2019年9月29日日曜日

Contax T sonnar 38mm F2.8をSony α FEマウントにして パンケーキレンズ化

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ 3 「常時携帯フルサイズ一眼オリジナル」

小型高級カメラというジャンル、今もコンデジの高級機が人気を集めていますが、プレミアム性(RX1等)と利便性(RX100等)の間を行ったり来たりしていますね
(魅力的な機種はなかなかお高いですね 汗)

 昔Contax T という京セラのカメラがありました。小型高級カメラのはしりになったものですが、これに搭載されたsonnar38mm F2.8は当時、写真好きに相当インパクトを与えたものです。作品作りの出来るカメラを常時携帯できるというのは魅力的でした。
 色が濃くて、描写が滑らかで、作品感のある写真が超コンパクトな沈胴式で楽しめるしかもレンジファインダーでピント合わせもしっかりできて、露出は絞り優先AE ということでコンタックスTはマニアのアイテムとなりました。その後AFを備えたT2 T3 TVSなど快進撃。10万円クラスの高級機でしたが、バブル期の好景気(あの頃は高いものにも投資しましたよね =浪費)でそうとう売れたそうです。(最近フィルムカメラの再評価でまた値段が上がっているようですね)


その銘レンズをSony α FEマウントにして パンケーキレンズ化してみました。
理由は簡単で、Tの機構はもともと強度的にいろいろと限界があって、使用頻度が高いことから落下させたり、筐体もT2以降のチタン製ではなくてアルミ+プラのため歪みも生じやすく、電子部品の補修パーツも底を付き、修理も難しくなっていることから中古店で時々ジャンク無保証で個体が出ていることがあります。
 ダメ元で買ってみたけれどもやはり撮影不能でした・・(外れの涙)というものを1台所有しておりまして、そのレンズを生かしたいと思い、強引にボディーから取り出して、中華製のCマウントアダプタに乗せてみたというものです。


 Tからレンズユニットを取り出すのは意外に簡単でした。(分解法は検索すると出てきます)レンズユニットのシャッター機構も簡単なので開放状態にカムを固定すればOK。このレンズはヘリコイドがついていますし、絞りレバーも付いていますのでシャッターさえ開ければオールドレンズとして再生できるのです。

 このレンズはフランジバックがとても短いので、Cマウントアダプタの中から中央の凹みが大きくて厚みの薄いものを選択します。アダプタの凹みの中にレンズを押し込んで借り止めで無限遠の位置を決め、四隅のピントを微調整この辺は試行錯誤になりますが。ある程度ピントが出たらしっかり接着剤等で固定してしまいます(汗) レンズの周りから光が漏れないように、今回は遮光のフェルト布を張り込んでみました。違和感が消えてそれなりに見えます。

このレンズを付けたα7無印初代はとても軽量で 薄く、コートのポケットにするりと入る感じです。ビジネスバックに入れることも可能です。

描写は銘レンズらしく、F5.6〜8辺りの中央部は割とシャープです。
周辺はどうしても流れますがこれはおそらくαの素子の前のガラスの影響もありそうです オールドレンズですからおおらかに・・・

 解放ではとてもふわっとした感じで中央部のみほんのり解像しているようなオールドレンズらしい描写となります。
 T*コーティングのためかとても抜けが良く、若干露出アンダー気味にするといい感じの雰囲気のある絵が撮れて満足感もあります。

 最新レンズのような切れ切れの描写を期待してはいけませんし、組み合わせるボディーもRII以降の高解像度機では粗が目立ってしまいますので、初代α7からαII〜IIIあたりの組み合わせがいい感じかもしれません。

 このレンズのおかげでα7を持ち出す回数が増えました
小さなヘリコイドを回してピントを合わせ、絞りリングで深度を調整するという手順も、見やすいα7のファインダと相まって楽しいものです。オリジナルのTのレンジファインダーはあまり視認性の良いものではなかったので、この組み合わせの方がこのレンズをしっかり使っている実感があります。
(そういえばT2もT3もAFを時々外すので少々怖いカメラでした・・・)

