのだが、これを、VT52 直結 RCA5691管球アンプに VRDS25X直結の組み合わせで再生した場合・・・・・

サックスが前に吹き抜ける感じは299-206AXAと比較すると若干後退するものの、それ以外の要素はほぼ完璧に近いような ホログラフィックなサックスが眼前に出没するのであった。

とてもプレナー型スピーカーの再生とは思えない世界である。彼のクールな世界と情熱の両方を描ききるのである。



それにしても、ブレッカーは熱い。もの凄いパワーとテクニックである。


小型のスピーカーシステムで、何気なく聴くと、彼の演奏は(往年のミュージシャンと比較すると)何となく上手なスタジオミュージシャンがスマートに演奏しているように聞こえてしまう場合もあるのだが・・・・・・、本当はそうではないのだ。


パワフルなオーディオシステムで、中高域の厚みと音像の確かさ、一つ一つの音の力感を可能な限り高めると・・・・

彼の演奏のもの凄さが、ハッキリと判るのである。

2008年7月21日月曜日

箱鳴り






15インチの206AXAのエネルギーは強力なので、中大音量再生では当然箱が鳴る

最近の考え方では箱鳴りは極力抑えて音速、音離れを良くし、音場感を高め、さらに反射や共鳴を押さえ込んで静かにするように設計されるようだ。

たしかにこの方向性は正しいと思うし、小口径ユニットを大振幅で鳴らし切るには必須だと思う。上手にやれば充分なレンジ感、広大な音場、抜けの良い音が得られる。

しかしエネルギーを伴った一つ一つの音のタッチをきちんと再現するには、15インチウーファー、3-4インチコンプレッションドライバーなどの超強力なユニットを上手に飼い慣らす方が楽である。

問題はエネルギーが強すぎるきらいがあること。エネルギーをコントロール出来ずに、音が締まりすぎると全体のバランスを取るのが難しくなる。

そこで、適度に共振させ、エネルギーを吸収させる必要が出てくる。 箱の素材や設計を共振を前提に選択したり、ホーンの素材によって不要な共振を効果的に吸収減衰させる・・・・・などの対策だ。


これを間違って小口径ユニットと同じ方向性に徹底的に無共振化し、締め上げすぎると、大変なことになってしまう場合がある。  音楽をゆったり聴く気分にはとてもなれない(笑)

意図的に吸音材を減らしたり、補強桟を最小限にしたり、ホーンを金属製や硬度の高い木製を避け、減衰率の高いエンジニアプラスティック系にしたり、エンクロージャーの素材を高密度MDFではなく、接着剤極小の針葉樹系の集成材にしたり、ネジ類を純鉄製にしたり、ダイアフラムをチタンでなくアルミにするといった、マニアらしからぬ(?)方向性のチューニング(デチューン?)が音楽鑑賞的には吉であったりする。

当然のことながら、旧来の自作スピーカーの悪夢の世界・・・・・箱のボンつきや、不快な共鳴音、鈍重なバスレフの音、合板の音・・・・とは次元の異なる世界の話である。
また、かっての鉛+ブチルゴムマニア(?)の詰まった音の世界とも、ベクトルが違う(音マニアならともかく、音楽鑑賞目的には、ブチルと鉛を使いすぎると逆効果になるケースが結構多いと思う)

大切なポイントは、自分の最も良く聴く音量で、至適な共振量と減衰になるように調整する・・・ってトコなので・・・・これは試行錯誤と経験が必要で、好みもあるし、音楽のジャンルにもよるし、最も面白いところである。


積極的に共振させる時の注意点は共振音そのものがイイ音か、許容できる音かどううかというところも大切である。それで素材の取捨選択が非常に重要になってくる。

スピーカー製作の奥深さが最も感じられる部分である。そのためにわざわざ(めんどくさい)自作をする訳なのである。(あまりこの辺のノウハウが紹介されないのはなぜだろうか?)

