2008年1月14日月曜日

fostexの新しい13cmユニット

仕事の関係で秋葉原に立ち寄った際、久しぶりに○イズミ無線を訪ねると、見慣れないユニットが展示してあった。アルニコマグネットが大きく、黒いコーン紙。マグネシウムセンタードーム。Fostexのバックロード用の新しい13cmユニットである。
http://www.fostex.jp/release/FE138ES-R.pdf

店の奥で、長岡式のスワンに似た独特のキャビネットに組み込まれ、デモを行っていたので聞いて来た。

女性ボーカルのCDであったが、なかなかに良い音であった。特に音場感は大変優れていた。三次元的に音が広がってゆく感じは素晴らしい。中高域はやや高域が控えめながら、大変スムーズで、ボーカルも魅力的である。ホーンらしいゆとりもあり、かっての紙臭く、荒削りなバックロードホーンの音とは雲泥の差である。

このユニットはかなり魅力的で、衝動買いしたくなる感じもしたが(笑)、例の奇妙なデザインのバックロード箱には抵抗感がある(我が家では間違いなく家族からNO!である)。また、バックロードの低音と、ダイレクトラジエーションの中高域とのディレイ、音質のギャップはどうしても気になってしまうところである。特にこのデザインは、後面解放のホーンで、開口部が床に接しているという点も気になる。なんとなくふわふわした感じの低音で、好き嫌いの分かれる処ではないかと感じる。

ところで、この手の小口径バックロードホーンは、20センチ級のバックロード同様、大音量でこそメリットの出るスピーカー方式であることは意外に知られていない。少なくとも中音量で朗々と響かせる必要がある。出来れば比較的広い空間を与えて、周囲に充分なスペースを確保したいところである。

逆に狭いスペースでの小音量のニアフィールドリスニングでは、時としてかなり厳しい音(共鳴音、付帯音、低音不足など)に泣かされることがある。

一世を風靡したスワンであるが、小音量での3次元的な音の広がりを期待して自作した人も多いと思うが、結果的に中大音量でないと低域とのバランスが取れない。仕方なくイコライザーでバスブースとすると、せっかくの切れの良さ、ホーンらしさが失われる。結局この辺でスワンを手放してしまった人が多いのではないだろうか?

厳しく言えば、折り曲げホーン+音響迷路から放射される低音は、本格的なストレートホーンの低音と比べ、やや癖がある。従って、後面解放デザインが無難で、部屋の壁面に反射させるなどして上手にコントロールする必要がある。その辺の事情もあり、実際にはソースも選ぶ傾向がある。うまくハマル時は素晴らしいが、そうではないときは????な奇妙な音になりやすい。

後日、雑誌に掲載されたこのスピーカーの製作記事を読んだが、(制作者としての気持ちは解るが)試聴結果の記述は、褒めすぎではないかと感じたのが率直な印象である。(あるいはその程度の音を普段聞いているということか?)

とは言え、このユニットの中高域の質感と音場感は素晴らしく、かなりの可能性が感じられる久々のユニットなので、マルチの中高域専用に使ってみたい気がした・・・・が・・・・ペアで8万円・・・・・微妙な値段である。たぶん私はやらない(やれない)でしょう。

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