バランスの良くない、中国製211シングルアンプの調整の続き
内部はバラックながらも、特に音質劣化を生じるような問題点はなさそうに見えた。
また怪しげなトーンコントロールは、オーバーオールNFB量の抵抗切り替えによる調整に見えた。これもそれなりに納得できた。
(実は真空管アンプは初心者なので、この辺は余り詳しくない・・・・・。残念ながら、球の名前も、回路もまだ良くわかっていないのだ。)
そこで、音質劣化の原因として真空管を疑ってみた。211は割合としっかりしているように見えるのだが、それ以外は、古くて怪しげな中国球ばかりであったので、交換による音質調整を試みた。
まずは初段の12AX7であるが、なんと片方はかなり古い日本製らしく、もう一方はUSAのかすかな文字がある。明らかに左右異なる球なので、Philips ECGの軍用管、JAN 12AX7に変更してみた。
いきなり音がスムーズになり、音場がスッキリと広がったのにビックリである。
これまでは、何となくやせた音像、ラジカセ的な音場であったのだから、大幅な改善である。
これはいい・・・・。かなり得した気分である。
気をよくして、2段目の6SN7を手持ちのUSAやUSSRの軍用管と取り替えて試聴してみた。
まずはソ連製OTKとプリントされた6SN7を試す。
中域が充実して高域が引っ込む。全体のバランスはやや良くなったようだが、音場が狭くなり、高域の輝きも失われてしまった。音に翳りがあるというか、なんとなくほの暗いトーンで、これは余り宜しくないようだ。
次に、Philips ECGの軍用管の6SN7に変更、比較的新しく、ピカピカでコンディションの良い物(NOS)に変更する。
突然、バリッとした高域が復活し、音場は非常に広くなり、思わず 「オー」と声を上げてしまったほど、その変化に驚く。
しかし、じっくり聞き込むにつれ211の高域のキャラクターや、歪み感が強く感じられるようになる。全体にバランスが悪く、やや聞き疲れする感じなので、次第に満足できなくなってきた。
そこで、RCAの軍用球の古い物に交換すると・・・・
突然歪み感が消失、高域のキャラもあっさりと引っ込み、とてもナチュラルな音に変貌。しばし聞き惚れてしまった。なんとも劇的な音の変化である。
RCAの軍用球の代わりに、シルバニアの軍用球(または民生用の同等品)に交換してみると、音は殆ど変化無し。歪みのない良い音である。これはどちらも大当たりである。
後でわかったのだが、このRCAとシルバニアはラベルが違うだけの同じ製品のようである。
いずれにせよ、同一規格の6SN7で、これほどまでに音が変わるとは、驚きの連続であった。
結果として、非常に自然で、ほとんど歪み感の感じられない音が得られた。
さらに透明感のある広い音場、音像の質感が整い、音像が目前に迫るような、納得の音が出るようになってきた。
真空管の交換だけで、幅広いソースに対応することができる、バランスの良い音が、あっさりと出るようになったので、これはなかなか嬉しい。
使用した中で、コンスタントに良い結果を出したのは、いずれも黄金時代(?)のアメリカの軍用球であった。
軍用球は構造がしっかりしているので、比較的安定したパフォーマンスを発揮するようだ。
これは久々のヒットである。
結論として、この中国製の211アンプは、付属の(低品質な)真空管を、それなりのもの(定評有る軍用球など)に交換すれば、本領を発揮し、かなり高級なアンプに化ける。
これは非常にコストパフォーマンスの高い製品であることが分かった。
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