高価なケーブルやインシュレーターなどを交換するドロ沼と比べたら、遙かに効率よく音のチューニングが出来て、自分好みの音に近づけられると思うのだが。

強力なユニットを飼い慣らすには、適度な遊び、ロスも必要、と改めて感じている今日この頃である。


2008年7月20日日曜日

マイルスデイビス




語り尽くされたアルバム・・・。

やっぱり最初の一曲で決まり、でも全曲良いですケド。

オーディオ的には最初の一曲目の冒頭のキレのあるリズム、ピアノのタッチ、これがナマの音の様に一つ一つ力のある音・・・・・これが決まれば 気分もグッと高まる。

で、マイルスのミュートトランペットが、鋭く、またソフトに、舞う・・・。

目を閉じれば、次々とご光臨・・・・、まさに手の届くところで演奏していただいてマス

至福の時・・・・である。 

こういうのは、ネットやテレビゲームの映像によるバーチャル世界とは違った、聴覚によるバーチャルリアリティー ってことになるのだろうか。

あるいはレコード演奏とか、別の創造された音世界になるのか・・・・確かに真空管やら、パワフルなユニットやらをイロイロと組み合わせて、意図的に積極的に作り出した音ではある。

少なくとも当時のレコーディングルームの感じに近いものを、今再現していることになるのかなと思う。

ま、理屈はヨクワカリマセヌ・・・。自己満足の世界であるし。

マイルスのこの頃のアルバムは、彼の非常に鋭い感性と、積極性に加えて、若さと希望、陽性さ、ユーモアがブレンドされていて、引き込まれてしまう。

一曲目のお終いの、ポンって音も、乾いていて生々しく、キマリマス。    

ワタクシは短気なので、収録されている佳曲、例えばteoなどを、何時までも聞き惚れている、っていう感じになるためには、音がナマみたいに良くなければ無理である。

とにかく、「歌うオーディオ機器」で、こういうアルバム聴くと、非常に癒される。

Ortofon MC30 S (supreme)




Ortofon MC30 S (supreme)


MC 30S MC20Sの上位機種である。

消耗品でしかないカートリッジであるから、普通は高過ぎて、まともに買う気にならないランクの商品である(笑)

これはジャンク品を入手してオルトフォンの別カートリッジから取り出した針、カンチレバーで再生した品なので、本来の音か良くわからない・・・。オリジナルのカンチレバーはテーパーの入った先端が非常に細いアルミ製である。(このカンチレバーにはテーパーが入っていない。涙)が、少なくとも発電系とボディーはMC30 Sそのものである(笑)

ちなみにオルトフォンの高級機種に採用された、アルミ製のテーパーの入った細いカンチレバー、あれにはどうも構造的に強度上の問題があったのか、スタイラスがレコードのトレース中に強いストレスを受け、アルミ棒の挿入部に食い込んで亀裂やゆるみを生じ、針先の角度が狂ったり、最悪の場合脱落するトラブルが発生する可能性があるようだ。 (スタイラスの脱落した個体が結構ある)

こんな高級カートリッジが、そうしたトラブルでスタイラスの寿命の前に昇天したら本当に泣きである・・・・・・・。アルミという素材そのものの限界ということなのであろうが、高級カートリッジとはかくも儚いものなのである(私はとてもじゃないが着いていけない世界・・・・・)

国産が一気にボロンカンチレバーに移行した理由が良くわかる。

但し、アルミにはアルミの、音質的に非常に良い面があると思うのだ。

MC30S どう表現して良いのか、ゴージャスというか、さすがというか、品位のある音である。MC 20Sのような躍動感と力感があって、そこに大人の抑制というか、繊細で上品な高域が加わる。MC 20Sのように時として高域がヒステリックになったりすることが無く、そういった意味で腰の据わった、全体に落ち着いた、適度に抑制の利いた音である。

さらに芯のある筋肉質の(?)躍動的な中低域が必要なときに、ぐんと出てくる。

クラッシックのオケのレコードなどを聴くには最高である。また、50年代のジャズのレコードも非常にクールで、抑制の中の力感が、なかなかハマル。トレース能力も非常に高い。良いカートリッジである。

2008年7月19日土曜日

Ortofon MC20 S supreme




Ortofon MC20 S (supreme)


MC 20の進化もなかなか凄いもので、サプリーム以降のモデルになると、出力、力感がさらに増している。

マグネットの変更が大きく音に影響しているように思われる。


内臓のネオジウムマグネットの磁力は非常に強力で、シェルにカートリッジを固定する際にマグネットにドライバーが吸い寄せられ、危うくカンチレバーを傷めるところであった。


音は低域の切れ込み、力感が増しており、オルトフォン特有の弾むような腰のある音が、さらに躍動的になったと言うべきか、低音にソリッドで筋肉質な感じが出ている。


中高域も一つ一つの音に力があるというか、音の粒子が際だつ感じである。

それだけでなく、ふわっとした音場感や充分な雰囲気感もあって、これもなかなか優秀なカートリッジである。

ところで、この個体だけなのかもしれないが、レコードによっては、高域が若干キラキラしたり、割れ気味になる時があるのだが、これはウオームアップとバーンインにてほぼ改善する。この辺を留意して使うべきである。


