2019年9月29日日曜日

Contax T sonnar 38mm F2.8をSony α FEマウントにして パンケーキレンズ化

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ 3 「常時携帯フルサイズ一眼オリジナル」

小型高級カメラというジャンル、今もコンデジの高級機が人気を集めていますが、プレミアム性(RX1等)と利便性(RX100等)の間を行ったり来たりしていますね
(魅力的な機種はなかなかお高いですね 汗)

 昔Contax T という京セラのカメラがありました。小型高級カメラのはしりになったものですが、これに搭載されたsonnar38mm F2.8は当時、写真好きに相当インパクトを与えたものです。作品作りの出来るカメラを常時携帯できるというのは魅力的でした。
 色が濃くて、描写が滑らかで、作品感のある写真が超コンパクトな沈胴式で楽しめるしかもレンジファインダーでピント合わせもしっかりできて、露出は絞り優先AE ということでコンタックスTはマニアのアイテムとなりました。その後AFを備えたT2 T3 TVSなど快進撃。10万円クラスの高級機でしたが、バブル期の好景気(あの頃は高いものにも投資しましたよね =浪費)でそうとう売れたそうです。(最近フィルムカメラの再評価でまた値段が上がっているようですね)


その銘レンズをSony α FEマウントにして パンケーキレンズ化してみました。
理由は簡単で、Tの機構はもともと強度的にいろいろと限界があって、使用頻度が高いことから落下させたり、筐体もT2以降のチタン製ではなくてアルミ+プラのため歪みも生じやすく、電子部品の補修パーツも底を付き、修理も難しくなっていることから中古店で時々ジャンク無保証で個体が出ていることがあります。
 ダメ元で買ってみたけれどもやはり撮影不能でした・・(外れの涙)というものを1台所有しておりまして、そのレンズを生かしたいと思い、強引にボディーから取り出して、中華製のCマウントアダプタに乗せてみたというものです。


 Tからレンズユニットを取り出すのは意外に簡単でした。(分解法は検索すると出てきます)レンズユニットのシャッター機構も簡単なので開放状態にカムを固定すればOK。このレンズはヘリコイドがついていますし、絞りレバーも付いていますのでシャッターさえ開ければオールドレンズとして再生できるのです。

 このレンズはフランジバックがとても短いので、Cマウントアダプタの中から中央の凹みが大きくて厚みの薄いものを選択します。アダプタの凹みの中にレンズを押し込んで借り止めで無限遠の位置を決め、四隅のピントを微調整この辺は試行錯誤になりますが。ある程度ピントが出たらしっかり接着剤等で固定してしまいます(汗) レンズの周りから光が漏れないように、今回は遮光のフェルト布を張り込んでみました。違和感が消えてそれなりに見えます。

このレンズを付けたα7無印初代はとても軽量で 薄く、コートのポケットにするりと入る感じです。ビジネスバックに入れることも可能です。

描写は銘レンズらしく、F5.6〜8辺りの中央部は割とシャープです。
周辺はどうしても流れますがこれはおそらくαの素子の前のガラスの影響もありそうです オールドレンズですからおおらかに・・・

 解放ではとてもふわっとした感じで中央部のみほんのり解像しているようなオールドレンズらしい描写となります。
 T*コーティングのためかとても抜けが良く、若干露出アンダー気味にするといい感じの雰囲気のある絵が撮れて満足感もあります。

 最新レンズのような切れ切れの描写を期待してはいけませんし、組み合わせるボディーもRII以降の高解像度機では粗が目立ってしまいますので、初代α7からαII〜IIIあたりの組み合わせがいい感じかもしれません。

 このレンズのおかげでα7を持ち出す回数が増えました
小さなヘリコイドを回してピントを合わせ、絞りリングで深度を調整するという手順も、見やすいα7のファインダと相まって楽しいものです。オリジナルのTのレンジファインダーはあまり視認性の良いものではなかったので、この組み合わせの方がこのレンズをしっかり使っている実感があります。
(そういえばT2もT3もAFを時々外すので少々怖いカメラでした・・・)

 このような自分だけの究極の薄型カメラを、いつも手元に置いて、フルサイズミラーレスでいつでも撮れる!というのは何となくいい感じです。

 フルサイズ+コンパクトな良いオールドレンズの組み合わせで切り取る写真はスマホとは明らかに差があり、なにより写真を撮っている実感や良い道具を扱う手応えがあるのが素敵です。
 α7初代のシャッター音は最近のモデルと比べると若干甲高いですが、メカシャッターの音を伴う 瞬間を切り取る感覚 は、シャッター音を擬似再生するスマホとは異なり、今となっては新鮮な感覚で、ある種の快感を楽しめたりします。

