2008年4月22日火曜日

Sansui SR-929

アナログから遠ざかってはや25年。久しぶりに引っ張り出してきたレコードの表面はカビだらけだった。

今から思い出しても、昔聴いていたアナログレコードの音が良かったという印象は特にない。

当時使っていたプレーヤーとカートリッジがあまり上等ではなかったことが原因であろう。当時は普及機に付属のMM型のカートリッジをそのまま使うのが主流であった。 それをテクニカの中級カートに交換して随分音が違う物だと驚いた記憶がある。

大概はレンタルレコードをカセットにダビングして、そのカセットがすり切れるまで聴いた。たまにエイヤと買った貴重なレコードは、レコード針でトレースすると、みるみる溝がすり減って音が劣化しそうなイメージがあったので、あまり聴かずに大切に保存していたと思う。 今から思えば勿体ない話で、良いコンディションの針やプレーヤーであれば、針はさほどレコードを傷つけないものだということを最近知った(笑)。

当時、MCカートリッジが使える人は限られていた。MCは針交換が出来ず、別途トランスやヘッドアンプが必要であるから、学生の身分ではまったく縁の遠い世界であった。

最近になり、ジャズ喫茶でレコードとCDを聴き比べているうちに、アナログの伸びやかな音に惹かれるようになってきた。

あくまでサブシステムとしての位置づけだが、そこそこ楽しめる、アナログレコードの試聴システムが欲しくなってきた。

アナログプレーヤーシステムの選択は悩ましいが、なかなか楽しい。 あまりにマニアックな機種では楽しめない。しかし中途半端な機種では粗大ゴミを抱え込むだけだ。銘器は恐ろしく高価で手が出ないし、大がかりとなる。手軽に扱えるスマートな機種は無いものだろうか?

で、いろいろ検討した結果、トーンアームが素晴らしく、音もジャズに相性が良いとの噂で、なおかつキャビネットの仕上げの良さから、Sansui SR 929に興味を持った。しかし、程度の良い物は殆ど流通していないし、どうせサブシステムでしかないアナログに大枚をはたく気はないので、ジャンク品を試しに入手してみることにした。

オークションの超格安品であったため期待していなかったが、案の定、ターンテーブルの駆動部が故障していた。ターンテーブルがみるみる加速し、超高速回転をするのには驚いた。

時間がかかったが、電解コンデンサー類を全て新品に交換。各部の調整で、なんとか動くようになった。

完全には直っていないようで、クオーツロック部が暴走する時もあるし、時々駆動開始時にテーブルを手回ししないと起動しなかったりもする。

まあ、気にはしないが・・・・・手回し始動の気分は、まるでノッティンガムアナログスタジオである。(爆)。








カートリッジは、これまたジャンク再生品の、シュアー V15 Type4である。

これもジャンクを復活させたきわどい品なので、本来の音なのかはまったく不明であるが、なかなか分厚い、ノリの良い音を出してくれる。 ジャズマニアの多くは有名なType3を使っているらしいが、相場が不当に高いような気もするし、クラッシックも、ジャズも、ロックも聴く場合には、繊細な音もそれなりに出て、それなりにノリも良いType4もなかなかイケル。

ややくたびれた、ジャズレコードにも、かなりマッチするカートリッジだ。しかもトレース能力が高く、簡単にはビリ付かない。

改めて懐かしのレコード達を聞き返し、感動している。とにかく伸びやかに鳴る。意外に感動的なのが80年代ぐらいから90年代ぐらいまでのロック、フュージョンなどである。再販CDよりも明らかに良い音がする物が多いのには驚く。なにしろ音の伸び、ノリが良いのである。こんなに音が良かったのならもっと早く試みるべきであった。 SR-929、実はあまり期待していなかったのだが、さすがは名機と言われるだけのことはある。アームがよいのだろうか?カートが良いのか?昔聴いたレコードの音とは雲泥の差である。この程度の入り口でこの音なら、突き詰めていったら凄いことになるだろう。マニアがCDを捨て、アナログ回帰する気持ちも判るような気がする。

一方、クラッシックのレコードは、なかなか気難しく、特に録音レベルの低いものは、ピアニッシモがスクラッチノイズの海に埋もれてしまうなど、あまり芳しくない。CD以上にフラットでダイナミックな音を出すには、録音、カッティングの良質なレコードと、かなり上等なカートリッジを選ぶ必要がありそうだ。今日の直接のライバルとなる、SACDとの比較では、ちょっと辛い感じである。

とにかく、アナログレコードは期待以上に良く、気分転換にも最高である。最近のお気に入りである。

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