2008年6月7日土曜日

世界一幸せなレコード達  ベイシー 




一関のベイシーに行った。

仙台に出張したのだが、その空き時間を利用

今回は忙しいので一関まで足を延ばすチャンスは無いだろうとあきらめていたのだが、なんと新幹線の広報誌にベイシーが載っていたのだ。

一気に火がついた。

空き時間、ふと目の前を路線バスが通り過ぎた。それに飛び乗ると、仙台駅前には、一関直通の路線バスが待っていた。

一関駅からベイシーまで、歩いて約10分ほどであろうか。

着いた。

そして、営業していた。
(これはありがたいことである。)

店内に入る。

暗い。


写真で見た、あのボックスシート、そしてJBLのシステムが部屋の奥に鎮座しているのがかすかに見えた。

一番後ろの、真ん中の席がたまたま空いていた。 少しためらいつつ、そこに座った。

目前に、ジャズがあった。

図太く、熱く、情熱的な、アメリカが最も輝いていた頃のサウンドが。
JBLシステムの叫び・・・・・・・・・・・・

音量は予想通り大きい。が、つらいほどではない。むしろ快感の大音量である。

3ウエイのユニットは、全てが理想的な動作点で、伸び伸びと発声していた。

カートリッジは、レコードの音溝から、ダイナミックなシグナルを掘り起こしていた。

大きなスピーカーボックスと、(じゃじゃ馬の)JBL2220Bは、ドラムスのダイナミズムを渾身のパワーではじき出していた。

エナジー、パワー、ダイナミズム、吹き上がる力。

そしてクールさ。

さらに、ほのかなウエットさも。

一関に行って良かったと、思った。


これはプロの音である。プロの仕事である。

しかも継続。30年続いているという、これはすごいとしか言いようがない。



以下、野暮な話だが、オーディオ的に コメントすると。

375のパワーは凄い。このぐらいの音量で発声するのが本来の姿なのだろう。このブロウ、咆吼は、さすが4インチダイアフラム、アルミストレートホーンの仕事である。

シャープでハードな音だが、きつすぎない、ギリギリの範囲にコントロールされている。

アンプはJBL製で素子はバイポーラートランジスターだ。

黄金時代のJBLユニットに最適化された名品らしく、さすがにバランス良く、太く、厚く、ダイナミックにスピーカーをドライブしていた。

中低域は巨大な密閉箱+2220Bダブルである。

パルシブな音、ドラムスは最高である。低域が締まり気味のレコードでは理想的な音を提供する。巨大な密閉箱が効いている。

このユニットは典型的なオーバーダンプ型なので、耐入力もかなり高いと思われる。

切れ味とダイレクト感に関しては、圧倒的なパフォーマンスと言って良いと思う。

一方、低域がふくらみ気味のレコードの再生では、2220Bの悪い点が出て、ややだぶつき気味の低域・・・切れの悪い、膨らんだ、音程やや不明瞭なベース これが全体の足を引っ張る感じで、最低域の不足感とともに、歪み、違和感として気になることもあった。

これは私の手持ちの2220Bでも、閉口しているところである。

バスドラは良いのだが、ベースの音が・・・・・・・。全てのソースで不満があるわけではないが、レコードによっては気になってしまうところだ。密閉箱+オーバーダンプのユニットの宿命なのだが。

音像ははかなり大きく、ボーカルはやや割れ気味である。ベースは壁一面のようなサイズとなる。定位もあまりシャープではない。
が、しかし


マッシブな音塊の噴出

怒濤のバスドラ

ホーンの咆吼

シンバル連打、高音シャワー




この空間は、素晴らしい。
マスターの所作も、洗練されていた。


ふと、JBLの巨大な密閉箱の奥に、秘密の地下通路があって、ニューヨークの路地に繋がっている・・・・・・そんなふうにも思えて仕方がなかった。
店を出ると、静かな東北の街に戻っていた。

いつまでもここに在って欲しい。 遠方ゆえになかなか訪問できる機会は少ないだろうが。


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