2017年10月2日月曜日

アメリカ音響全盛期 ビンテージ品の楽しみ方

最近の某ステレオ雑誌に、某イタリア車コレクションで有名な方のオーディオシステムの紹介が出ていた。
 ウエスタンの全盛期のドライバーユニットを軸に、復刻された18インチ低域ドライバーとフロントロードボックス、ツイー ターを組み合わせ、特にドライバーに組み合わせているホーンは現代的な設計のものを採用されている。
 ある種究極な組み合わせと思われます。また(懐古趣味、オリジナルコレクターではなく)新旧を巧みに組み合わせている所が流石と思わせる。オーディオに関して相当なキャリアをお持ちと推測されました。
 その最新システムの前はTru-sonicのシステムを使っておられたとのことで、やっぱりね
という感じでございました。
 この辺のクラスを知ってしまうと、もはや最新機器などどうでもよくなってしまう感じであります。(もちろん最新機種も、すごいのはすごい ですけれども なんか 違う様な気がします 完璧な箱庭を狙うのも一つの方向性とは思いますが、 原音+αの世界を知ってしまいますと なんか自分の目指している世界とは違うかな とか 思います 率直に・・・)

 また、某真空管専門誌に、アルティック604シリーズ聴き比べ 特集があり、これもまたツボな企画でございました。使用されている機材がまた流石でありまして、さらに箱のチューニングなどベテラン揃いだからこそできる深い視聴記事でありました。結論としましては(ぜひお読みくださいませ)604Eが最高評価を受けておりました。やっぱりねといいますか、わたくしもすべてのモデルを最高のコンディションで聞き比べる様な幸運には至っておりませんので、限られた経験からしか言えませんが、604 E はズバ抜けてバランスが良い名器と言えるのではないかと密かに思っておりましたので、やはり!と思ってしまいました。
 といいますのは、604のオリジナル(無印、TypeA)のフィックスドエッジやベークドダンパーのバージョンは、なんとなく乾いた感じの音、どうやら周波数の高い領域にピークが出やすい(紙っぽいキャラクターを感じやすい甲高い個性)特徴があるようで、現代的にはその辺が最新のhighbid録音との相性に限界があって、ピーク抑制のためにデジタルフィルターを入れて抑え込むのもどうかな・・・と若干躊躇してしまうところがあります。
 逆に新しいほうの604G以降は、ロックやブラック音楽全盛となりドロドロした低域、打ち込み系の時代で、JBLの4ウエイシステムや、その後のTADとの戦いになり、ジリ貧となっていた時期であるため、得意な中域の張り、情報量、2ウエイのバランスよりも、低域拡大を狙ってM0を増やしたモデルとなっており、高音ドライバーと中域の間の繋がりが悪化してしまったのが若干残念な感じでありました。もちろん箱も620の大きな箱に入れるのが前提で、銀箱に入れたら寂しい結果になってしまいます。620は今日的に自宅に入れるには(専用オーディオルームが何部屋もある方であれば問題ないでしょうか)マンション暮らしには大きすぎるかなと思います。
 604Eを入手してびっくりしたのは、そのコーン紙の軽さとダンパーの繊細さでした。特にダンパーはナイロンメッシュの薄いものに同心円のリブを付けた他のメーカーには見られないもので、いかに初動感度を高めるかに腐心した開発陣の熱意が感じられるものです。もし、程度の良い604Eに巡り会えたら、ぜひ入手していただいて、オリジナルのコーンとダンパーだけは交換しないことをお勧めします。(リコーンキットで配布されているもので、オリジナルと同じEタイプのダンパーを見たことはありません リコーンすると音が変わってしまいます)
 注意点としては、オリジナルのコーンやダンパーは経年劣化を受けていて、へたっているものが大多数であるということです。ボイスコイルが磁気回路に接触している個体も少なくありません。センターがズレれば当然音は急激に劣化します。
 リペアショップとしては、修理後のクレームは避けたいところですので、リコーンを進めると思いますが、なんとかオリジナルのままでセンタリングしてもらう方向でベテランのエンジニアに頼んでみてはいかがでしょうか?

Tru-sonicのP52や206AXはフィックスドエッジなので保存状態の良い個体はエッジの補修で復活できる場合もあります。リコーンには同時代の15インチユニットから移植という手があります。Tru-sonicのP52や206AXは604Eのような工夫はないので、高域にピークが出やすく、オリジナルのネットワーク回路では古い感じの音になりやすいのですが、最新のデジタルチャンネルデバイダーを使用して高域のピークをバッサリとカットし、クロス500前後の中域ホーン(最新のホーン設計のもの)を使えば、原音に近いような中域と、歯切れの良い低域に驚嘆します
 
  

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