2016年5月18日水曜日

低評価アルバムの美味しい味わい方  Miles コンプリート・アムステルダム・コンサート 1960



超貴重な発掘音源との前評判の期待を見事に裏切った 的な 意味で有名な?アルバムです(汗)

特にコルトレーンファン側からは、おしなべて低評価になったようです(当然ですよね・・・)

おそらく、当時保守的な当地のファンからすると(なにせベニーグッドマンは大受けだったらしいですから)コルトレーンの超控えめなシーツであっても 拒絶反応をきたしてしまったのではないか、それで主催者がお客の反応を見て大慌て、舞台裏で契約を振りかざしたねじ込みなどがあったであろうということは容易に想像できる。

コルトレーンもまだまだ売り出し中の身、これからソロで羽ばたくという直前、そこでアウェーの洗礼・・・
(マイルスの演奏すら受けはよくない感じであるからコルトレーンへの風当たりは容易に想像できる)

そういう中で、けなげに契約義務を果たしている、その逆風の中で、探るようにして現在挑戦している新たなスタイルを ごくごく控えめながらしっかり出しているのはエライ。

それをやる気がないとか切って捨てるのは・・・・ファンとしてどうなんでしょうか?

北米生活すると、なんとなく(立場が弱いシーンではとても辛いのですよ・・・)よくわかるのですが、
コルトレーンえらい!と思っちゃいました。



で、このアルバムの評価を落としている大きな理由の一つが、アムステルダムコンセルトヘボーにしては  さえない音質 というのが相当あると思います。(ワタシモ 帯を見て、音質を期待して買いました はい 涙)

なにせ完璧にモノラル音源で、しかも ライブなんで・・・・・ 帯域は見事なカマボコ型でございます。(ブートレグ的な)

これを最近のフラット、ワイドレンジ、音場感豊かなSPで再生したら 何じゃ!! で真剣に怒るヒトもおらっしゃると思います

しかし、一方的に批判するのではなくて、再生する側の工夫も必要かもしれません。こういうカマボコモノラル音源は、やはりモノ専用システムでの再生が必要です!

で、こういう輩にはやっぱり15インチがおすすめですよ! 黄金期の同軸の! チョイスは Altec 604, 605 True sonic 206AX P52 あたりがトドメです。

こういうユニットで、若干音量大きめ、かつ、バスとトレブルをEQでブーストして、さらにラインにブースターをかませて、厚く盛ると、仰天!かつ、ご機嫌な音に豹変します。(マジで・・・・)

昔は高嶺の花だったユニットも、今や黄金期の定番15インチ同軸すらも、希少性のあるモノを除けば、モノラル片われの半端物等は破格で売られていたりしますので、それらを救い出して、またブースターも高いバッファーアンプなんてのは不要でして、べーリンガーの数千円のミキサーで十分な効果が出ます(あまりのCPにビックリだ!)

で、そういったモノラル再生対策をして改めて聞き直すと、これって名盤じゃね?的な感じです。

コルトレーンは旅の疲れもあるのか、あるいは聴衆の反応がショックだったのか、若干よれた感じはあるものの、それでもなお聴衆との距離を探りながら、これまで挑戦して開拓してきた新スタイルを、音量ミニマムに絞りながら、できる限りソフトに演奏してファンに伝えようとしているかのような涙ぐましい努力が・・・・・(大排気量のレーシングカーが公道をおとなしく走っているような感じかも )ひしひしと伝わってくる。

圧巻はマイルスの演奏で、安定感抜群なソロ、モードスタイルでど真ん中を静かに突き進む感じは黄金期のマイルスのすごさがじわりと伝わってくる。

リズムセクションやピアノのケリーはいい感じなので アンコール演奏?で、保守的な聴衆から大受けなのが逆に涙を誘う・・・

という訳で、さまざまなドラマが想像できる、演奏の面からもある種名盤であって、音質的にも周波数レンジは狭いが、Dレンジは十分なので、再生系さえ良ければ快感、かつある意味高音質な名盤なのだということがわかりました。