 このような自分だけの究極の薄型カメラを、いつも手元に置いて、フルサイズミラーレスでいつでも撮れる!というのは何となくいい感じです。

 フルサイズ+コンパクトな良いオールドレンズの組み合わせで切り取る写真はスマホとは明らかに差があり、なにより写真を撮っている実感や良い道具を扱う手応えがあるのが素敵です。
 α7初代のシャッター音は最近のモデルと比べると若干甲高いですが、メカシャッターの音を伴う 瞬間を切り取る感覚 は、シャッター音を擬似再生するスマホとは異なり、今となっては新鮮な感覚で、ある種の快感を楽しめたりします。

追記
 このレンズは絞り解放では特に周辺が甘く、中心部もピンは来ていても なんとなくふわふわした感じでしゃきっとしません、
 風景や精密描写が要求される場合、思い切ってF11まで絞ると周辺はかなり改善します。回折により解像度は若干低下しますが、広く安定した結果が欲しい場合はF8〜F11辺りを上手く使うと案外楽しめます。露出がなぜかアンダー気味に偏りやすい?のも手伝って、T*コーティングらしく色乗りが良く、フィルム時代のTの写りを再現するような仕上がりをデジタルで楽しめます。


2019年9月24日火曜日

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ 2

スマホとの激烈な戦いとなったこの時代に、カメラを趣味として楽しむにはそれなりの工夫が必要なのかもしれません。
 大ベテランの皆様は逆に楽しい時代になってきたとも言えると思います。密かな楽しみ方を考えてみたいのです。

 まずはバブル崩壊 失われたうん十年(何もしていなかった私達・・・)収入右肩上がりの輝かしい時代は終わって(汗)あの頃趣味に多大なる投資をしてきた(浪費してきた 涙目)のも昔の話になりつつあります。お小遣いも目減りしておりますし(教育費や医療費もじわりと上がって仕方がありません)限られた資源でいかに楽しむかがその道の達人と言えましょう。

 幸いなことに型落ちのミラーレスはフルサイズも含めて値頃感が出ておりますのでいろいろと楽しめます。問題はレンズです、新型の良いレンズは大きく重く高いののがいただけません。
 そこでいろいろ工夫します。
 例えばネットの板で酷評されている(?)キットレンズ セットもので購入するとボディーにレンズがただ同然で付いてきたりします(その逆も?)。キットレンズはロボット組み立てで検品はてきとうなのか、割と当たり外れがあって(周辺部の流れ具合が千差万別)当たりレンズをさがして、レンズ固有の癖を作画に使う(周辺減光+収差による流れ)のがベテランの楽しみと言えましょう(貧乏性とも言う)

 そもそも写真の周辺部なんてそんなに子細に見たりしませんから(除く風景建築写真)キットレンズも当たりであれば、むしろ純正品のAF性能の良さとか、デジタル補正の進歩に驚いたりします。 なにしろ軽いのが圧倒的で、スマホは持って行くけど一眼は置いていくみたいな悲しいことは無くなります。ここぞと言うときに愛機が手元にある、これは精神衛生上良いものです。もちろんいい写真はチャンスがあればこそですからカメラは持ち歩くことに意義がある。スマホが写真撮影のツールとして強力なのはいつでも手元にあることです。これに対抗するには極力愛機を持ち歩くことです。

そうするにはソニーのミラーレスは理想に近いです。軽いですし、ファインダーも良いですし。RAW現像する方なら旧型フルサイズ(α7初代等)でも結構良い仕事をしてくれます(相当安くなりました)。組み合わせるレンズは軽いものに限ります。そうでないとミラーレスの意味がありません。高性能なレンズが欲しい気持ちは分かりますが、高性能レンズは高いだけでなくて大きく重いので結局防湿庫の肥やしになりやすい これが最大の欠点です。