大人しく上品一辺倒な高級感とは良い意味で一線を画す感じで、音楽性を持ちながらやや躍動的な方向に振られたスリルのある音である。 この辺は好みが分かれるところかと思う。(ワタクシ的にはこの個性は大好きだ。 )

クラッシックももちろん良いが、ジャズやロックもダイナミックかつ洗練された素晴らしい音で、ナカナカ聴かせてくれる。爽快なカートリッジである。

2008年7月16日水曜日

Ortofon MC20 super II



Ortofon MC20 super IIである。
金属ボディーに変更され大きく躍進したモデル、MC20 super の二代目である。

このモデルからグッと情報量が増え、音の分離が良くなっている。非常に高分解で、雰囲気や空間描写が優れている。 ボディーはずしりと重く、重量級である。トーンアームの調整範囲を超えてしまったりするが、とにかく音が良い。

興味深いことに、この辺のモデルから、何とも言えない美音というか、ある種の気品のようなものが出てきているように感じられる。

単に美麗な音だけでなく、あらゆるジャンルに対応できるしなやかさや、節度を保ちつつも弾むような躍動感を持っている。 こういうのを音楽性と言うのであろうか?


ワタシは音楽性云々はあまり気にしない方で、どちらかというとオーディオ的聴感と特性重視な方なのだが、これは音楽性という面でも、優れたカートリッジと言えるのではなかろうか。 なかなか評判も良いらしいのだが、個人的にも非常に気に入っている。

ま、どうもワタクシはオルトフォンのこの傾向の音には弱いのである。良い意味でツボを押さえられたというべきか・・・・・。

レコードの音楽が生き生きと、しなやかに、立体的に、しかも気品を持って再生されるのだから、ワタクシ的には、ほぼ文句無しである。 設計者の音のチューニングの力と、デザインセンスが感じられる。 



発売当時は、このクラスのカートリッジは、とても買えるような代物ではなかった。

アナログレコードの時代が完全に終わってる今頃になって始めて聴いているとは、客観的に考えると、なんとも間抜けな話ではあるが、とにかくこの音を聴くことが出来て、その想像以上に高水準な音に感激している。

2008年7月15日火曜日

ortofon MC20 MKII




MC20シリーズのMK2である。これは出力がアップして、力感が増し、躍動的になっている感じである。


当時のアルバムとも非常に良く合うカートリッジで、現在も歴代MC20シリーズの中でもファンが多いようだ。


随分古いモデルなので、針のしっかりした個体は希少価値もあり、それなりの値段で取り引きされているようである。


これは再生品なので、格安で入手できた。スタイラスはオリジナルのラインコンタクト系ではない。これが本来の音なのかは、よく分からないが、とにかくなかなかダイナミックで、ノリが良い。
中低域の弾むような厚みのある音が理屈無しにいい感じである。
ボディーはプラ製でかなり軽く、華奢な感じなのだが、音は案外しっかりしていて悪くない。


お気に入りの一つで、ナカナカの秀作ではないかと思う。

2008年7月14日月曜日

ortofon MC20



今もファンの多いMC20である。今でも古さを感じさせない、なかなか新鮮かつ繊細な高音で、中低域もオルトフォンらしい厚みがある。 MC20シリーズの初代機として、高い評価を獲得した理由が解る。

