2017年10月9日月曜日

そろそろSummaryの必要な時期かもしれないので・・一応書きます(爆)2

 それで、いろいろと遍歴してきた結論から言いますと、バランスの良い黄金期の15インチフルレンジ=同軸2ウエイ 高域はホーン型 を選んでおけばまずはOK ということに気がつきました。そのモデルはズバリ アルティック604E、605シリーズ、Tru-sonic206AXAです。
 なぜか、は当ブログをご覧いただくとなんとなく説明しています。きちんとした理由があって、音響理論が確立され、それを真正面から精密に具現化して、原音再生と音楽性を両立させようと優秀なエンジニアとアーティストが取り組んだ時代、しかも経済的に豊かな時代に支えられて構築されたユニット達なのです。
 この時代の前はベル研がレコード、電話やトーキーに関する研究を当時の最も優秀な研究者と開拓していた時代で、そのころには様々な理論、設計手法、部品が試行錯誤の中で確立されていきました。
 現在珍重されるウエスタンエレクトリックのハイエンド機器はまさにそれらの実証実験+大規模なシアター向けに予算度外視で設計製造されたものです。

 当時と今日の決定的な技術の違いは半導体の技術の有無で、高効率な増幅器(アンプ)を製造することが困難であったため、高効率なスピーカー設計の比重は極めて高いものとなりました。
 効率を改善する方法としては、励磁式、コンプレッションホーン、15インチまたは18インチコーンスピーカー 大型のボックス 大型の中域ホーン
 アンプ側は大型の3極管、低歪み大出力の回路設計、優秀なトランスなど

こうして列挙してみると、今音がいいと言われる機器のオンパレードです。300Bや211、WE555 ジェンセンの励磁式18インチなど代表格ですね

 ところが特殊用途に開発された(大規模シアター用)機器なのでここまで我々は手を出す必要はなくて、これらの開発の反省からもう少し汎用性を高めた機器にシフトし始めたものを狙うのがお勧めですと言いたいのです。希少性が高く有名な製品は買うのもメンテするのも大変で部屋も専用の広さが必要になってしまいますので音楽を聴く前に収集とチューニングで貴重な人生の時間を消費してしまいます(涙目)
 しかも高効率のホーンには時間のズレという大問題があって、当時のホーン設計は広がり角が狭い特にホーン長の長いものが多いので位相差を通り越して時間差、山びこぐらい遅くなったり、また水道管や土管の奥から響くような独特の癖が出ている(それがたまらないという方々も大勢いらっしゃいますが音楽を聴くには特に必要でもない世界かと)

 そこでそれらの系譜から生み出されたのが前述の15インチユニット達なのです。
18インチは大きくフルレンジ設計はきつい(中域ドライバーの音域を下げる必要がある)のと、コーン紙が重くて総合的な音の調整が困難、その反省からサイズを15インチに縮小して、音圧が必要な場合はホーン付のボックスに入れるか、15インチユニットを複数同時に駆動すればよいというのが当時の結論だったようです。それは理論と実践の中から生み出された最適解でした。
 なぜに15インチウーファーではなくてフルレンジなのか は 経験の豊かな皆様にはおわかりかと思いますが我々は低音を聞いているのではなくて常に中音域(音声帯域)を聴いている。また中域ユニットとの繋がりを考えるとフルレンジが有利、という事実があるからです。
 アイコニック iconic(電子たばこみたいな名前ですね) JBL Altecの歴史 シャラーホーンで検索すると出てきますが
 15インチフルレンジを大型のバスレフ箱に入れたもの(後の銀箱?当時は黒)もしくは、15インチドライバー(515の前身)をフロントロードホーン付の箱に入れたもの(後のA5,A7)に、3インチコンプレッションドライバー(後の288)と組み合わせた2ウエイシステムで、レコーディングスタジオや小規模シアター用に設計されました。

 後のAltecやJBL技術者達(ベル研や映画会社からの仕事を請け負っていた設計製造会社と思われます)が開発に携わった、現場の経験から生み出された傑作です。

 今も、JBLのプロフェッショナルシリーズのフロントボックスやら、バックロードホーンに15インチフルレンジのドライバーユニットを入れたカスタム構成がジャズ試聴の定番になっていますが、そのルーツを辿ると、これらのWE系の小規模システムに繋がるようです。
 励磁式の2ウエイでは可搬性に課題があったため、マグネットに置き換え、同軸とした604シリーズ(Duplex)もこの頃の設計(海軍からの依頼による潜水艦のソナー用という説もあり、定かではない)らしいのですが (これが後の 612銀箱になる。15インチフルレンジの部分は基本設計が同じなので箱をそのまま使用したのかもしれない。)

これら米国の技術(604や515や288)はイギリスに渡り、一部再設計(パルメコという音響会社が技術提携下によりUKで製造したようである フレーム以外はほとんど604と同一)を受けてBBC(非常に凝った、ダブルバスレフ方式の箱との組み合わせています)に採用されたり、またAltec製品はアビーロードスタジオにも採用されていたようです。ビートルズのレコーディングには605銀箱入りが使われたという噂もあります。

 この頃の技術は今もマニアにしっかりと継承されています。

 例えば国際的に有名な(かってステレオ某誌に寄稿しておられた)某小説作家は15インチフルレンジ(D131?)をバックロード箱に入れ、コンプレッションドライバーの組み合わせてジャズをお聴きとの噂です。

 また某みちのくのジャズ喫茶では巨大な箱に15インチフルレンジから派生したウーファー2発(軽量なコーンなので巨大な箱が必要) +コンプレッションドライバーの組み合わになっていますね。

 ここから派生した技術はシアター、スタジオ向けのAltec、 一般(ハイエンド)向けにはJBLとStephense(スチーブンス)に のれん分けしたようです。
この区分(一般、スタジオ、シアター)は絶対的なモノではなく当時15インチをきちんと設計製造できるヒト、会社は少なかったので、エンジニアが設計を兼務していたり、異動しながら設計システム構築したり、独立後は良きライバルとして、またパーツ、あるいはユニットを、いろいろと融通しあっているような印象があります。

 敢えて言えば

 Altecはシアターやスタジオで音楽にじっくり長時間、音作りに向くバランス重視、モニター用設計
(日本のレコーディングスタジオやシアターの標準器として長らく君臨しました)

 JBLはAltecに対抗して(?)あえて逆相や逆巻き、巨大ボイスコイルにして、ピリッとエッジを立てるジャズ向けの個性を付けた 迫力+趣味性
 (進駐軍の若手将校にJBLファンがいたらしく その影響で日本にJBLが入ってきたのかもしれません。その後山水が代理店を務めて大流行しました。)

 Stephense(スチーブンス)はジャズからクラッシックまで幅広く長時間音楽に浸りきる音楽性を加味した味付け
 (代理店がないまま 日本に紹介されることはありませんでした 日本人にもっとも向く音だと思いますが日本ではほとんど知名度がなく、残念です。)



とにかく試して聴いてビックリなのがきちんと設計された15インチフルレンジ群なのです。
 

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