そうなると軽くていいレンズは何か探すわけですが、一番のお勧めはキャノンの40mmのパンケーキ STMが良いです 例のFOTOGAのようなプラプラの中華製アダプタ経由で ものすごく軽量なシステムになります。α7の比較的新しいモデルですとアダプタ経由のAFも迅速です (シグマのアダプタはさらに安定していて良いそうです。)この40mmはAFが静かなのでムービーもいけます。 周辺部もあまり流れず安定感のある描写で、それなりに雰囲気も出る万能レンズです。とにかく安い軽いのがありがたいところです。

純正FEシリーズの単焦点(無印)はどれも軽くて良いですね。自分の好きな焦点距離のレンズをバッグに突っ込んで軽々と旅をするのも良いものです。レンズのラインナップを増やす意味では純正Aマウントアダプタを使って最近値落ちの顕著なミノルタAFレンズやソニーAマウントレンズからチョイスする手もあります(AFの微調整はした方が良いです 若干ずれる個体が・・・)

とはいえ欲が出て 寄りの望遠や引きの広角もカバーするズームが欲しいとなると、もちろん最新の純正24-105やタムロンの28−75あたりが欲しくなりますが(懐具合から 涙目)ぐっとこらえて 純正 28-70で我慢するのも吉です。28mmの周辺は恐ろしく流れますが真ん中はそれなりに踏ん張りますし、AFは早いので シャッターチャンスには強いです。なにしろ安くて軽いのがありがたいところです。(RIIなどの高画素機にはきついですが)

ミラーレスといえばレンズ遊びですね(レンズ沼)
 オールドレンズでは、ライカの有名どころのレンズは今も高価格ですのでなかなか手が出ないですね 裏ライカ的なロシアLマウントレンズ群は値段は安くても上級編ですので相当な趣味人の領域かと(お勧めしません ロシアンビオゴン35コピーレンズがシャッター膜に当たりそうになってカメラを壊しそうになった・・・ 大汗)。
 入りやすいのはライツミノルタのレンズでしょうか。実質ライカの割に安いのでお勧めですね。(ただ古い個体なので曇りに注意)

同じぐらいの趣味性があって楽しめるのが旧コンタックスのGレンズです。コーティングが良く、抜けが良く、いい色が出るので(ネオ)オールドレンズ遊びとしてはコスパが高いです。

特に45mmのプラナーは開けてよし、絞ってよしの銘レンズで安く出ていたら即ゲットです。F5.6辺りの描写は良好で細密かつ高級感のある絵が出ます。アダプタは(中華AFモーター付きがあるらしいのですがすぐ故障するらしく危険なので手を出さない方が良いそうです)リングを回すとギアでピントを調節出来るものが格安で手に入るのでそちらがお勧めです。ライカと違ってレンズをぐりぐり繰り出せるので割と寄りの撮影もなんとかなるのも良いところです。

ビオゴンの28も21も銘レンズなのですが周辺が派手に流れるのと周辺減光がきついのでその辺がコントロールできるなら小型軽量レンズなので持ち出し易く、深みのある描写も楽しめます。周辺部の流れは撮像素子の前のフィルタのガラス厚が影響しているらしく、平凸レンズで補正すると改善できるそうです。以前問題となっていたパープルかぶりはαの素子が裏面照射になってからは問題なくなったようです。

 ヤシコン80−200バリオゾナーも隠れた銘玉と言われています。あの時代の直進ズームを愛でること自体相当レベルが高いですが(爆)このコンタックスの望遠ズームは色乗り良く、ぼけが自然で、マクロレンズかと思えるくらい寄れるのでマクロズーム的な使い方でうっとりするような絵が撮れたりします。絵に何となく品があるので花やポートレートに十分使えますし、時々格安で転がっていますのでチャンスがあったらゲットしても良いレンズかと思います。この頃のコンタックスのレンズは無理のない設計をしているためかバランスの取れた良い描写が得られます。(有名な85mmF1.4は??ですね案外使いこなしが難しい・・・)

最新設計の高級レンズは解放ではとろけるような前後ぼけ 絞って全面かりかり細密な という欲張り設計ですが(なので大型で高価)、ふんわり前後ぼけと狙いを決めてかかるならば、上述のオールドレンズでも、球面レンズの自然なとろみのある絵が自然に撮れますし、逆にかりかりで行くぜ! 的な気分の時には マイクロニッコール55mm f2.8のような格安高解像度レンズ(5千円を切ってたりする もちろん寄れる)もありますので オールドレンズの底力に嬉しい発見があったりします。 