中古版が値崩れしているのでもし見つけたら一度きかれることをオススメします。

2016年5月15日日曜日

久しぶりに火を入れてみる・・・

しばらく更新しておりませんでした・・・ 汗

あまりにも仕事が忙しく、趣味の時間よりも睡眠を優先しておりまして。
爆睡や寝落ちなしには生きられないような状況になっておりました 汗

レコード店にも行けず、アマゾンの徘徊すらできず ストレスはマックスに
さすがに気分が滅入ってしまい、久しぶりに気分転換にCDを買い(オワコンですな)
我が家のオーディオシステムに向かいました。

中断しておりましたが、仕事の中でSRやPAを使うようなイベント物があったり、ウエブ配信のコンテンツを作る必要があったりで、映像と音に関するプロの皆様と交流していたので、オーディオから離れた訳ではありません!(爆)

とはいえ、最近のイベントのSRの様子を舞台の裏や表からいろいろ体験できて、なかなか興味深かったです。予算や規模感、短期のイベント 会場の頻繁な移動など 出張設置撤収のサイクルが基本の今日のSRシステムなので、基本的に可搬性が求められ、軽薄短小ほど良いのですが、会場の興奮を煽るには(爆)大音量、重低音、ボーカルの浸透力、音飛びなどを重視した、各種制約の影響を受けても、最大限のパフォーマンスをひねり出す辺りにプロの匠を感じたのであります。

で、イベント+仕事の嵐が去って、ほんの少し落ち着いた?ので自室でオーディオを聞いてみて・・・・ あれまあ の出来事がございました。

中域の299ドライバーの駆動を担当するVT52 アンプの火を久しぶりに入れると、バシッという音とともに青白い光が水銀整流管の中で光り、やな予感がする 音が出ない・・・・汗
やばいな、と思ってチェックするとパイロットランプも消灯して、過大電流によるフューズ切れと分かった。出力管が破損したかと思った 大汗 フューズを交換して音が出て安堵

あらためて我が家のシステムを半年ぶり(爆)に稼働して聞いてみた・・・
イベント用の最新のSRシステム(比較的高価な構成)を最良の客席で聞くよりも、明らかに良い音ですな・・・・実感

なんか潤いがあって、切れもあって、音飛びも良くて、ボーカルの肉声感もあって、
各楽器の実態感もあるし、なにより低域の質が全然違う。軽くて明瞭で抜けが良い

おそらくその理由は
最近のSR用の基本である、ミッドの(フルレンジ+ツイーター)のアレー状のスピーカーでは
往年のコンプレッションドライバー+大型ホーンのようなトランジェント、能率、音離れは出せないようです。
さらに最近のSR用の低音増強用ウーファーボックス(15−18インチ)では
オーディオ黄金期の15インチユニットの磁気回路、ゆとりあるボックス、最適化されたバスレフによる真に抜けの良い、音飛びの良い良質な低音を出すのは困難である・・・・ということなのではないかなと、改めて感じた次第でアリマス。

最新型SRシステムは可搬性とコスト抑制のためスピーカーの構成が、ローコスト+単純化しております。これをなんとか支えているのが高効率なデジタルアンプや大出力アンプの存在、高品質+高機能なデジタル音響調整機器群なのですが、最後の音の出力部であるスピーカーの性能限界の低下により、音圧や迫力は稼げても、音質的には???となっているのが現在のSRの世界かな・・・と思いました。

逆に、最新のデジタル調整機器群や高性能アンプでドライブする往年の名器の音は高品質かつ鮮烈な音であることが再認識されます。きちんと設計され、コストと技術を惜しみなく投入した黄金期のオーディオ機器を改めて聞くと、なるほどたいしたものであるな・・・ということを再認識したのであります。