2008年8月5日火曜日
206AXA
206AXA
エンクロージャーに装着作業中の様子である
鳴らし始めの最初の音は非常に眠く、低音も出ず、ガッカリであったが・・・
翌日から俄然調子を出し
一週間ほどで実力を発揮し始めた。
とにかくバランスが良く、しかも音に力がある。
クラッシックも、ジャズも鳴る。
低域のボリュームに不足はなく、ドラムス、ベースのキレは良く、量感もある。
中域は張りがあり、ボーカルが分厚く、豊かに前に出る。
高域は繊細で表情豊かである。ちょっと聴いた感じではややソフトタッチだが、聞き込むとナカナカ切れも良く、安定感があって、ヒステリックになることもない。
絶妙なバランスが、Tru-sonic 206AXAの良さではないかと思う。
チューニング次第で、好みの音に調整できる、柔軟さを備えている。
以前ある雑誌批評で、Tannoy 15 inch 同軸をクラッシックカメラのアンソニーに、Altec 604をスピードグラフィックに例えていたが、なかなか良い例えだと思った。
タンノイはダゴールなどの往年のバーレルレンズの甘いトーンを思わせる、ややソフトで厚みのある特長を生かし、鳴らし込むのが、もっともしっくりする。やはりクラッシックをゆったりと楽しむような聴き方がハマル。そこに 同軸ホーンのスパイスを適度に効かせると、ナカナカ良い。
一方、アルティック604は往年のスタジオモニターらしく、中大音量で再生すると、コントラストの効いた、バリッとした音を持っている。レンズに例えれば、コダックのエクター(特にトリウム系ガラス材使用のモデル)か。この太字でカラッとした、スッパリ切れの良い特徴はジャズに向く。
中大音量で 思いっきり鳴らす604は非常に爽快だ。バリバリと迫力満点である。一方、これをBGM的に鳴らす、例えば小音量でピラミッド型のエネルギーバランス、そしてウエットでシルキーなタッチに持っていこうとすると、これはナカナカ大変である。(管球アンプ等でやってやれないこともないが・・・・ そういう使い方なら、入手は難しいが605の方が楽かナと思う。)
Tru-sonic 206AXAは、基本的にワイドレンジで比較的フラットな特性。超高域はスッパリ切れているものの、現代の音楽鑑賞に充分なレンジを持っている。最も重要なボーカル域ー中高域には適度なエネルギー感があり、ボーカルや主要楽器のボリューム感が凄い。しかも不自然さがないのである。
この手の同軸ユニットとしては音場も比較的広い方で、アンプ、ソース次第で適度な透明感も出せる。一つ一つの音に604の様なエネルギー感があり、小音量でのウエットでシルキーなタッチも、大音量でのバリバリしたドライなタッチも、アンプやソース次第できちんと鳴らし分けが簡単に出来てしまう、希有なユニットである。
Tru-sonic 206AXAは、その特性と音楽的な柔軟性からすると、カメラに例えるなら、リンホフテヒニカのようなオールラウンドのテクニカルカメラ、レンズとしては、ツアイスの大判プラナーかシュナイダーのジンマー辺りに相当するだろうか。
Altec Tru-sonic Tannoyの15インチ同軸は、ウエスタンの技術から派生し、独自に発展したユニットである。それぞれ独特の個性があってすばらしい。
いずれにせよ、これらの15インチ同軸の名品は、大判カメラにも似た、圧倒的なパワー、リアリティーと独特の個性が身上である。
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