 その他オールドレンズ遊び的な特集雑誌(ムック)にはいろいろと魅惑的なレンズが満載ですが 中には性能の割には市場価格が不当に高いものも含まれているので(執筆陣は煽りがお上手)雑誌情報はほどほどにして、とにかく軽量なレンズを目的に合わせてチョイスして頻繁にカメラを持ち出す これに勝る手立てはありません。




2019年9月22日日曜日

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ

 つい先日、代官山の有名な書店(というかコンプレックス)を散歩して、いつものカメラ屋をのぞこうとしたら、なんと閉店していて スターバックス(の高級店)になっていました(涙目)
 そういえばこのお店ではウインドーショッピングのみであまり買い物をした印象がありません。ライカやポラロイドが中心に据えられていて、周辺をチェキとデジカメと中古レンズとフィルムカメラで固めるというバランスの取れた店内、綺麗な展示には一服の清涼感があり、貴重な場所でした。

 そのほか、全国チェーンのカメラ屋さんの中古店の旗艦店も売り場が小さくなって駅から遠いフロアに押しやられていたり、下取り交換で活気があるのは中野のフジヤと新宿のソフマップが思いつくのですけれども それ以外はネット販売に主力を移行しているのでしょうか?

新品カメラは、ミラーレス一眼に一斉にシフトしていますが、ソニーが先駆者ということもあって一歩リードしているようですね。α7RⅣは完成度も高く中型デジタルを脅かすような能力を秘めているようです。(もちろん中型には中型の良さがありますが・・・・・最近の中型はフルサイズx1.7面積ですから圧倒的かというとそれなりに限界もありそうです)

そういえば中型の名門ハッセルは中国のドローン大手の傘下に入っており、昔のコマーシャル業界での圧倒的地位を考えると隔世の感があります。
今はフルサイズでほとんどの仕事がこなせてしまいます。(優位性が出せるのはごく一部の大判ポスターグラビアのみ?)

コマーシャルの世界も、どちらかというとスチールだけでなく、ショートムービーも一緒に撮るといった要求に応える必要があり、ソニーはその辺にも対応しているのが強みですし、パナソニックのフルサイズ機も動画機能の強みでフルサイズに食い込む戦略のようです(なので放熱も考えて筐体が大きい)

こうした大きな潮流の中で銀塩フィルムはとてもニッチなものになっています。過去に大量に製造されたカメラは軒並み価値が下がっています。価格が維持されているのはライカぐらいでしょうか、程度の良いものや希少種はアジアでも人気らしく価値が維持されているようです。レンジファインダーの趣味性が生きているのでしょうか、とはいえ最近はめっきり銀塩フィルムを使わなくなりました。たまにフィルムコーナーをのぞくと価格が高騰していてびっくりであります コダックのフィルムは一部復活してますね。

安定供給されている銀塩はチェキぐらいでしょうか というのもなんとなく寂しいですが時代の流れでしょうか。チェキ自体も最近はデジタル化してプリント紙がチェキフィルムになっているようですが。(小型デジタルプリンタにカメラが付いている的な)

そうした一連の変化の中央にあるものはスマートフォンのカメラ機能の進化に他なりません。最新のスマホは通信端末としてはやり尽くした観があり、記録媒体としてのカメラ機能や映像観賞用の媒体として、あるいは電子決済の端末としての機能が重視されるようになっておりますが、このカメラ機能の進化が震源地になっております。

信号処理と多数のレンズの画像を組み合わせて画像合成で前後をぼかした写真がねつ造できてしまうのですね。これがまだ若干不自然さの残るものではありますが、シーンによっては十分に使えてしまう域(SNSなら十分)に達しているので、大口径レンズを付けた専用カメラがいらなくなるという恐ろしい技術革新です。

