2008年3月9日日曜日

Western Electric VT-52刻印

VT-52の音の良さに感動し、聞き続けている。3極管+ロフチンホワイトは、極めて鮮度の高い、ハイスピードな音である。立体的で彫りも深い。50年代のジャズなどは最高である。

性懲りもなく、評判の高いWestern Electric刻印のVT-52を入手した。(してしまったという感じ。本当はHytronの代替え球を買うつもりであったのだが、比較的良心的な値段であったたこと、アメリカで高騰しつつあることを考えて、今のうちにとついつい買ってしまった・・・)

軍用の移動通信機に用いられた、ウエスタンオリジナルのVT-52にはいくつかのバリエーションがあるらしい。
茶ベース、茶のベースに黒リング、黒の刻印、プリントなど。 後期のイエローのプリントの物はNational Union等によるOEMの可能性がある。ウエスタンのオリジナル球は、ステムの基部が透明なガラスで露出しているのが特徴。 またトップのマイカ板が3角形のオムスビ型をしている。

一方、Hytronは全体に黒っぽく、いかにも軍用球らしい無骨な雰囲気である。 トップのマイカ板の上に乗るストッパーの形に微妙な差異はあるものの、どの球も似通っている。特性も良く整っているらしい。

ウエスタン球は透明なガラスから並行に立ち上がるロッドなど、眺めるだけでもなかなか優美である。

肝心のウエスタン球の音は・・・・・・現在エージング中なのでまだ本当のところは良く判らないのだが、エネルギーバランスがやや高域寄りにあるように感じる。中高域に張りがあり、ジャスボーカル、バイオリンの高弦はかなり良い感じだ。特にボーカルはややハスキーだが、唇の動きが見えるような感じだ。

しかし、(録音にも拠るのだが)オンマイク収録のトランペットのミュートなどはややきつい。ベースやバスドラはやや引っ込む感じで、低弦の胴鳴りは希薄である。

Hytronの方が全体のバランスがよく、厚みがあるような気がする・・・・。

ウエスタンの中高域のエネルギー感と解像感はなかなかであるが、長時間の試聴では次第に聞き疲れしてくる。結局Hytronを普段使い用に、ウエスタンはハイブースト気味に聞きたい時に差し替えて用いることにした。

私的にはウエスタン球は高価すぎ、やや分不相応といえる、贅沢品であった・・・笑。

ブランドに関わる世評を鵜呑みにすると、痛い出費となることは良くある。

今回も実際に自分の耳で確かめ、至らなさを痛感した次第である。



追記

その後の試聴の結果、ホールトーンをたっぷり収録した、クラッシックのライブの好録音ディスク、あるいは低音が膨らみすぎる傾向のあるディスクには、ウエスタンのVT52が程良くマッチし、素晴らしい音を出すことが判明。

積極的にソースに合わせて球を使い分けるのがベストと判断した。

2008年3月6日木曜日

Tru-sonic 206AXA のホーン


Stephens ステフェンスの15インチ同軸のレストア中。なかなか作業が進まないが、まあこれもまた楽しみか。

Tru-sonic 206AXAは同軸2ウエイで、コンプレッションドライバーのスロートにマルチセルラーホーンが付いている。
形状としてはAltecの604シリーズに似ている。


このマルチセルラーホーンは、かわいらしいサイズなのだが、一つ一つが、キチンとしたエクスポレンシャルホーンになっている。最初に写真で見たときはダイキャストの様な量産パーツかと思っていたので、実物を見た時、その作りの細やかさに驚かされた。




おそらく職人が銅板?を一つ一つ手作業で曲げ加工して成形し、ロウ付けして完成させた物と思われる。隙間や表面は丁寧にデッドニングが施されている。こうした手の掛かる製品が今後製作されることは需要と製作コストの面から考えにくいので、貴重品である。







2008年1月14日月曜日

fostexの新しい13cmユニット

仕事の関係で秋葉原に立ち寄った際、久しぶりに○イズミ無線を訪ねると、見慣れないユニットが展示してあった。アルニコマグネットが大きく、黒いコーン紙。マグネシウムセンタードーム。Fostexのバックロード用の新しい13cmユニットである。
http://www.fostex.jp/release/FE138ES-R.pdf

店の奥で、長岡式のスワンに似た独特のキャビネットに組み込まれ、デモを行っていたので聞いて来た。

女性ボーカルのCDであったが、なかなかに良い音であった。特に音場感は大変優れていた。三次元的に音が広がってゆく感じは素晴らしい。中高域はやや高域が控えめながら、大変スムーズで、ボーカルも魅力的である。ホーンらしいゆとりもあり、かっての紙臭く、荒削りなバックロードホーンの音とは雲泥の差である。

このユニットはかなり魅力的で、衝動買いしたくなる感じもしたが(笑)、例の奇妙なデザインのバックロード箱には抵抗感がある(我が家では間違いなく家族からNO!である)。また、バックロードの低音と、ダイレクトラジエーションの中高域とのディレイ、音質のギャップはどうしても気になってしまうところである。特にこのデザインは、後面解放のホーンで、開口部が床に接しているという点も気になる。なんとなくふわふわした感じの低音で、好き嫌いの分かれる処ではないかと感じる。

ところで、この手の小口径バックロードホーンは、20センチ級のバックロード同様、大音量でこそメリットの出るスピーカー方式であることは意外に知られていない。少なくとも中音量で朗々と響かせる必要がある。出来れば比較的広い空間を与えて、周囲に充分なスペースを確保したいところである。

逆に狭いスペースでの小音量のニアフィールドリスニングでは、時としてかなり厳しい音(共鳴音、付帯音、低音不足など)に泣かされることがある。

一世を風靡したスワンであるが、小音量での3次元的な音の広がりを期待して自作した人も多いと思うが、結果的に中大音量でないと低域とのバランスが取れない。仕方なくイコライザーでバスブースとすると、せっかくの切れの良さ、ホーンらしさが失われる。結局この辺でスワンを手放してしまった人が多いのではないだろうか?