ただ、出力はかなり小さいのでアンプやトランスはなかなか大変である。手元に良いMCトランスがないので実力を発揮できずにいる。

本体、カバーの大部分はプラスチック製でかなり軽い。内部の磁気回路は金属製でしっかりしているのだが。

個人的にはもう少し出力を高めて、力感がほしい感じもするが、好感度の高いカートリッジである。

2008年7月13日日曜日

SR-Λ professional STAXのヘッドフォンの騒音対策




STAXのヘッドフォン 正式にはイヤースピーカーと呼ぶらしい。

時々使う、大切なツールである。

STAXの音の良さ・・・・・、最初に聴いたときは、かなりの衝撃を受けた。 高校生ぐらいだったと思うが、こんなに良い音のする機械があるのかと驚いた記憶がある。

一時期は、スピーカーでこの音を超えるのが目標であった。

微妙な雰囲気や、ダイナミズム、音像定位を除けば、これは一種の完全なフルレンジユニットであるから、ある意味全域でフラットな究極の音の一つではある。

ヘッドフォンは使ったり使わなかったり、波があるのだが、使い出すとあれこれ機種による音の違いが気になってくる。

ダイナミック型の高級機も試聴したのだが、結局スタックスのラムダシリーズが最もお気に入りとなっている。

同じラムダシリーズの中でも、ラムダプロフェッショナル、シグニチャー、(ノバ)クラッシック、現行品、があって

音は微妙に違う。

ラムダ シグニチャー (SR-ΛSignature)は最も繊細で高域の分解能はすさまじいが、若干ハイ上がり。録音の良いレコードに限られるが、クラッシックの高弦を集中して聴きたいときなどはかなりイイ。カナリシビアな処まで聞き分けることが出来る。
ただ、通常の録音のアルバムでは、やや繊細すぎる感じで、場合によっては聞き疲れする。


ノバ クラッシック (Nova Classic)は、シグニチャーと比べると分解能が明らかに低下する、がそれでもダイナミック型よりも遙かに情報量が多く、トランジェントに優れている。中低域に適度な厚みがあって、ロックやジャズを長時間聴くのにはナカナカ良い。また録音の今ひとつのレコードはこれで聴くのが一番無難な感じである。


最もバランスが良さそうなのが、ラムダプロフェッショナル(SR-Λ PRO) だ。プロシリーズの最初のモデルで、ダイムラーベンツの依頼によって開発されたのは有名な話である。
ラムダプロの特徴は、低域の厚みとバランスの良さである。高域も非常に高分解能でありながら、バランスを崩すことがない。非常にリアルな音である。ワタクシ的にはこれがベストな様な気がする。

その他に、SR-Σという機種もあった。これはラムダプロフェッショナルのユニットを前方に設置し、パノラミックに前方定位させるというアイデアであったらしい。 箱形のユニットが巨大であった。

一時期所有していた(しまい忘れてどこかに行ってしまった 涙)のだが、前方定位といってもおでこの内側に並ぶ?感じでスピーカーの様には行かなかった。

音はラムダプロフェッショナル譲りの素晴らしいもので、かなり良かったのだが、その装着状態の異様さ(家族から止めてくれの大ブーイング)でお蔵入りになった経緯がある。
確かに装着状態の自分の姿を鏡で見ると、ヘッドギア装着のマッドサイエンティスト風で、なかなか凄い雰囲気が出ていた。人前で聴くのは止めようと思った次第である(笑)



スタックスのこの年代の機種は、ダイアフラムのトラブルが発生していることがほとんどである。アンプに電源を入れ、バイアス電圧が印加されると、ブー、ピー、ボボボボボ・・・とにぎやかな悪夢のノイズが発生するようになる。

基本的にはメーカー送り、振動板ユニット交換なのであるが、この辺はスタックスの良心で非常に納得のサービスが得られるのである。大変素晴らしいメーカーさんである。

ところが、ユニット交換をしてしまうと、上記の微妙なモデルによる音の差が失われてしまう。さて、困った。

で、きわめて姑息な方法なのだが、私はダイアフラムを、「トントン法」と、「息吹きかけ法」で蘇生(?)している。

ブーブー音の原因は、振動板が電極板に張り付いてしまうため、絶縁距離が保てなくなるのが原因らしい。弛みはどうしようもないのだが、とにかく張り付いたところが離れればブーブー言わなくなる(らしい)。で、ダイアフラムのどの辺からブーブー言うのかを聞き取って、その辺を指で軽やかにトントン色々な角度から叩いてみる、あるいは内外から強く息を吹きかけてみる。(カナリ強い息でないと無効 但し絶対に唾を吐いてはならない!)