撮影して絵を確認してそのままSNSに上げるといいねがもらえるという速攻承認欲求満たしますマシンです。

裏面照射のセンサと信号処理の進化で暗いところもそれなりに絵が出せるようになってきたのも侮れないところです。(さすがソニー)

というわけで専用機たるカメラとその趣味はだいぶ縮小してしまいますが、まだ枯れた趣味としては残りそうです。アナログレコードが小規模で復権しているように、銀塩フィルムもそれなりに生き残る可能性があり、またオールドレンズはアダプタ経由ミラーレス接続で趣のある(加工のない)絵が撮れるので、最新のピクセルにじみのないクリアなデジタル専用レンズのぴりっとした絵に飽きた層には、表現の選択肢としてのオールドレンズはそれなりに活路を見いだすでしょう。

困るのは中判や大判用レンズで、最新の撮像素子の求める解像度に達しないレンズはぼけぼけの画像になってしまうことから生かし切れていないのが現状で、フィルムも高いですし、行き場が無くなっているところが若干残念であります。

一時期フラットベッドスキャナを改造してスキャンカメラにするという猛者が現れましたが、最近はどうなのでしょうか?私もテストしてみたのですが(スキャナを3台潰しました)ぼやけたり、モアレが出たり、絵がゆがんだり、スリットカメラ特有の症状と、センサのSN比の悪さに閉口してしまい、製作を断念してしまいました。
手軽にオールド中判大判をデジタル化して楽しむ方法を模索しているところです。

とまあいろいろありますが、いまのところはソニーのミラーレスに純正やらサードパーティーやら、オールドレンズやらを取っ替え引き替えして、スチルやムービーの用途シーンに合わせて使い倒すという、刹那的なカメラライフが吉のように思われます。


2019年8月16日金曜日

秋葉原とオーディオ評論に見た栄枯盛衰

 現在どれぐらいの人がピュアオーディオの趣味を続けておられるのか、あるいは若い方で興味のる方がどれぐらいいらっしゃるのか、良くわかりませんが、少なくともコアな一部の方々に支えられるニッチな趣味として落ち着いているのかなとも思います。

 一時、秋葉原界隈でもオーディオ機器の専門店が(団塊世代の退職に合わせて?)高級店を出店したり、オーディオフロアの拡充を図ったようですが、家電量販店の旗艦店である秋葉原店そのものが経営難?に陥ったことが影響したのか、あるいはオーディオを求めて秋葉原に来訪するオーディエンス(懐かしい響き)が減少したのか、長く続かないフロアや店舗が多かったように思われます。坂下の大きなオーディオ店の跡地はボルダリングのメッカになって若人が集って汗を流していますし、秋葉原自体も2次元のグッツを求めて海外から来訪するお客様やメイドさんの列やUFOキャッチャーの戦利品を抱えた人々でカオスとなっており、真空管 トランジスタ オペアンプ デジタルアンプと変遷してきたエレキの町から次第に趣味の聖地へと秋葉原の立ち位置は変化しており、時代の流れというものを感じます。

 大通り近くのオーディオ店はだいぶ縮小撤退してしまいましたが、まだ残っている専門店やパーツ店を見ると生き残りの方向性が見えて来ます。ハイエンドオーディオに集中している店(もちろん中級機やヘッドフォンも1〜2階に置いて入りやすくしているが)、真空管式アンプの専門店(趣味性が高く希少な玉は高価なので小規模であれば商いが成り立つようです)中古店(往年の名器や大型システムの放出があり、それを買い取って整備して売るビジネスで、ヤフオクやメルカリ?の当たり外れの難しさから多少高くても整備品や査定評価の入ったものを買うお客さんはおられますので成り立っているようです)、ケーブル・イヤフォン店はiPhone関連モバイルオーディオで元気ですし、自作スピーカー店 なども駅から離れた店舗で案外元気であったりします。
 中級機を扱う大型フロアが見あたらないのは、家電量販店が結構な面積の視聴場所や視聴器を各店舗に置くようになりわざわざ東京まで足を運ぶのは相当なマニアだけになったということでしょうか。