追記
 このレンズは絞り解放では特に周辺が甘く、中心部もピンは来ていても なんとなくふわふわした感じでしゃきっとしません、
 風景や精密描写が要求される場合、思い切ってF11まで絞ると周辺はかなり改善します。回折により解像度は若干低下しますが、広く安定した結果が欲しい場合はF8〜F11辺りを上手く使うと案外楽しめます。露出がなぜかアンダー気味に偏りやすい?のも手伝って、T*コーティングらしく色乗りが良く、フィルム時代のTの写りを再現するような仕上がりをデジタルで楽しめます。


2019年9月24日火曜日

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ 2

スマホとの激烈な戦いとなったこの時代に、カメラを趣味として楽しむにはそれなりの工夫が必要なのかもしれません。
 大ベテランの皆様は逆に楽しい時代になってきたとも言えると思います。密かな楽しみ方を考えてみたいのです。

 まずはバブル崩壊 失われたうん十年(何もしていなかった私達・・・)収入右肩上がりの輝かしい時代は終わって(汗)あの頃趣味に多大なる投資をしてきた(浪費してきた 涙目)のも昔の話になりつつあります。お小遣いも目減りしておりますし(教育費や医療費もじわりと上がって仕方がありません)限られた資源でいかに楽しむかがその道の達人と言えましょう。

 幸いなことに型落ちのミラーレスはフルサイズも含めて値頃感が出ておりますのでいろいろと楽しめます。問題はレンズです、新型の良いレンズは大きく重く高いののがいただけません。
 そこでいろいろ工夫します。
 例えばネットの板で酷評されている(?)キットレンズ セットもので購入するとボディーにレンズがただ同然で付いてきたりします(その逆も?)。キットレンズはロボット組み立てで検品はてきとうなのか、割と当たり外れがあって(周辺部の流れ具合が千差万別)当たりレンズをさがして、レンズ固有の癖を作画に使う(周辺減光+収差による流れ)のがベテランの楽しみと言えましょう(貧乏性とも言う)

 そもそも写真の周辺部なんてそんなに子細に見たりしませんから(除く風景建築写真)キットレンズも当たりであれば、むしろ純正品のAF性能の良さとか、デジタル補正の進歩に驚いたりします。 なにしろ軽いのが圧倒的で、スマホは持って行くけど一眼は置いていくみたいな悲しいことは無くなります。ここぞと言うときに愛機が手元にある、これは精神衛生上良いものです。もちろんいい写真はチャンスがあればこそですからカメラは持ち歩くことに意義がある。スマホが写真撮影のツールとして強力なのはいつでも手元にあることです。これに対抗するには極力愛機を持ち歩くことです。

そうするにはソニーのミラーレスは理想に近いです。軽いですし、ファインダーも良いですし。RAW現像する方なら旧型フルサイズ(α7初代等)でも結構良い仕事をしてくれます(相当安くなりました)。組み合わせるレンズは軽いものに限ります。そうでないとミラーレスの意味がありません。高性能なレンズが欲しい気持ちは分かりますが、高性能レンズは高いだけでなくて大きく重いので結局防湿庫の肥やしになりやすい これが最大の欠点です。

そうなると軽くていいレンズは何か探すわけですが、一番のお勧めはキャノンの40mmのパンケーキ STMが良いです 例のFOTOGAのようなプラプラの中華製アダプタ経由で ものすごく軽量なシステムになります。α7の比較的新しいモデルですとアダプタ経由のAFも迅速です (シグマのアダプタはさらに安定していて良いそうです。)この40mmはAFが静かなのでムービーもいけます。 周辺部もあまり流れず安定感のある描写で、それなりに雰囲気も出る万能レンズです。とにかく安い軽いのがありがたいところです。

純正FEシリーズの単焦点(無印)はどれも軽くて良いですね。自分の好きな焦点距離のレンズをバッグに突っ込んで軽々と旅をするのも良いものです。レンズのラインナップを増やす意味では純正Aマウントアダプタを使って最近値落ちの顕著なミノルタAFレンズやソニーAマウントレンズからチョイスする手もあります(AFの微調整はした方が良いです 若干ずれる個体が・・・)