ブーブー音が多少なりとも変化したら、ダイアフラムが動いたことを示している。

機種によっては叩く方がよかったり、息の方がよかったりするのだが、保護膜の構造によるのか良くわからない。

とにかくダイアフラムが、電極から離れれば音は止まる(ホントか?)。

止まったらラッキーで、儲けものであるし、止まらなくて音が返って増強した場合は、あっさり諦めてメーカーさんに交換に出すことになる。

ま、運が良ければ音が止まって蘇生成功!!ということになる。

久しぶりに引っ張り出してきたイアースピーカーが不調なときには試してみる価値はある。

とにかくスタックスのイヤースピーカーは凄い。最近は超高級なダイナミック型が沢山出て、非常に健闘しているのだが、トランジェントや繊細さに関して、このヘッドフォンの領域を超えることは難しいのではないだろうか。

普段、良質のホーンシステムやコンデンサーシステムを聴いていて、違和感なく充分納得して聴けるヘッドフォンは、これぐらいではないかと思う。

さらに上級のSR007シリーズも控えている。これは音の傾向がチョット違う。ワタクシ的には古いラムダシリーズの方が躍動感とスリルがあって好きである・・・・・・ 高すぎて買えないって事情も勿論あるのだが・・・・ SR007は音の厚みがややリッチすぎる感じがちょっとする 子育てが終わったら好みも変わって、買う(買える?)日も来るのであろうか?

ヘッドフォンは時々家族や隣人が寝静まっているときに使う程度なのであるが、これを手放すことはできそうもない。

(ちなみにアイポッドにはソニーのウオークマンやディスクマンが黄金期にあった頃に出た、古いダイナミック型をずっと使っている。)

2008年7月12日土曜日

不遇なアルバムの再生・・・




ソニーロリンズ

素晴らしい名演揃いである。サキコロとかは、何回聴いても凄い。

サキコロやウエストは録音もなかなか良くて、名演奏+名録音である。

でも、その他の、例えばリールライフみたいな、「佳作」をサキコロの水準の感動・・・・で再生するのは至難の業、だ。

ロリンズだけでなく、キャリアの長いミュージシャンのアルバムには、一回聴いて、録音、演奏がイマイチで、お蔵入り・・・・な「佳作」のアルバムは意外に多い。

最近、マイブームなのは、イマイチなレコードを如何に美味しく再生するか である。

CDではいくらイコライジングしても、どこかに根本的に無理があるのか、感動レベルまでには、ほぼ到達できないのである。

演奏やコンセプトは結構面白いのに・・・・・・・涙。

他力本願に、リマスター版で急激に良くなるというラッキーな場合もあるが、不人気な佳作のアルバムではその可能性は低い。

で、もしもLPが出ているなら、工夫次第で非常に美味しく再生することが可能である、ということが最近わかってきた。

解決のキーはカートリッジの選択である。

そのレコードにベストマッチの針、カートリッジを揃えると、まるで別物のような非常に躍動的な音が出てくることがある。

例えばshure V15で良く鳴る場合もあるし、オルトフォンのMC 例えばMC20 MK2辺りで好結果を出せることがある。

50年代の名録音のディスクは、比較的再生は簡単である。例えば、shure V15のType 3辺りで良く鳴ることが多い。

問題は60-70年代ぐらいの、ジャズが他のジャンルの影響で、多様化してきた頃のアルバムである。レコーディングにさしたるポリシーがなく、なんとなくマルチで録音され、なんとなくミックスダウンされているのだ。音にメリハリがないし、音場感が無いのである。



shureV15のtype 3も、type4も再生に満足のいかなかった場合、抜けの良く、力感のあるオルトフォンのMC20S辺り、あるいは低域が分厚く、繊細美麗な高域を持つMC20MK2やHMC20あたりの相性が良いかを確認している。

どれがハマルのかは、実際に再生してみなければ分からない。そこがアナログの面白いところだ。



現在は、オリジナル針だけではなく、改造して丸針や楕円針も試みて、何が良いのかを模索中である。MCカートリッジのカンチレバー先に埋め込まれているチップを交換するともの凄く音が変わるのだ。

音が変わるのは、当たり前の話なのだが・・・。これまではやる勇気がなかった。

寿命の来た貴重な銘MCカートリッジを捨てるのは忍びなく、また針交換に出すとカートリッジが新しいものに変わってしまうので、古いアルバムには合わない。それじゃあ自分でダメもとでチップやカンチレバーを取り替えてしまおう、ということで始めたのである。

ダイヤモンドチップの先端構造の変化はモロに音に効く。丸や鈍な楕円のチップでは細かい音が省略気味となるが、音が太く強くなる。

ラインコンタクト系のチップをクラッシックな丸や鈍な楕円のチップに変更(デチューン?)すると、分厚い音に変化する。これはかなり劇的な変化なので、結構ハマル。

また、カンチレバーのアルミ棒が変わると、これもまた音が変わる。発電機構は同一なので、音の全体の傾向は同じなのだが、振動部のマスや構造が変化することが音にカナリ効いてくる。