 ところで以前 故長岡鉄男先生のことを思い出しましたが、当時のオーディオ評論世界で双璧をなしておられた、菅野沖彦先生も近年他界されたと雑誌等で伺いました。菅野先生と言えばレコーディングエンジニアとして国内盤だけでなく、ECMの録音をされたり、日本の音響黎明期に大活躍された方です。そのスタイリッシュなファッションセンス、美しく室内の調度品とも調和するように配慮された応接室の音響機器などハイエンドオーディオの世界を牽引されたのも大きな功績でした。文章も達筆で、オーディオ演奏家という用語を提唱され、単なる音の再生以上の何かを創造する芸術的な行為であるとオーディオ趣味を再定義されたのも記憶に残ります。

 一方で、菅野先生と長岡先生の批評は対極的なスタンスにあったことも鮮明に記憶しています。同一製品に対する、お二人の批評が大きく異なる場合も希ではありませんでした。先生方の評論家としての立ち位置からそうなったのか、好みの違いによるものであったのか、何らかの事情によるものであったのかは今となっては定かではありません。

 我々一般人は全ての機器の視聴など無理で、今だに視聴できずに機器購入を決断する必要があったりしますが、当時は多くの判断を雑誌等から、評論家の先生方の視聴記や点数を参考に決めておりました。ネットからの情報もありませんでしたので、専門誌の先生方を信じるしかなかった訳ですが、評論家の先生方の評価が分かれたり、異常に高価で高評価の機器があったり(その割には実機は・・・・な場合も)最初は偉い先生なのだから間違いないであろうと考えていたのが徐々に懐疑的になったりしました。(菅野先生の場合明らかにM社の製品の評価が高く、なぜか判りませんでしたが、M社のマーケッティングやビジネスに深く関与されていたことを後に知りました。これは明らかな利益相反であり、あのすばらしい批評とセンスや見識、業界でも大きな権威をお持ちでしたので、少なからず落胆した記憶があります。)

 評論は、中立的な立場からの評価というものが基本であり、そこに嗜好品としての好みも加わりますのでバランスを取る難しさ、危うさも時として生じるかと思います。主観、耳も大切ですが、時には客観性のある評価、計測機器のデータの開示も必要です。そうした意味では長岡先生は一貫していたように思われます。

 現在ハイエンド機器と一般オーディオ機器との間には大きな価格のギャップがあり、特にハイエンドのオーディオ雑誌の記事はまったく縁のない世界に行ってしまいましたが、未だに管球式アンプやダイナミック型の小型スピーカーユニットが生き残っているところを見ると、我々のやっている音も今でもそんなに悪くないのかもしれない などと勝手に思ったりもしているのであります(負け犬の遠吠え的な?汗・・・)

サナース 太陽光温水器 太陽熱温水器 長期レポート 8年目

我が家に導入したサナース 太陽光温水器 太陽熱温水器? 8年経ちました。
今も無事温水をせっせと作り出しています。
本当に優秀な機器で、ランニングコストはかからず、ガス代は大いに節約されます
夏場の晴天が続く日々はほとんどガスの追い炊きは必要ありません。
月々のガス代が調理用のガス+α(曇天時はガスです)で収まるので
経済的ですし、地球温暖化のCO2削減に役立っていると思います。

ここのところ太陽光発電に関しては暗い話題が多いですが、もともとそういう懸念はあった話です(無視されて制度化されて今の状態に陥ってます)

このブログをお読み戴くとわかりますが、太陽熱温水器は本当にエコ商品です。特に真空管式は抜群です。冬でも晴天なら暖かい風呂に入れるのですから

実は8年間の間に我が家の太陽熱温水器には厳しい試練が2つほど訪れました。
一つは寒冷な冬に東京に大雪が降り、水道管が凍り付いて破裂して大水を出してしまいました。これは参りました。いろいろと助けて戴いて漏水を止めてなんとかなりましたが・・・(配管の寒冷対策が東京でも重要だと痛感しました)