とはいえ欲が出て 寄りの望遠や引きの広角もカバーするズームが欲しいとなると、もちろん最新の純正24-105やタムロンの28−75あたりが欲しくなりますが(懐具合から 涙目)ぐっとこらえて 純正 28-70で我慢するのも吉です。28mmの周辺は恐ろしく流れますが真ん中はそれなりに踏ん張りますし、AFは早いので シャッターチャンスには強いです。なにしろ安くて軽いのがありがたいところです。(RIIなどの高画素機にはきついですが)

ミラーレスといえばレンズ遊びですね(レンズ沼)
 オールドレンズでは、ライカの有名どころのレンズは今も高価格ですのでなかなか手が出ないですね 裏ライカ的なロシアLマウントレンズ群は値段は安くても上級編ですので相当な趣味人の領域かと(お勧めしません ロシアンビオゴン35コピーレンズがシャッター膜に当たりそうになってカメラを壊しそうになった・・・ 大汗)。
 入りやすいのはライツミノルタのレンズでしょうか。実質ライカの割に安いのでお勧めですね。(ただ古い個体なので曇りに注意)

同じぐらいの趣味性があって楽しめるのが旧コンタックスのGレンズです。コーティングが良く、抜けが良く、いい色が出るので(ネオ)オールドレンズ遊びとしてはコスパが高いです。

特に45mmのプラナーは開けてよし、絞ってよしの銘レンズで安く出ていたら即ゲットです。F5.6辺りの描写は良好で細密かつ高級感のある絵が出ます。アダプタは(中華AFモーター付きがあるらしいのですがすぐ故障するらしく危険なので手を出さない方が良いそうです)リングを回すとギアでピントを調節出来るものが格安で手に入るのでそちらがお勧めです。ライカと違ってレンズをぐりぐり繰り出せるので割と寄りの撮影もなんとかなるのも良いところです。

ビオゴンの28も21も銘レンズなのですが周辺が派手に流れるのと周辺減光がきついのでその辺がコントロールできるなら小型軽量レンズなので持ち出し易く、深みのある描写も楽しめます。周辺部の流れは撮像素子の前のフィルタのガラス厚が影響しているらしく、平凸レンズで補正すると改善できるそうです。以前問題となっていたパープルかぶりはαの素子が裏面照射になってからは問題なくなったようです。

 ヤシコン80−200バリオゾナーも隠れた銘玉と言われています。あの時代の直進ズームを愛でること自体相当レベルが高いですが(爆)このコンタックスの望遠ズームは色乗り良く、ぼけが自然で、マクロレンズかと思えるくらい寄れるのでマクロズーム的な使い方でうっとりするような絵が撮れたりします。絵に何となく品があるので花やポートレートに十分使えますし、時々格安で転がっていますのでチャンスがあったらゲットしても良いレンズかと思います。この頃のコンタックスのレンズは無理のない設計をしているためかバランスの取れた良い描写が得られます。(有名な85mmF1.4は??ですね案外使いこなしが難しい・・・)

最新設計の高級レンズは解放ではとろけるような前後ぼけ 絞って全面かりかり細密な という欲張り設計ですが(なので大型で高価)、ふんわり前後ぼけと狙いを決めてかかるならば、上述のオールドレンズでも、球面レンズの自然なとろみのある絵が自然に撮れますし、逆にかりかりで行くぜ! 的な気分の時には マイクロニッコール55mm f2.8のような格安高解像度レンズ(5千円を切ってたりする もちろん寄れる)もありますので オールドレンズの底力に嬉しい発見があったりします。 


 その他オールドレンズ遊び的な特集雑誌(ムック)にはいろいろと魅惑的なレンズが満載ですが 中には性能の割には市場価格が不当に高いものも含まれているので(執筆陣は煽りがお上手)雑誌情報はほどほどにして、とにかく軽量なレンズを目的に合わせてチョイスして頻繁にカメラを持ち出す これに勝る手立てはありません。




2019年9月22日日曜日

写真趣味(カメラ)の曲がり角を逆に楽しむ

 つい先日、代官山の有名な書店(というかコンプレックス)を散歩して、いつものカメラ屋をのぞこうとしたら、なんと閉店していて スターバックス(の高級店)になっていました(涙目)
 そういえばこのお店ではウインドーショッピングのみであまり買い物をした印象がありません。ライカやポラロイドが中心に据えられていて、周辺をチェキとデジカメと中古レンズとフィルムカメラで固めるというバランスの取れた店内、綺麗な展示には一服の清涼感があり、貴重な場所でした。

 そのほか、全国チェーンのカメラ屋さんの中古店の旗艦店も売り場が小さくなって駅から遠いフロアに押しやられていたり、下取り交換で活気があるのは中野のフジヤと新宿のソフマップが思いつくのですけれども それ以外はネット販売に主力を移行しているのでしょうか?