予想以上に上手く再生できると、アルバムに対する印象そのものが覆り、愛聴版になったり、演奏の印象や記憶そのものが塗り替えられる。

これはナカナカ美味しい。

2008年7月11日金曜日

299 206AXA



アルティック299ドライバー+JBLのホーンと 206AXA同軸が仲良く同居している。

ホーンの開口サイズはかなり大きく、なかなか不気味...かつ、やや異様な姿である。

そこで、通常はカーテンを垂らして、目隠ししている。

15インチのシステムとしては、非常にコンパクトにまとまった。

底面サイズはたったの45cmX50cmだ。


ホーンとウーファーのエネルギー感、押し出しが強く、指向性が高いので、スピーカーの周囲に空間を確保しなくても問題なく鳴る。

キャビネットのパイン集成材の響きが軽やかである。

299は聴感上、高域は充分伸びているのでツイーターは当面必要ない感じだ。

音はキレが良く、適度な透明感があり、パワフルである。

2008年7月10日木曜日

Shure V15 Type Ⅲ

Shure V15 Type Ⅲ


定番のtype3である。

針無しの状態で保存していたのを思い出し、奥から引っ張り出してきた。


先日一関のベイシーに行った際に、真にジャズらしい音を奏でていたカートリッジがこれだった。


良い音、特に鮮烈な音は、印象深く記憶に残るものなので、我が家でもあのカートリッジの音を聴いてみたいと思ったのである。


問題はオリジナル針が手に入らないこと。

国産のSAS針が定番で、ボロンカンチレバーを使っており、通常はこれを選択すべきだろう。


しかし、あのベイシーの腹に響くというか、えぐるような太い音は、丸針や古い楕円針系のクラシカルな音世界に通じる何かであるような気がして、あえてデザインの古いスイス製の楕円針を購入してみた。


パッケージを開けて交換針を見た瞬間、正直、しまったと思った。アルミ製のカンチレバーがもの凄く太く、昔懐かしの安物MMカートリッジの交換針そっくりである。思わず、あのさえない音を思い出してしまったのである。


最初の音出しは、案の定、大味というか、力感はあるけれども繊細さゼロの音でガッカリした。クラッシックは全くダメ、ロックも詰まったような感じでもともと期待はしていなかったが、やはりMMらしく冴えない音である。


そこで、カビカビ、スクラッチノイズの多い、50-60年代ジャズのB級品レコード再生用に使うことにした。音は相変わらず冴えない感じで、まあMMはこんなもの、と思って、BGM的に小音量で再生していたのだが、レコードを5-6枚ほど再生したところで、音の様子が変わっているのに気づいた。


針圧の微調整をし、ボリュームを思いっきり上げると、スピーカーから猛烈な咆哮が・・・・・・


ベイシーって確かにこんな感じだったヨ・・・・・ 思わずほくそ笑む。


私はハッキリ言ってMC派なのだが、この世界もアリだナ・・・・と思った。


程良く調整し、古いジャズのレコードをフルボリュームでガンガンに試聴する場合、このカートリッジはやっぱり凄い・・・・・一つの世界を持ってマス。


ちなみに黄文字のV15 Type ⅢHEは、白文字や初期ものと比し、かなり安い。これに丸針か古いスタイルの楕円針を付ければ、太くて強い音になるので、ワタクシ的には充分使えます。

文字色による音の差は・・・・・、厳密に比較試聴していないノデ、駄耳なワタシニハ、相場ほどの音の差があるのか、正直ヨクワカリマセンデシタ・・・・ハイ。

2008年7月9日水曜日

Sansui SR-929




Sansui SR-929


大げさ過ぎない、しかしきっちりと良い音を出してくる優れたプレーヤーである。



アームがとにかく良質で高感度。ナイフエッジのユニバーサル式


カートリッジを積極的に交換しながら音の変化を楽しむ使い方に向いている。


JBLの代理店を努めていたメーカーの製品だけあって、ジャズの再生も非常に良好である。


音楽に重要な帯域に充分な力感があり、ダイナミックかつシャープで申し分無い感じ。

劣化したターンテーブルシートは埼玉産(笑)のゴム製のもの(ハネタイトとかいう名前だったような)に交換し、さらに良い音に。



ピアノブラック仕上げのキャビネットも美しい。


この頃の日本のオーディオ製品は本当に光っていたナアと思う。

(ただ、オートリフターが付いていないので、聴きながら居眠りすると後で焦る・・・・。)

