2019年10月21日月曜日

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ 4 高画素時代の格安レンズ旅

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ 4回目

前回はジャンクのコンタックスTの銘レンズ(ゾナー)を取り出し、再生してパンケーキお散歩用にする話でした。

今回はもっと楽ちんな方法です。

今フルサイズミラーレスは各社参入して戦国時代になっていますが、やはりソニーは先駆者としてリードしていると思われます。特に小型軽量でAF精度の高さと高感度に強い辺りは一日の長があります。
モデルチェンジも比較的早いので、買い換えで手放される旧機種の値落ちが早いのもありがたいところです。超高画素のRⅣが出て RⅡとⅢの中古の値段がぐんと下がりましたので、RⅡはなんとか頑張れば買えるかなと、背伸びすれば入手可能になりそうなところに近づいています。

ところがボディーは買い換えられても、4000万画素の高画素に耐えられるレンズの買い換えはたいへんな感じです。 フルサイズは面積が大きいので隅々まで高画質で撮影するのは至難の業、レンズが良くないとせっかくの高画素機の意味がありません。

4000万画素機で撮影するとたいがいのオールドレンズはボロを出します。それが良い味ではあるのですが、風景や建物では「きりっと撮りたい」と思うときもあるわけで、その様なときにボケボケ、流れまくり、パープルフリンジ出まくりでは フルサイズの意味なくね? APSーCの方が軽くて良いじゃん という突っ込みが来てしまいます(実際に普通のアマチュアユーザーだったらコスパと軽量性でAPSCの方が有利・合理的という意見は割と説得力があります)とはいえやはりフルサイズの魅力は相当な物があるので、昔のレンズでなんとかフルサイズの高画素機に使えないだろうかという葛藤が生じます。

 近年は速写能力も大切な要素になっております。大昔の写真雑誌を見るとわかるのですが、割とおおらかな写真が多く、決定的瞬間を捉えた写真は(スポーツ、報道、スナップの名手を除くと)意外と少なかったりします(笑)(当時のカメラで決定的な瞬間を捉えるのは大変な手間と技量が要求されたと思われます)。現代のカメラレンズ遊び(?)では、スマホに負けないように、ピントやフレーミングはそこそこ素早い性能も求められますので、結果、AFズームはどうしても必要になってしまいます。

そこで格安の割には良く粘るお手軽なAFズームレンズを探す訳ですが、意外に良い選択肢がなく、試行錯誤の末、AF対応レンズアダプタを上手く使うと解決できそう ということが判って参りました。

<LA-EA4を使って旧ミノルタレンズを復活させる>
ありがたいことに旧α用モーターなしレンズを動かすアダプタが純正で用意されています。このアダプタは結構な値段がしますし、アダプタの下にフォーカス検出部が大きく飛び出して邪魔な感じですが・・・・これが実に良い仕事をします。
 これさえあればミノルタのレンズをAFでぐりぐり使い倒せます。AFが意外に素早くて、昔のαはこんなに高速にピントは合わなかったなあ・・と感心するぐらいです。

特にお勧めは

望遠ズーム
AF APOTELE ZOOM 100-300mm です。
このレンズはほとんど見向きもされていませんが、前群にARレンズという低分散ガラス(おそらくEDレンズのようなもの?)を2枚も使っており、シャープです といっても切れ切れの最新レンズのような先鋭な絵ではなくて、ミノルタらしい適度なコントラスト、シャープネスでハーフトーンが良く出る感じのやや落ち着いた感じの描写です。しかしながら解放ではふんわりとしながら芯のある絵でポートレートに向き、F5.6~8に絞ればアポレンズらしい、きりっとしたにじみのない絵が取れて満足度大です。解像度の感じは4000万画素機には若干解像度が足りないが破綻はせずに使える線に入っていると思われます。
このレンズはトーンが良く出てシャドーが潰れにくく、ハイライトが飛びにくい ボケがなだらか 見方によっては海外製高級レンズの味に近いかもしれません。(後ろボケが若干荒れるときもありますが・・)

このレンズは小型軽量で持ち歩くのに苦にならず、風景からポートレートスナップまで多用途に使えるのがありがたいところです。RII以降は手ぶれ防止機構がボディー内蔵になっているのでブレも少なく快適な撮影ができます。