もう一つは、なんと我が家の真南に大きな(9階建て)のマンションが建ち、日影がかかるようになってしまいました。都心の住居地には高度制限や日陰制限の緩い土地が結構あり、我が家は規制緩和でまさにマンションデベロッパーの標的となった空地の真裏だったという不幸により、昼は真っ暗の家になってしまいました。
太陽熱温水器も、建築前の日影図から絶望的な状況になるかと思われました。

ところがかろうじて残された西側からの日差しと、夏場は太陽の光線が上から注ぐことにより、冬は厳しくなりましたが、夏は毎日風呂に入れますし、秋や春も晴天ならなんとか、冬は追い炊きでなんとか というギリギリセーフな温水が得られるところでなんとかなりました(我が家は3階建て陸屋根で北側ぎりぎりに設置しているので日影の影響が少なめであったこと、何よりもサナースの真空管式は一度暖まると温水が冷めないため、わずかな日照で得た温度を日影のかかる時間帯にもキープしてくれるという特徴に助けられて
この不幸な環境にも耐えることが出来ています。

というわけで、拙ブログにお越し頂き(たぶんほとんどいらっしゃらないでしょうが)ましたら、真空管式温水器でささやかなCO2削減、地球環境保全に取り組んでいる、小市民、路傍の石が都内にもおりますことを(涙目)お伝えします。

(太陽光発電は太陽熱温水器とは違い、いろいろと難しいですね。発電の不安定性、蓄電のコスト、売電の不自然なビジネスモデルから、成り立ちが厳しいものだなと今も思っています 中国製の安価なパネルが出回り設備投資価格が下がっても、問題となっている補助金なしでは原価割れするという悲しさ 一方で太陽熱温水器はざっくり2〜3年ぐらいで投資分がガス代の減少で自然に回収できている感じです・・たぶん )
シールは端が一部剥げましたがタンクの機能には問題なく、水漏れもありません。塗装の錆びもなく、立派です。

特徴である真空管式集熱管も当初の機能を今も保っています。



唯一温度センサが不具合(温度が大幅にずれる)をおこしていますので今度センサ部品の交換を行う予定です。

蓄熱・保温機能は8年経過しても当初のままで、本当に優秀な機器であると改めて感心しています。

2017年11月26日日曜日

真空管の話

 昨今のオーディオはデジタルアンプ(高性能でクリーンないい音)と小型スピーカー(小口径低歪みユニットと曲線エンクロージャーでスマートな音)とイヤフォン(驚くほど広帯域、高分解能)の時代に入っております。

 都心のマンション住まいには場所も取らず、家族の同意も得られやすく(爆)、大画面液晶ディスプレイと両立する、まさにジャストフィットな構成であります。

 ハイレゾ音源の高音質録音ソースを再生すると、各音源が整然と並んで立体的なステージを構成して、そのスムーズな音空間に満足であります。まさにハイレゾハイファイの悦楽であります。

 ところが それだけ だとなんとなく飽きてくるのです。ライブでの熱狂、身体に響くライブ感のような躍動感はボリュームを上げてもなんとなく足りない。イヤフォンで大音量で再生した方がライブに近い躍動感を得られます。ところが同じ音源の再生であっても、小型スピーカーからの再生では迫力や没入感は今ひとつだったりします。

 さらに、ライブで聴く肉声のボーカルのすばらしさ(ボーカリストの体調が良くて、ホールが極上であった時に聴かれる生の美声)やアコースティックな楽器の何とも言えない余韻、響きを聴くと 我が家のオーディオシステムはやや音が乾いているのかな?と思うことも・・・

 そうしたギャップを埋めるために(?)こだわりのある層はいろいろとオーディオ機器に手を出して行くわけでありますが、昨今の傾向として興味深いのは真空管(管球)アンプと高能率スピーカー熱であります。どちらもかなりニッチではありますが、元気があります。(さらにアナログレコードも人気)

 真空管アンプは、低出力・大歪み・大発熱・狭帯域(涙目)と、最近のデジタルアンプの真逆を行っているのでありますが、なぜか音がいい といいますか、音の悪い管球アンプはとっくの昔に淘汰されておりまして、きちんとしたメーカー、ビルダーのアンプで聴くとデジタルアンプに無い何か(ものの哀れか余韻か歪みか)が感じ取れるのです。