2008年7月7日月曜日

W400A-HR

最近注目しているユニットがある。フォスのW400A-HRだ。

これはアルニコマグネット3.1KG内磁型という猛烈な構成で
しかも強靱なコーン紙、最新のエッジやダンパーの採用により、優れたリニアリティーを備えている。

さらにオーバーダンプではなく、磁気回路のパワーと比してM0も重すぎないという、かなりイイ感じの設計のユニットなのである。  (ワタクシ的には、もうちょっとMoが軽くてQoが大きくてFoをもうチョット上げて能率が上がるとサイコーなのですが・・・・ 最近のユニットとしてはこれでマズマズかと・・・。)

久々に出たハイエンドユニットである。(設計者はカナリの通人・・・と見える。)

幸運にも、じっくり試聴することができた。 (秋葉原の○ノオーディオ様 ありがとうございます)

(子供の養育費のかかる、オトーサンであるワタクシ的には当然予算オーバーであるから、あくまで将来の参考までということで・・・・苦笑)

非常に素直な音で、中域の質感、抜けが優れているのが特徴。
しかも低域は良く伸びていながら、ハイスピードで、切れもなかなかよかった。

特に、高域に大きな暴れや張り出しがないので、クロスオーバー付近の繋がりも楽だろう。


フォステクスのユニットは、マニアや雑誌が騒がない一見不人気なユニット(=静かな話題のユニット)が、実は本当に優れたユニットであったりする。

W400A-HRは、非常に高く評価できる製品だと思う。

下手なオーバーダンプ気味の往年の銘ユニットと比較すれば、遙かに楽に良質の中音、低音を得ることが出来るだろう。 また一時期流行した、低域重視でFoの低すぎる15インチユニット群と比較し、これはあきらかに中域も重視した設計であり、ミッドバスなしでクロスを高めに設定することができる。

206AXAとは対照的な、非常に現代的なサウンドである。すなわち、やや抑制的でかつ、フラットレスポンスでナチュラルである。

一方、音の切れ味や音塊に含まれる力感には似通った部分があるのは興味深い。強力なアルニコマグネットを使用した磁気回路の威力・・・・・ということなのだろうか。

ま、こういった世界は好みもあるし、値段もさすがに張るものなので、色々な意見があると思う。

しかし、おそらく実際に買った人で後悔する人はあまりいないのでは・・・かなり満足度は高いのでは・・・・と想像できる完成度の高さである。

今のところあまり話題になっていないし、メーカーのデモや販売促進はG130などの小口径ブックシェルフやトールボーイが主体なようなので、ひょっとすると販売戦略的にはハイエンドAVシステムのスーパーウーファーとして使うといった方法でしか積極的に検討されていない可能性すら感じられるのだが、それではあまりにも、もったいなさすぎ・・・・・・な、隠れ超優秀器ではないかと思われる。



2008年7月6日日曜日

渋いアルバムを楽しく・・・・・

オーディオ機器を整えて音の鮮度、立ち上がりなどの物理特性を高めてゆくと、感触(音触?)、力感、浸透力、音場感などが改善されてくる。

これは理屈無しに楽しい世界なので、音(サウンド)マニアというのも充分に成り立つ趣味である。この場合はチューニングのベクトルは良い音、そのものにある。

従って音のソースは、どちらかというと、演奏よりも、とにかく録音の良いアルバムが優先され、それを如何に迫真の音に再生するかチャレンジするのが主な関心事となる。

故長岡先生は教会でのワンポイント録音や自衛隊のLPを試聴されていたことで有名である。 部屋がまるでヨーロッパの厳かな教会になって、天井が猛烈に高く感じられたり、部屋が富士山麓の演習場になったり(笑)する音のイリュージョン。これは痛快であるし、ハッキリ言ってカナリ面白い世界だ。 時にはライバル心を燃やして競い合ったり、刺激しあったりという熱い部分もあったかと思う。

私も正直、学生の頃などに一時期大変嵌っていた。しかし最近は音楽がメインになって、機器選択、チューニングもかなり変わってきた。自分の好きな音楽、ジャンルが明確になってきたことが原因だと思う。


あくまで音楽にプライオリティーがあって、それに合わせて音のチューニングをするという順番になってきた。


ま、本来あたりまえの話・・・・なのであるが、ようやくそういった感じでオーディオのチューニングをするようになってきた。そうすると、アルバムによっては、かなり凄みのある音楽再生も可能となる。