このレンズはなぜか人気がなく時々ジャンク棚に転がっていますので、レンズに曇りや傷のない個体を見つけたら即ゲットをおすすめします。

標準ズーム
タムロン SP AF28-75mm F/2.8 XR Di LD ASPHERICAL α用
FEマウント用の新型の評判がとても良くて、逆にα用の旧機種は値崩れ?しています。
一万円台で入手可能なのですが、低分散レンズを贅沢に使用していて描写も良好です。

このレンズは解放の描写がとても甘いのも有名ですが、それがポートレートに好ましい特性になっています。前後ともボケが綺麗で 絞れば結構シャープになります。
 弱点は周辺部の解像度が低いことで、特に広角側の解放では端がボケボケになることがあり、このレンズの評価を下げています。
 所有する個体も広角端で右下の画質が大幅に低下する症状があり、ずいぶん悩みましたが、LA-EA4のフォーカス調整を使ってピント面の調整を行ったところ許容範囲になりました。
 小型軽量化を優先した設計のため、偏芯やピント面の傾きなどを生じやすく、フォーカスの安定性が今ひとつなのかもしれません。しかし、その欠点さえ判っていれば、風景や建物では絞り気味にして、周辺部を拡大してフォーカスをしっかり確認すれば 破綻のないきちんとした絵が出せます。なによりF2.8通しでありながら小型軽量設計はありがたいところです。

広角ズーム
広角ズームは全域のシャープネスが求められるので設計が古いレンズよりも若いレンズの方が安全です。これはオールドレンズではありませんが、中古品に値頃感があり、コスパの高さで有名な、キャノンの17-40mmF4を、Fotogaやシグマ等のキャノンEFーソニーアダプタを介して使うのは割と無難な選択かなと思われます。

超広角ズーム
使用頻度は高くないですが、一本は欲しくなりますね
シグマ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL
このレンズはフルサイズ用で歪みがほとんどないのが大きな特徴です。(このレンズの歪みの少なさはまるで対称型のビオゴンのようです)
このレンズは基本設計がフイルム時代なので、解像度は全体に若干不足気味で高画素機には向かないという評価になっていると思われます。ところが、その理由は像面湾曲にあるらしく、AFでフォーカスすると中央だけピントが来て周辺がアウトフォーカスでぼけるのがこのレンズの評価を下げている原因になっているようです。
 そこでこの12-24のレンズを使うときには、AFを停止してMFモードに切り替え、レンズのピント目盛りを無限遠にしっかり合わせます。そうすると、もともと超単焦点レンズなのでピントの合致する範囲(被写界深度)は広いのでパンフォーカス的にピントが合います。その描写は、カリカリではないものの超広角ズームにしてはほどほどピントも出て、高画素機でもギリギリ使える程度のフォーカスにセット可能です。格安品が出ていたらマニュアル式のマウントアダプタとセットで購入すると良いでしょう。

番外編
ミノルタAFレンズの中で、24-105mmズーム(初代)はおもしろい存在です。この焦点域は現在ブレークしている24-105mm(F4通しですが)のはしりと呼ばれています。この初代はとても軽量なのが特徴的でスナップや旅行に適します。LA-EA4のAFは高速なので、スナップも気持ちよく決まります。デザインも当時の未来志向?垢抜けていてなかなか良い雰囲気です。このレンズも格安でジャンク棚や中古店のウインドーの端で眠っていますので、お手頃価格でしたら拾ってみても良いと思います。ミノルタらしく中間トーンが良く出て、ぼけが綺麗です。特に標準から望遠側の描写はなかなか良好でポートレートやスナップに向いた佳作レンズです。ただしこのレンズには大きな弱点があって、広角端24mm付近の周辺部は絶望的なほど流れまくり、パープルフリンジ、光量低下も目立ちます(涙目)このあたりの弱点は絞ってもあまり改善しませんので、広角で風景写真に使うと結果にガッカリします。スナップや接写で、被写体にぐっと寄って撮影するような使い方であれば印象的な写真になりますので、そういった使いこなしが求められる通好みのレンズとも言えるでしょう。