厳しく言えば、折り曲げホーン+音響迷路から放射される低音は、本格的なストレートホーンの低音と比べ、やや癖がある。従って、後面解放デザインが無難で、部屋の壁面に反射させるなどして上手にコントロールする必要がある。その辺の事情もあり、実際にはソースも選ぶ傾向がある。うまくハマル時は素晴らしいが、そうではないときは????な奇妙な音になりやすい。

後日、雑誌に掲載されたこのスピーカーの製作記事を読んだが、(制作者としての気持ちは解るが)試聴結果の記述は、褒めすぎではないかと感じたのが率直な印象である。(あるいはその程度の音を普段聞いているということか?)

とは言え、このユニットの中高域の質感と音場感は素晴らしく、かなりの可能性が感じられる久々のユニットなので、マルチの中高域専用に使ってみたい気がした・・・・が・・・・ペアで8万円・・・・・微妙な値段である。たぶん私はやらない(やれない)でしょう。

2008年1月9日水曜日

Tru-sonic 206AX 3

なかなか忙しく、レストア作業は遅々として進まないが、現在ボイスコイルが磁気ギャップと接触しないように、ボイスコイル、ダンパー、コーン、エッジに矯正をかけながら静置している。このまま動作できるように祈るのみ・・・である。

レストアは難航している。なんとかならないものかとレストアの方法を考えながら、材料となりそうなパーツの調達を考えている。最大の難関は、フラムの欠損と、ボイスコイルインピーダンスが500Ωということ。

ボイスコイルの抵抗値をテスターで(DCで)計ったところ、なんと660Ωもあった。これでは、パワフルなAMCRONのブリッジ接続を使っても、まともに鳴ってくれない訳である。

苦労してアメリカから入手したもう一方の206AXのインピーダンスは16Ωである。16Ωに揃えるにしても、2インチボイスコイルは代替え品も含め、入手難。また206は大入力に耐える、独自のロングボイスコイルを使っているらしく、これの再生もまた、難物である。

2008年1月3日木曜日

Tru-sonic 206AX 2




コーンの亀裂箇所は脆弱になっている断面を水溶性ボンドで強化後、軟化した和紙とセルロース系接着剤の混合材で欠損部を補填してみた。







stephens tru-sonic

stephens ”tru-sonic”

ネットでも情報はほどんどないです。

単売されたユニット群の音質は素晴らしく、工業製品としても最高水準であるが、

モダン家具の様なスピーカーのデザインもまた素晴らしい。

イームズのデザインと言う。

一度でよいから実物を見てみたい。

ttp://www.hifilit.com/hifilit/Stephens/Stephens.htm

Tru-sonic 206AX

 Audiowarehouseさんのご厚意で大変貴重なTru-sonic 206AXを譲り受けた。 生産数が少なく、日本にも紹介されていないブランドで、アメリカでも知る人ぞ知る存在。

 本当の意味で隠れた銘器であり、日本でこのユニットの美声を聞いたことのある人は、かなり少ないのではないか。

 私がたまたま試聴することができた、206AXA(極上品)の奏でる音の印象は、陽性で力強く、カラッとしており、他の銘器のような強烈な個性を持たず、同時に比較試聴したtannoyアルニコ同軸、 Altecの604HやJBLのD130+175(蜂の巣ホーン)を、基本特性、音楽性、総合的なバランスともに、遙かに凌ぐと感じた。

シャラーホーンシステムのホーン開発者が設計、Western, JBL, Altec直系の高度な技術を惜しみなく活用した、民生用の数少ないユニットである。有名なアイコニックシステムと技術的な共通点が多いと言われる。民生用の設計故キャビネットサイズを考慮し、基本的にバスレフ動作でチューニングがなされている。

音はハイスピードでフラット。透明感のあるウエストコーストサウンド。

但し、あまりのレアアイテム故、レストアパーツの入手はほぼ不可能。 ボイスコイル擦れ、コーン紙破れと、発声できない状態。オリジナルのコーン紙を生かし、なんとかレストアした。 ボイスコイルはなんと500Ω仕様。アンプが大変で、現在はやっと音が出ているような状態。インピーダンスマッチングが全く取れていないので、ボリュームを大きく上げても音が歪むだけである。この辺をどうするか思案中。ボイスコイルの巻き直し が必要になるかもしれない。

最も大きな問題は、高域のコンプレッションドライバーのダイアフラムが全く入手できないこと。転用できそうな他のメーカーの物も含めウエブ上で片っ端からダイアフラムを探したが、適当な物はついに見つけられず。ダイアフラムを自作するしか方法はなさそうである。