うまくすると、目を閉じると目の前で演奏している・・・感じになるので、往年のミュージシャンのまさにご光臨・・・・である。マイクの前に立って、口が近づいてきた感じがしたり、スタジオやステージ周囲のざわついた雰囲気がありありと浮かび上がったり。

しかも音量や音像や迫力は自分の好みで調整し放題。これは楽しい。

ワタクシ的には、音像、音塊一つ一つに、如何に力感を込めるか、そしてフォーカスはシャープだが絞めすぎず、ほんの僅かに輪郭をフワリとさせる(僅かなトロリ感、フワリ感、浮遊感を付ける)感じで整えている。 芯は入っているがエッジは尖らせない適度なシャープさ(?)。ちょっと聴きはごくフツーの音に(わざと)するようにしている。

そうすると、まるで目の前で演奏していただいている・・・・・迫真のリアリティ・・・にも関わらず、なおかつこれは再生音楽ですよね・・・・・的なほのかな安心感もあって、幅広いソースに適応でき、長時間リラックスして試聴を続けることができる。

暗騒音や雰囲気、音のエッジを狙いすぎるとかえって音楽に集中できなくなってしまうので、そういった要素の音も充分に出ているけれども、エネルギー的にごく控えめになるようにしている。

最終的にそういう調整が出来ると、音楽、音に長時間集中でき、演奏そのものに心底浸れるという訳である・・・。

以前はそういった辺りが上手くコントロールできず、機械、雑誌、ショップ等に振り回されていたナ・・・というのが正直なところである。

また、ビンテージ機器にしても、ハイエンド高級機にしても、機器そのものの音色が美麗過ぎない方がよく、程々が良いのではないかなとも思う。そういう意味では実直、愚直に作られていた黄金期の日本製品や米国のプロ用製品(特に戦直後の機器など)は扱いやすい。


振り返れば、プレナー型の導入、管球アンプ(ロフチン、大型三極管)、CDプレーヤーのチューニング、15インチビンテージユニット、コンプレッションホーンの導入などがブレークスルーになったと思う。






こういうシブイLPも、実に楽しく聴くことが出来る。自分自身にとってのミュージシャンのイメージや評価そのものが変わってくるほどだ。非常にありがたいことである。

2008年7月5日土曜日

純鉄 アルニコV フィックスドエッジ 15インチ


このユニット206AXAは、純鉄磁気回路 アルニコVマグネット フィックスドエッジコーン 15インチ ダンピングは中庸 などの特徴を持つ。

ハイスピードで非常に切れが良く、しかも力感のある低音は、このユニット最大の特徴である。

大胆なカラーリングは、いかにもステフェンス(スチーブンス)らしい。

2008年7月1日火曜日

206AXAの低音とクロスオーバー周波数設定

206AXAに換装し、いろいろなレコードを試聴しながら調整している。

ネットワーク調整はなかなか奥が深い。

206AXAの2ウエイ同軸ホーンの音は中高域に張りのある、バリッとした音である。これは古いジャズのレコードにベストマッチである。

しかし、最新録音のアルバムの再生では、時としてフルレンジらしい音、ややナローレンジでいかにも古ぼけた情けない感じの音になる場合がある。

良く聴き込めばワイドレンジなのだが、バランスが中域寄りであるためにワイドレンジな感じがしないのである。

鳴らし込みはまだまだこれから、というところもあるが、キャラクターのハッキリしたややクラシカルな音である。 ビンテージユニットだから当然のことだが。

一方、299のホーンとの2ウエイでは、クロスオーバー、遮断特性の調整でいくらでも音が変わる。

中庸を行くのが、650-800クロス、12db/octである。これは中域の厚みがありなかなかナチュラルなボーカルである。

一方、ジャズやロック、フュージョン(死語)の場合、このセッティングでは中域の抜けが悪く、混濁感が出てしまうことが多い。

500クロスの48db/octという急峻な遮断では、その辺の不満がクリアーされ、非常に抜けの良いハイスピードな中域が得られる。

しかし、500クロス48db/octでは古いボーカルのレコードを聴くと 中域、中抜けのスカスカな感じになってしまう。 また、500にかかる楽器の違和感が出てくる

全ての要求を満たすことは難しく、従って調整作業はなかなか決着せず、常に悩ましいのであるが、これもまたマルチの楽しみである。