2020年3月8日日曜日

sigma SD quattro H は 中判デジタルバックのマイクロ版である SDQH 写真趣味(カメラ)の曲がり角を楽しむ傑作機

sigma SD quattro H
という4年ぐらい前に出たカメラがあります

フォビオンはなんとなく気になっていて
フルサイズのフォビオンが出るとか出ないとか(延期になったらしい)出たら欲しいと思っていたのですが、よくよく調べると現行のSD quattro Hは充分に良いという噂なので
値段も下がってきているし思い切って購入してみました。

大正解でした。
普段はソニーのα7RIIを使っているのですが
光量の豊富な条件ではSD quattro Hが大活躍しています。

とても個性的で魅力あるカメラです。総合的な表現力で、ソニーのフルサイズ機を上回っているように感じられます。

SD quattroは賛否両論、いろいろと批判の多い機種ですが
登場時の不具合はほとんど解消されていて
最新のファームウエアであれば特に問題なく撮影ができます。(動体撮影は無理ですが)

SD quattro Hはおそらくスタジオ(物撮り)や風景撮影などの中判デジタルバックを念頭に開発されたのではないか と思われます。(テザー撮影用のソフトもありますし。)

ここのところ、フルサイズ機の進化、ローパスレス、裏面照射CMOS ローノイズ化技術 デジタル信号処理の進歩めざましく、フォビオンも中判デジタル同様に画質の優位性は後退しています。単純な解像度比較などのスペック云々は登場時の4年前と比べてSD quattro Hに明らかな優位性があるわけではありません。 

中判デジタルはその独特の表現力の高さから現在も作品用として使用されるプロやハイアマチュアがおられますが、SD quattro Hのフォビオンもそれに近い何か独特な表現力、撮像素子自体の持つ、割と素直な個性があるのです。

センサは小さく、低感度ながら、中判デジタルバックの大型素子に相当する表現力と素性の良さを持っているようです。

喩えは難しいのですが、通常のミラーレスではなく、中判デジタル相当の能力を コンパクトなAPS素子に纏めた「物撮り機」と考えれば、いろいろと納得がいきます。



EVFなどの取り回しはデジタル黎明期のデジカメぐらいのおっとりしたレスポンスですが、動体でなければそれほど困ることはありません。
AFもほどほどの動作で、精度はしっかりしているようです。(最新ファーム)

レンズに関してはマウントアダプタを介してスクリューマウントのオールドレンズが使える外、ペンタックスのK、M、Aレンズの絞り連動ピンを外したものが使えます。

 ペンタックスの隠れ銘レンズ、例えばマクロ50mmF2.8  M35mm F2など軽量で描写力もあり、コンパクトなミラーレスカメラとして充分楽しめます。(特にM35mm F2はお勧め。 43~45mm相当の画角になります)

シグマ純正レンズに関しては、18−35mmF1.8がベストマッチです。APSーC用のレンズですが、このズームレンズは全てのエレメントが大きく、イメージサークルが広いのでAPS-Hで使えます(18mmのエッジにトリミングが必要な時もあるがほとんどそのまま使える)
35mm換算で24-45mm1.8という、まさに常用域をカバーするレンズとして使えます。

18−35mmF1.8は光学性能が非常に高く、海外ではプロの映像作家がこぞって使用しているという銘レンズです。(主に動画 縮小光学系との併用でblack magicやGH4 5で)

この高性能レンズとSD quattro Hの組み合わせは強烈で、通常のフルサイズ機と違う何かがある感じ

仕上がりは 往年のデジタル中判・大判フィルムカメラに近いものです。

中判・大判システムをスタッフ数名で運用していた時代を考えると、手ぶれにさえ注意すれば一人で歩き回って自由に撮影できますから、隔世の感があります。

中判、大判との差は、フォビオンセンサの特性により、シャドー領域に余裕がないため 暗部の仕上がりを考えて露出補正をきめ細かく行うこと がポイントになりそうです。

三脚が使える状況では、SFDモードで押さえの一枚も撮っておいた方が良いようです。

SDQはデビュー当初、フォビオンの内部処理の未完成によると思われる、増感したフィルムのような、ざらざらした粒状感が気になりましたが、その後の熟成により、まるで微粒子フィルムを使ったフィルム作品のような、視覚的に好ましい粒状感、エッジコントラスト、トーンに仕上がっています。

フォビオンは無機質なもの いわゆる「フォビオン物件」(笑)に向いているとされていますが、立ち上がってくるような立体感のある仕上がりに、改良で表現力・自然さが増している分、無機質なもの以外の、さまざまな被写体に応用できそうです。

以前、メリルの導入を考えた時、色の不安定さ、特に緑かぶり傾向が顕著で、暗部の余裕がなく断念しましたが、最新ファームのSD quattro Hにはそのようなことはなく、自然な色表現となっています。それに加えて(以前と比べてマイルドになったと言われるものの)独特の表現力は今も健在のようです。

ありがたいことに、フォビオンはかってのようなRAW現像必須な製品ではなく、ISO100の設定であればjpegをそのまま使えます。
(SPPの動作は 割とまったりしておりますので・・・ せっかちな私はできれば使用を避けたい 汗)

SD quattro Hはフィルムライクなフォビオンの表現力を気楽に楽しめる、隠れた名機であることを確信しました。

特にモノクロ撮影では唸るような仕上がりが得られます。

SD quattro Hが海外で好評な理由がよく分かりました。


 

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