新品カメラは、ミラーレス一眼に一斉にシフトしていますが、ソニーが先駆者ということもあって一歩リードしているようですね。α7RⅣは完成度も高く中型デジタルを脅かすような能力を秘めているようです。(もちろん中型には中型の良さがありますが・・・・・最近の中型はフルサイズx1.7面積ですから圧倒的かというとそれなりに限界もありそうです)

そういえば中型の名門ハッセルは中国のドローン大手の傘下に入っており、昔のコマーシャル業界での圧倒的地位を考えると隔世の感があります。
今はフルサイズでほとんどの仕事がこなせてしまいます。(優位性が出せるのはごく一部の大判ポスターグラビアのみ?)

コマーシャルの世界も、どちらかというとスチールだけでなく、ショートムービーも一緒に撮るといった要求に応える必要があり、ソニーはその辺にも対応しているのが強みですし、パナソニックのフルサイズ機も動画機能の強みでフルサイズに食い込む戦略のようです(なので放熱も考えて筐体が大きい)

こうした大きな潮流の中で銀塩フィルムはとてもニッチなものになっています。過去に大量に製造されたカメラは軒並み価値が下がっています。価格が維持されているのはライカぐらいでしょうか、程度の良いものや希少種はアジアでも人気らしく価値が維持されているようです。レンジファインダーの趣味性が生きているのでしょうか、とはいえ最近はめっきり銀塩フィルムを使わなくなりました。たまにフィルムコーナーをのぞくと価格が高騰していてびっくりであります コダックのフィルムは一部復活してますね。

安定供給されている銀塩はチェキぐらいでしょうか というのもなんとなく寂しいですが時代の流れでしょうか。チェキ自体も最近はデジタル化してプリント紙がチェキフィルムになっているようですが。(小型デジタルプリンタにカメラが付いている的な)

そうした一連の変化の中央にあるものはスマートフォンのカメラ機能の進化に他なりません。最新のスマホは通信端末としてはやり尽くした観があり、記録媒体としてのカメラ機能や映像観賞用の媒体として、あるいは電子決済の端末としての機能が重視されるようになっておりますが、このカメラ機能の進化が震源地になっております。

信号処理と多数のレンズの画像を組み合わせて画像合成で前後をぼかした写真がねつ造できてしまうのですね。これがまだ若干不自然さの残るものではありますが、シーンによっては十分に使えてしまう域(SNSなら十分)に達しているので、大口径レンズを付けた専用カメラがいらなくなるという恐ろしい技術革新です。

撮影して絵を確認してそのままSNSに上げるといいねがもらえるという速攻承認欲求満たしますマシンです。

裏面照射のセンサと信号処理の進化で暗いところもそれなりに絵が出せるようになってきたのも侮れないところです。(さすがソニー)

というわけで専用機たるカメラとその趣味はだいぶ縮小してしまいますが、まだ枯れた趣味としては残りそうです。アナログレコードが小規模で復権しているように、銀塩フィルムもそれなりに生き残る可能性があり、またオールドレンズはアダプタ経由ミラーレス接続で趣のある(加工のない)絵が撮れるので、最新のピクセルにじみのないクリアなデジタル専用レンズのぴりっとした絵に飽きた層には、表現の選択肢としてのオールドレンズはそれなりに活路を見いだすでしょう。

困るのは中判や大判用レンズで、最新の撮像素子の求める解像度に達しないレンズはぼけぼけの画像になってしまうことから生かし切れていないのが現状で、フィルムも高いですし、行き場が無くなっているところが若干残念であります。

一時期フラットベッドスキャナを改造してスキャンカメラにするという猛者が現れましたが、最近はどうなのでしょうか?私もテストしてみたのですが(スキャナを3台潰しました)ぼやけたり、モアレが出たり、絵がゆがんだり、スリットカメラ特有の症状と、センサのSN比の悪さに閉口してしまい、製作を断念してしまいました。
手軽にオールド中判大判をデジタル化して楽しむ方法を模索しているところです。

とまあいろいろありますが、いまのところはソニーのミラーレスに純正やらサードパーティーやら、オールドレンズやらを取っ替え引き替えして、スチルやムービーの用途シーンに合わせて使い倒すという、刹那的なカメラライフが吉のように思われます。