2008年7月13日日曜日

SR-Λ professional STAXのヘッドフォンの騒音対策




STAXのヘッドフォン 正式にはイヤースピーカーと呼ぶらしい。

時々使う、大切なツールである。

STAXの音の良さ・・・・・、最初に聴いたときは、かなりの衝撃を受けた。 高校生ぐらいだったと思うが、こんなに良い音のする機械があるのかと驚いた記憶がある。

一時期は、スピーカーでこの音を超えるのが目標であった。

微妙な雰囲気や、ダイナミズム、音像定位を除けば、これは一種の完全なフルレンジユニットであるから、ある意味全域でフラットな究極の音の一つではある。

ヘッドフォンは使ったり使わなかったり、波があるのだが、使い出すとあれこれ機種による音の違いが気になってくる。

ダイナミック型の高級機も試聴したのだが、結局スタックスのラムダシリーズが最もお気に入りとなっている。

同じラムダシリーズの中でも、ラムダプロフェッショナル、シグニチャー、(ノバ)クラッシック、現行品、があって

音は微妙に違う。

ラムダ シグニチャー (SR-ΛSignature)は最も繊細で高域の分解能はすさまじいが、若干ハイ上がり。録音の良いレコードに限られるが、クラッシックの高弦を集中して聴きたいときなどはかなりイイ。カナリシビアな処まで聞き分けることが出来る。
ただ、通常の録音のアルバムでは、やや繊細すぎる感じで、場合によっては聞き疲れする。


ノバ クラッシック (Nova Classic)は、シグニチャーと比べると分解能が明らかに低下する、がそれでもダイナミック型よりも遙かに情報量が多く、トランジェントに優れている。中低域に適度な厚みがあって、ロックやジャズを長時間聴くのにはナカナカ良い。また録音の今ひとつのレコードはこれで聴くのが一番無難な感じである。


最もバランスが良さそうなのが、ラムダプロフェッショナル(SR-Λ PRO) だ。プロシリーズの最初のモデルで、ダイムラーベンツの依頼によって開発されたのは有名な話である。
ラムダプロの特徴は、低域の厚みとバランスの良さである。高域も非常に高分解能でありながら、バランスを崩すことがない。非常にリアルな音である。ワタクシ的にはこれがベストな様な気がする。

その他に、SR-Σという機種もあった。これはラムダプロフェッショナルのユニットを前方に設置し、パノラミックに前方定位させるというアイデアであったらしい。 箱形のユニットが巨大であった。

一時期所有していた(しまい忘れてどこかに行ってしまった 涙)のだが、前方定位といってもおでこの内側に並ぶ?感じでスピーカーの様には行かなかった。

音はラムダプロフェッショナル譲りの素晴らしいもので、かなり良かったのだが、その装着状態の異様さ(家族から止めてくれの大ブーイング)でお蔵入りになった経緯がある。
確かに装着状態の自分の姿を鏡で見ると、ヘッドギア装着のマッドサイエンティスト風で、なかなか凄い雰囲気が出ていた。人前で聴くのは止めようと思った次第である(笑)



スタックスのこの年代の機種は、ダイアフラムのトラブルが発生していることがほとんどである。アンプに電源を入れ、バイアス電圧が印加されると、ブー、ピー、ボボボボボ・・・とにぎやかな悪夢のノイズが発生するようになる。

基本的にはメーカー送り、振動板ユニット交換なのであるが、この辺はスタックスの良心で非常に納得のサービスが得られるのである。大変素晴らしいメーカーさんである。

ところが、ユニット交換をしてしまうと、上記の微妙なモデルによる音の差が失われてしまう。さて、困った。

で、きわめて姑息な方法なのだが、私はダイアフラムを、「トントン法」と、「息吹きかけ法」で蘇生(?)している。

ブーブー音の原因は、振動板が電極板に張り付いてしまうため、絶縁距離が保てなくなるのが原因らしい。弛みはどうしようもないのだが、とにかく張り付いたところが離れればブーブー言わなくなる(らしい)。で、ダイアフラムのどの辺からブーブー言うのかを聞き取って、その辺を指で軽やかにトントン色々な角度から叩いてみる、あるいは内外から強く息を吹きかけてみる。(カナリ強い息でないと無効 但し絶対に唾を吐いてはならない!)

ブーブー音が多少なりとも変化したら、ダイアフラムが動いたことを示している。

機種によっては叩く方がよかったり、息の方がよかったりするのだが、保護膜の構造によるのか良くわからない。

とにかくダイアフラムが、電極から離れれば音は止まる(ホントか?)。

止まったらラッキーで、儲けものであるし、止まらなくて音が返って増強した場合は、あっさり諦めてメーカーさんに交換に出すことになる。

ま、運が良ければ音が止まって蘇生成功!!ということになる。

久しぶりに引っ張り出してきたイアースピーカーが不調なときには試してみる価値はある。

とにかくスタックスのイヤースピーカーは凄い。最近は超高級なダイナミック型が沢山出て、非常に健闘しているのだが、トランジェントや繊細さに関して、このヘッドフォンの領域を超えることは難しいのではないだろうか。

普段、良質のホーンシステムやコンデンサーシステムを聴いていて、違和感なく充分納得して聴けるヘッドフォンは、これぐらいではないかと思う。

さらに上級のSR007シリーズも控えている。これは音の傾向がチョット違う。ワタクシ的には古いラムダシリーズの方が躍動感とスリルがあって好きである・・・・・・ 高すぎて買えないって事情も勿論あるのだが・・・・ SR007は音の厚みがややリッチすぎる感じがちょっとする 子育てが終わったら好みも変わって、買う(買える?)日も来るのであろうか?

ヘッドフォンは時々家族や隣人が寝静まっているときに使う程度なのであるが、これを手放すことはできそうもない。

(ちなみにアイポッドにはソニーのウオークマンやディスクマンが黄金期にあった頃に出た、古いダイナミック型をずっと使っている。)

1 件のコメント:

さてっを さんのコメント...

興深いコメントありがとうございます。私的にStaxは長年の夢でした。昨年、たまたま運良くSR-Λ SignatureとSRM-T1Sを入手。一聴して仰天!演奏台で弾いているときの音が聞こえたのです。以来虜になっております。その後の病状たるや、SR-009を入手し、またまた参考のためにとSR-507を入手して比べてみたり。現在初代Ωが高騰していますがその訳判りました。SR-Λ SignatureでさえSR-009に劣っているわけではなく、帯域によっては全く良い勝負です。507あたりなら比べようもないのです。ただ、旧製品は湿度に弱いのが難点。私の場合は弦楽器を保管のため除湿器をかけっぱなしの部屋にStaxを保管するようにしました。湿度対策をしてなかった時期はノイズで悩まされましたが、除湿すると鳴りは快調です。このあたり擦弦楽器と似通った性質がありますね。