2008年6月24日火曜日

音楽教室の発表会で聴くナマ音とオーディオ

コンサートに行かないと、hifiオーディオを語る資格はない・・・・と良く言われる。

ナマ音は限りなくシャープでダイナミックで、レンジは広大、ウルトラハイスピードである・・・・・

ま、当たり前の話だが。


オーディオファイルの目指す音は原音ではなく、美化された別次元の音であるという考え方はなるほどと思わせるし、確かにオーディオは原音には絶対に適わないところがある。

しかし、原音最高とも言い切れない。実際のコンサートでは、良い席は簡単に取れないし、隣にうるさい人が座っていたり、パンフの束を床に落っことしたり(結構多い) ,咳、椅子の軋みなどの耳障りなノイズ

さらには肝心の演奏家の調子が今ひとつだったり、ホールの音響に問題があったり、PAのボリュームが過大であったり・・・・当日自分の体調が良くなかったりする(これも結構多い)。

なかなか最高のコンディションは揃わないものである。


これはこれでかなりフラストが溜まるものだ。

で、最近気に入っているのが、実は音楽教室の発表会なのである。

我が家の愚息達は、一応、バイオリンとチェロを習っている。で、必然的に発表会とやらに出ることになり、強制的にお父さんも働かされることになるのだ。

最初は嫌々やっていたのであるが、実はこれ、ナマ音、音響を知る上でとても良い経験になることがわかってきた。それで、最近は喜々として参加している。

今回はたまたま都内でも有数のコンサートホールの小ホールで発表会があったのであるが、その部屋の音響が抜群によいのである。

ピアノはスタインウエイのコンサートグランドが置いてあって、そこで子供達が弾くのであるが、この音が凄い。席は自由席で空いているどの席に移動してもOKであるし、自分の子供やお友達の演奏が終わると席を離れる人が多いので、迷惑にならずに自由に場所を移動しながら音の変化を学ぶことができる。

響板の正面至近に座ったときのダイナミック感。後方の席の残響のブレンド感など、素晴らしい。 やはりナマのピアノは凄い。また小ホールは音が充満する感じでこのダイナミズムと余韻は圧倒される。

いくら有名タレントの演奏でも、大ホールで離れてしまうとなんとも情けない音であったりするが、そういうことはなく、オーディオ大音量試聴に近いダイナミズムである。

子供達の演奏も、時として(情け容赦ない)力強いタッチであったりするので、現代音楽並の鋭い打音が出てきたりと、オーディオ的に極めて好ましい。(笑)

以前のホールではベーゼンドルファーのインペリアルが置いてあったけれども、これも凄かった。 天才少女や天才少年が居たり、伴奏の先生もプロだったりするので、イロイロと聴き所が盛りだくさんなのである。

こういう音を聞くと、超マニアが超高能率のフィールド型ユニットやら、1KWオーバーのモンスターアンプに走る気持ちが良くわかる。

ピアノのハンマー音一つを取っても、その鋭い力を伴った響きが、ハイスピードで四方に突き進んで、部屋全体に浸透してゆく様は見事としか言いようがない。

コンコン、カツカツ、キンキン、一つ一つの音の、立ち上がりが猛烈に早いのである。そして音離れが凄い。ダイナミックレンジも周波数全域で広大そのものである。

これに近似する音は・・・・・・・・・・フィールド型か、巨大なコンプレッションドライバーか、フォスのオールリボンユニットを、抜けの良い強力なアンプでドライブした時に、ようやくそれらしい響きが得られるかな・・・・、といった感じである。


若干粗めではあるが、バランスとダイナミズムという観点からすると、206AXAやランシングの150、アルティックの初期の515や604といった往年の銘15インチユニット(超強力磁気回路+頂角の深い、フィックスドエッジの軽量コーン)の音もこの世界に近い。


コンサートから帰って、すぐに自宅のシステムを聴いても、さほどの落差や違和感は感じられないので、方向性は間違っていないかなとも思う。(普通のブックシェルフなどではなかなかこうはいかない。)

こういった経験も、オーディオへの良い刺激になって、なかなか楽しめる。

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