 例えとして良いかは判りませんが、デジタルアンプの初期値は醸造用アルコールやリキュールで 真空管アンプは生酒のような違いがあります。

 デジタルアンプの基はオペアンプとパワー素子の組み合わせなので、各構成素子をシンプルに組み合わせて素の音を聞くと超ハイファイで濁りのない無味な世界です。高い帯域に優れた性能を発揮する一方、どうしても分析的でクールな音になりがちです。また、単一の増幅素子の特性としては、それほど良好ではなく、ネガティブフィードバックをかけるのが基本で、それによって低歪みにして、比較的大規模な回路を構成しています。複雑な構成になるため、設計が甘いと(高周波特性が良すぎるのか、スイッチングの際のパルスがどこかで悪影響するのか)何とも言えない違和感のある歪みや付帯音が混入してしまいます。(電源やケーブルやアースや微振動などに弱い気がします)
 高級デジタルアンプ(特にハイエンド)はこれに様々なチューニングを施して芳醇な音世界(高級白ワイン?)を実現しています。メリットとしては大電流出力が可能なので昨今の低感度かつ凝ったネットワークの入ったSPの駆動には長けています。

 一方真空管は素子の特性にある程度の帯域しかなく、特に高周波特性は芳しくないのですが、可聴帯域は十分確保しております。高電圧で電子ビームを電極にぶつけるという何とも大らかな増幅を行っているので、半導体と比べて素子単独の特性はむしろ良好で、あまり大きな手を加えなく(ネガティブフィードバックなしでも)ても使えるという素性の良さがあります。素子自体が大きく、高周波は減衰または帯域外なので、防振、電源やアース線の引き回しに過剰な気遣いは必要ないというメリットがあります。

 さらに真空管アンプは酒に例えると濁り酒から淡麗大吟醸まで、多種多様性があり、海外製の球まで含めるとワインのような、クラフトビールのようなバラエティーがあり、楽しめます(もちろんあまり美味しくないものも時々ありますが・・・)

低出力、雑多、多様性といったものを 許容できれば、真空管アンプは自分にぴったりの音を探すことができるので、趣味としてはかなりのものであります。

 現在、真空管はギターアンプ用に製造されているものと、一部のオーディオ用に製造されているものを除くと絶滅危惧であり、在庫の球はじわじわ減っています。ただ時に人気な球は復刻さえることもありますので、球が完全になくなることはなさそうです。

 球の差し替えだけでも音の変化が楽しめます(球転がし)。この音の変化は、デジタルアンプの素子の差し替えよりも格段に楽しい世界です。

 特におすすめは、3極管で、構成がシンプルなので良い音がします。2A3も300Bも良いですが、300A(ほぼ絶滅種)に近いと言われる、VT52は一度は聴いた方が良いと思います。最近はVT52アンプが製造されていますので、敷居はだいぶ低くなりました。出力は少なめですが、300Bよりも音は良いと言うのが多くのベテランの意見です。私も(ブログには書いていないです)それなりに球アンプを遍歴しましたが、VT52に至り満足し、これ以上の探求は不要と感じ、聴感上もっとも重要な中域ドライバー用のアンプとして不動の地位を占めております。

 真空管アンプは低出力なので、組み合わせるスピーカーには能率などへの配慮が必要です。






2017年10月21日土曜日

Crescent コルトレーン オリジナル曲が染みる

A slanted photograph of Coltrane playing saxophone in a blue suit facing the left. The top left corner of the cover features the title of the album in red script with by the words "John Coltrane Quartet" in yellow beneath it and "Featuring McCoy Tyner/Jimmy Garrison/Elvin Jones" underneath that in blue.

インパルス時代の名盤で
ものすごくバランスの良いアルバム

さりげなくBGMとして聴いてもよし
トレーンのシーツに真剣に向き合ってもよし
録音も良好
このアルバム
Soultrane
Afroblue Impressions(Live) 辺りが
いいですね